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五分の二

「私達の団が、纏まって片方の陣営に付けばパワーバランスが崩れてしまう」


 軍事大国だった大グランドール帝国に於いても、飛び抜けた存在。その苛烈さを知らない兵士など居ない。


 勇猛果敢で名を馳せた『ノックス傭兵団』が付けば、相手の離反さえ戦略として(あた)うのだ。


「そ、それの何が悪いんだ?」


「馬鹿か? そんなことして見ろ! 直ぐに、今と同じ暮らしに戻っちまう!」


 要領を得ないメセナにヴィクトールは呆れ返った。


「少しでも膠着状態が長引けば、私達の傭兵稼業もその分、長く続けられると言うことです」


「要は、(にら)み合ってるだけでも飯が食えるってことか?」


 答えに自信の持てないメセナが、恐る恐る問い掛けた。


「不満があるなら、抜けたって良いんだぜ?」


 団長の一言が(ようや)く、メセナを仲間の元へと(いざな)った。


「最っ高じゃねぇか! やっぱり団長は最高だ! 俺は信じてたんだぜ」


「よく言うぜ、団長のこと疑ってた癖によぉ!」


 遅れてやって来た同胞を濁声が迎える。


「だぁ、テメェは、一言多いんだよ!」


 いつものようにロイドがメセナを揶揄(からか)って合流は果たされた。

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