五分の二
「あれ? 団長、何処行ってたんですか?」
「おう、ちょっと遠出してた」
「え! 女ですか?」
「内緒!」
「へぇー、内緒なんだ……」
何食わぬ顔でヴィクトールが戻ってきたのだ。
「よう、留守中ご苦労だったなハーマン。随分と酷い面構えになってるぜ!」
一目見て、ハーマンが殺気立ってることに気付いた。
「団長! 今まで何方に!」
「ん? 情報収集! 接触のチャンスを棒に振ることないだろう」
「だったら、そう言っといて下さいよ。心配するじゃないですか!」
「あれ? そうだっけ? いや違うな、言ってないだろ? 直ぐ帰るなんて……」
「嗚呼、そうですか! ちょっと大人しくされてたんで忘れてましたよ! 貴方の本性を……」
「何だよ、本性って? 人聞きの悪い」
「好機とみると勝手に行動する! 事後報告は当たり前! 敵味方の区別なく裏をかきたがる!」
「お、使えそうなヤツじゃねーか! そう言うヤツいたら直ぐに紹介しろ」
「嗚呼、本当に腹が立つ!」
纏った殺気をヴィクトールに向け放とうとするハーマン。
(ヤバイ、本気で怒らせたかも……)
「待て待て! 頑張って集めた土産話があるんだ! 先に情報共有しよう!」
「その土産、不味かったらタダでは済みませんよ」
「判ってる、判ってるって……。取り敢えず、剣を納めてくれ」
既に抜刀された切先が喉元に掛かっていた。
「連中を集めてくれ、な?」
残った四人は直ぐに集められ、ハーマンと同様に安堵して怒った。