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幕間 司祭と悪魔


 天国の婆ちゃん、お元気ですか? 腹は減っていませんか? 婆ちゃんはすぐ他の人に食べ物をあげてしまうから、少し心配です。いや、冗談。天国は食べ物に困らないって聞くから、腹一杯食えてるよね。でも好きな物くらい自分で食いなよ? 婆ちゃんいつも我慢してたの、俺知ってるよ。良いこと一杯したんだからさ、神様もきっと許してくれる。

 こっちは何とかやれてるよ。近所の皆のおかげで、子どもたちも風邪一つしていない。むしろ元気すぎて困ってる。まだ今年に入って半分も経ってないってのに、ドアが四回壊れてんだよ? 信じられる? 単にボロいだけなのかな。

 ……いや、ごめん。久々に手紙を寄こしたと思ったら、何が言いたいんだって感じだよね。実はちょっと、いや大分困ってることがあって、手紙を出したんだ。婆ちゃんの知恵を借りたい。

 疑わないで欲しいんだけど、――


「あらラブレター?」

 耳元で聞こえた女の声に、右手のペンがペキッと折れる。女は視線を移すと、深紅の瞳を細めて笑った。

「私が添削しましょうか?」

「消えろっつってんだろクソ悪魔!」


 天国の婆ちゃん、ウチの教会に悪魔が住み着きました。どうしたらいい?



 司祭と悪魔



 ライアー王国の王都と言えば、全国民が憧れる商業都市だ。貴族の別宅が並ぶおかげで、服やスイーツは常に最先端。勇者の国というお国柄、腕のいい鍛冶屋も軒を連ねており、英雄たちと同じ武器を手にすることも出来る。まさに夢の都市。

 だがそんな夢も、路地を数本跨げば覚めてしまう。並ぶのは繕いだらけの濡れた服。スイーツなんて夢のまた夢。普段の食事も一食あれば良い方だ。武器を手にする金があるなら、腹一杯の食事が欲しいと皆口をそろえて言うだろう。お綺麗な街の裏には、日々の暮らしで手一杯の貧民街が広がっていた。

 そんな貧民街の片隅で、教会兼孤児院を運営する青年がいた。彼の名はエリン。亡き祖母から教会を引き継ぎ、少ないお金を何とかやりくりして、街のため、子どもたちのため働いている。

 俺は一生この暮らしを続けるだろう。そんな決めつけを彼女が派手に壊したのは、まだ雪も降らない頃だった。



「エリーン! エリン先生!」

「はいはーい、またどっか壊れたか?」

 曇天が重く広がる秋の終わり。この日もエリンは、教会の修復作業に追われていた。もう建設から随分と経つ教会だ。作った当時も金がなかったというのに、現在はさらにない。加えて先日の大地震が大打撃となり、元々壊れかけていた窓も、椅子も、屋根もほとんど壊れた。それでも子どもたちは怪我一つ負わずに済んだのだから、幸運だったと言えよう。命がなくては、嘆くことも出来ないのだから。

 それでもやはり、壊れっぱなしは今後の生活に支障をきたす。冬が来る前に何とか空の見える屋根を直さなくては。しかしこれはこれで芸術的か? と、現実逃避をしていたエリンのもとに、預かっている子どもが駆けてきた。少年は肩で息をしながら、エリンが眺めていた空を指さした。

「違うよ。人! 人が飛んでる!」

「……」

 エリンはしばし固まると、しゃがみ込んで少年の額に手を当てた。

「よし、熱はないな。じゃあその辺のキノコでも食ったか? 止めろって言ってんのに」

「馬鹿にしてんの? 僕もう十歳だよ」

「すまん」

「ああもうそうじゃなくて……とにかく来て! 見れば分かるから!」

「っおい! 馬鹿にして悪かったって!」

 少年に服の裾を引っ張られ、エリンはなすすべなく教会のドアを潜り抜ける。二人は教会を抜け、路地を抜け、ついには金持ちしか居ない中心街へ出た。どんどん身なりの変わる人間たちを前に、エリンは堪らず少年の腕を取った。

「待てって! 中心街は、」

「ほら、先生あれ!」

 中心街に貧乏人が立ち入ると碌なことが無い。そんなエリンの心配をよそに、少年は空を指さした。ずっと横ばかり見ていたエリンの視線が上を向く。

「……は?」

 エリンの眼が捉えたのは、暗い雲の海を泳ぐ大きな翼。鳥にしては大きく、魔物にしては小さい。翼はぐんぐん高度を落とすと、ついには中心街に降り立った。エリンはようやく、ただの翼ではなく、人間の背に翼が生えていたのだと理解した。

 踵まである黒髪を靡かせ、美しい人外は観衆に微笑む。

「ごきげんようライアー王国の皆々様。私は魔王様の使者。本日は魔王様のご復活と、言伝を知らせに参りましたわ」

 魔王――その久しく耳にしていない名に観衆がどよめく。困惑するのは無理もない。なぜならこの国は、魔王を倒した功績と実力で出来た国なのだから。

「落ち着かれよ、皆の衆!」

 観衆らが振り向くと、中心街を警備する衛兵の姿があった。周囲と同様、エリンはホッと息を吐く。彼らは貧乏人に冷たい視線を向けてくるので苦手だが、状況が状況。そのガタイの良さを発揮してくれとエリンは拳を握った。

「魔王の使者? 言伝? 馬鹿馬鹿しい。舞台の練習なら他所でやってくれないか、お嬢さん」

「……舞台?」

「そうだろう? 魔王は六百年前、我らが勇者様が倒したのだ。今の平和があるのは勇者様のおかげ。世界の常識だぞ?」

 衛兵の力強い言葉に、観衆の顔色が戻っていく。対して無知だと馬鹿にされた人外は、深紅の眼を冷たく輝かせていた。

「魔王の復活など演目には持ってこいだろうがな。ここは勇者様を祖先とする武人の国! そのような馬鹿馬鹿しい演もっ、」

 衛兵の姿が突然消える。キャアっと上がった甲高い悲鳴に視線を移せば、壁にめり込む衛兵の姿があった。

 人外は長い足を下ろすと、スーツに着いた汚れを払った。観衆の顔色が再びサッと青くなる。

「私の声が小さかったのね、ごめんなさい。でもあんまりにも私の話を理解していないものだから、つい脚が動いてしまったわ」

 人外が頬に手を添え、優雅に微笑む。エリンを含む観衆たちは理解した。彼女は本当に魔王の使者であることを。

 一人がサッと踵を返すと、観衆たちは悲鳴と共に駆けだした。衛兵を一蹴りで気絶させてしまうほどの存在なのだ。一般の市民など、蟻を踏みつぶすくらい容易なことだろう。波打つように逃げる一方、散見される震えでろくに動けぬ観衆たち。人間の本性というものは、極限状態でこそ露見する。

誰も助けに行かないのか。手を貸してやろうとは思わないのか。エリンは一つ舌を打つと、同様に動けぬ少年を担ぎ、観衆の一人に駆け寄った。

「おい、動けるか!? 手ェ貸せ!」

「っ、すみませんっ……!」

「いいから! 逃げ、」

「あら、かっこいい」

 鈴の鳴るような声に、エリンの動きがピタリと止まる。サッと体温が一気に下がった。

「あなたのような方を、勇者と呼ぶのでしょうね」

「っ……!」

 勇者なんて呼ぶんじゃねえ、そう吐き捨ててやりたかったが、身体は正直なもので。エリンの口は硬直したまま、ピクリとも動かなかった。

 エリンに深紅の眼を近づける人外だったが、急にパッと姿勢を正す。手探りでジャケット中を探ると、折られた紙を取り出した。

「いけない、忘れる所でした。皆様―、止まってくださるー? ……もう、私の声ってそんなに小さいかしら」

 人外はため息を吐くと、パチンと指先を鳴らした。すると驚くことに、逃げていた観衆全員の動きが止まった。観衆たちから困惑と悲鳴の声が上がる。

「なんでっ」

「あなた方がいけないのよ? 私は止まってとお願いしましたのに……。まあ、私にも非がありますから、お互い様ということにしましょう。さて、」

 人外は一つ咳ばらいをすると、紙を手に大きく息を吸った。

「『ライアー国王に告ぐ。そろそろ寿命を迎えるため、“終活”なるものをしようと思う。人を寄こせ』」

 固唾を飲んで聞く観衆たちだったが、書状の内容を理解すると皆ポカンと口を開けていた。魔王に寿命? 反撃をしに来るのではなく? そもそもシュウカツとは何ぞや?

 気を抜く観衆たちだったが、後に続く条件にしばし固まり、やがてゾッと背筋を震わせた。

「『条件は三つ。一つ、男であること。二つ、剣や魔法の扱いに優れていること。三つ、必ず王族を含めること』」

 観衆の頭に浮かぶ人物は一致していた。しかし、かの人を魔王領に送ることは、王国の終わりと言っても過言ではなかった。

「王子っ……」

「そんな」

 涙を流す観衆同様、エリンも突然の空虚感に襲われた。条件に合う王子とは、剣の腕が立つのはもちろん、すべての国民に平等に接することで有名な人だった。空腹に苦しむ民には食事を、家の無い者には家を、家族を失った者には自身が家族の代わりを……これらを激務の中日常的に行うので、エリンを始めとする貧乏人には特に人気が高かった。かの人が即位したら、この国はきっと変われる。良い未来が待っていると、皆信じてやまなかった。

 そんな大切な人が魔王城へ行く? もし魔王の怒りを買ったら? 殺されてしまったら? 希望が潰える音に、皆が涙を流すのは無理もなかった。

 人外は書状を閉じると、笑顔で一つ手を叩く。

「ま、そういうことですから、ちゃあんと人を送ってくださいね。ここにいる皆様が証人兼吹聴役ですから。無視……なんてありえませんね。勇者サマの国ですもの! あと、」

 人外は深紅の瞳でエリンを捉えると、今日一番の笑顔を見せた。

「私、しばらくこちらでご厄介になりますから、仲良くしてくださると嬉しいわ」



「だからって! 何で!? 何でウチなんだよ!? もっと他に行くとこあったろ!?」

「ちょっと……炊き出しに唾が入ってしまうでしょう。お静かになさいな」

「こればかりは同感だな。君炊き出し何回目?」

「悪かったですね!」

 エリンは隣の二人に文句を垂れながらパンを渡す。受け取った少年が苦笑しつつも感謝を述べた。

 人外――もといヤクが王国に降り立ってから約八か月。エリンが運営する教会兼孤児院は、避難所として避難民の受け入れに追われていた。魔王の復活が嘘ならば避難の必要はない。しかし仮に復活が本当ならば、魔王領近辺に住む国民が被害を負いかねない。「復活は嘘だと高をくくり、避難を呼びかけませんでしたスミマセン」では、中枢が非難の的になるのは明白。魔王を倒した誇りがある以上、少しの被害も沽券に関わるのだ。

 しかし避難先が無限にあるかと問われるとそうではない。領地民に王都の別宅を解放する貴族、営業を停止し避難民を受け入れる宿屋など……押し込めるだけ押し込んでも、避難民は次々と湧く。ただでさえ大地震があった後の宣戦布告なのだ。避難者と避難先が反比例するのは無理もない。

 もうボロだろうと訳アリだろうと送れる所には送ってしまえ。そう開き直った中枢が第一に思い浮かべたのがエリンの教会だった。女神教を禁じているにも関わらず、信仰を止めない異端者一族。多数の避難者を受け入れさせ、これを機に潰れてもらおうというのが中枢の考えだ。思い通りになってたまるかクソ野郎と内心で中指を立てるエリンだったが、困っている人は助けましょうねが女神の教え。反抗心と信仰心を天秤にかけた結果、受け入れるから金寄こせと役人を脅して今に至る。女神様にはどうか蛮行のみ、記憶を消していただければと願うばかりだ。

 しかし、しかし女神様と、エリンはスプーンを握る手に力を込める。

「困っているようにはとても、とても見えない悪魔までっ、助けなければならんのですか……!」

「すまないね。君の所に世話になると一点張りで」

「悪魔だって契約する相手は選びます。城に住むキモイ畜生と、奥ゆかしい教会に住む優しい青年。後者を選ぶと思いませんこと?」

「悪かったなボロ教会で!」

「ああ、あの畜生に目をつけられたのか。同情するよ」

「ルキウス様はもう少し言葉を選んだ方が良いのでは……?」

 炊き出しを配り終えた三人は、木陰で食事を囲む。本日の昼食はライアーでは高級なパンとポトフだ。ヤクが来てからというもの、中枢からの支給とヤクの持参品のおかげで、何年振りかの満腹感を味わえている。エリンは不本意ながらも、そこだけは感謝していた。ちなみに畜生とは国王のことである。ヤクに下心満載の眼を向けたので嫌われているのだ。

ヤクのお目付け役にさせられたルキウス・ガーディアンは、エリンの言葉に肩眉を上げた。ポトフを膝上に置くと、エリンにグイッと顔を近づける。

「呼び方」

「はい?」

「ルキウスで良いといつも言っているだろう。敬語もそうだ。いくら私と君の仲でも傷つくぞ」

 エリンはしばし固まった後、眉根を寄せた。

「誰と?」

「私と」

「誰が?」

「君が」

「どういう仲だと?」

「友人だろう? 親友と言っても良い」

 エリンは再度固まった後、ルキウスから光速で距離を取った。

「頭大丈夫ですか?」

「嘘だろ君!?」

「プッ………フフ、いえ、フフッ、ご、ごめんなさい……! ひぃ」

「笑うなババア。っ何故だエリン! 休日を共にし、同じ物を食べ、互いの努力を労わり合う……どう考えても友人だろう!?」

「いや、勝手に押しかけて来ては酒を煽り、一方的に愚痴を垂れ流してるだけでしょう。百歩譲っても飲み屋の店主と客ですよ」

 まあ酒にありつけるのはありがたいが、とエリンは内心で独り言ちる。司祭の風上にも置けない。

 エリンの視界はカオスだ。笑いすぎて箱にも座れない人外と、あまりのショックに呆然とする子爵家長男。世迷言もしばらくは落ち着くかと元の席に戻れば、予想に反して回復の速いルキウスがグッと拳を握った。

「しかし! しかしだエリン! 私たちには切っても切れぬ関係があるだろう!?」

「何ですか。店主と客以外にあります?」

「エリン・リヒトレーゲン」

 ルキウスの発言に、エリンはポトフをすくう手を止めた。紫の瞳がルキウスを冷たく睨み上げる。

「……それは捨てたって言ってんでしょう」

「ならば何故司祭を名乗る? 女神教信仰が禁じられていることくらい知っているだろう」

「……」

「法を犯してまで司祭を名乗るのは、君に、」

 エリンが勢いよく拳を下ろす。座している木箱が悲鳴を上げた。

「捨てたんですよ。俺には何も関係ない」

「……」

 エリンの鋭い眼光に、今度はルキウスが黙り込む番だった。発言を勢いづけた腕が力なく下ろされる。

 気まずい静寂を終わらせたのは、人外のため息だった。

「坐せ」

「「!」」

「童の前だぞ」

 突然の圧がエリンとルキウスを襲う。上方からかかる謎の圧に、ルキウスは堪らず膝をついた。

 二人の様子にパッと笑みを浮かべると、ヤクは振り返って手を振った。遠方で心配げに見つめていた子どもたちに笑みが戻る。

「子どもたちに要らぬ心配をかけるものではありませんよ。勇者と共に魔王を倒したガーディアン、リヒトレーゲン?」

「!」

「……気づいてたのかよ」

 魔王討伐は勇者一人によるものではない。剣士トワ・ガーディアン、神官アイビー・リヒトレーゲン。ルキウスとエリンは彼らの子孫なのだ。

 エリンがヤクを睨みつけると、彼女は深紅の眼を細めた。

「当然でしょう? 私は倒される側ですもの」

「……」

「まあ、何故元王族がこのような奥ゆかしい教会にいらっしゃるのかは存じ上げませんけれど」

 ヤクの言う通り、エリンはライアー王家に国を譲った、宗教国家グリュックの王家の血を引いている。今でこそ貧民街の貧乏司祭だが、時代が時代なら王子として暮らしていたのだ。

 エリンは一つ舌打ちすると、頬杖をついて視線を外した。

「とにかく、僕はエリンだ。司祭を名乗るのは家業だから、ただそれだけ。リヒトレーゲンとは関係ない」

「……」

「頑固ねえ。トワに似てしまったのかしら」

「……やけに、詳しくないか? 初代について」

 ヤクに謝らないのかよと冷たい視線を向けられるが、見なかったことにするルキウス。ヤクはそんな彼にため息を吐くと、しばらくして口を開いた。

「ええ、知り合いですもの。一時旅を共にしたこともあるわ」

「「……は?」」

 何故にガーディアンと悪魔が? と目を見開く二人に対し、ヤクはなおも続ける。

「知っているついでにもう一つ。今回復活した魔王様、あの方は本物よ」

「「!」」

 しばし固まる二人だったが、ルキウスの方が一足先に立ち上がった。

「馬鹿な! 倒せていなかったとでも言うのか!」

「どうでしょうね。でも八か月前の大地震、あれは予兆よ。魔王誕生の際には、必ずあのような予兆がある……これから大変になりますよって、魔王様なりのメッセージかしらね」

 確かに大地震はあった。エリンの教会が廃教会に磨きがかかったのも、大地震で崩れたが故。その後続くようにヤクが舞い降りたのだ。関連があっても不思議じゃない。

「そして勇者が倒し損ねたのかどうか……こればかりは、私にもわかりませんね」

「は?」

「わからないって……オマエ部下だろ? 魔王が死んだかどうかくらい……」

 二人の追及に、ヤクは呆れたようにため息を吐いた。華奢な指先で自身を指す。

「魔族の死体は残らない」

「!」

「死体が残らないのに、どうやって亡くなったと証明するんです? 雲隠れした可能性は? 二代目魔王の可能性は? 真相がどうであろうと、死体が残らない以上、先に倒したと言った方が勝者になるのは明白でしょう」

「だが! 勇者が、嘘を吐くとは……!」

「思えませんね。でも勇者は故人。亡者に真相は聞けません」

「……っ!」

 魔王城から生還したのは勇者ただ一人。しかしその勇者も三日と経たず故人の身。昨今の王族は嫌いでも、勇者の伝説を信じていた二人には大きなダメージだった。

「さて、あの王子様はどうなさるおつもりなのかしら……」

 ヤクは放心する二人から、魔王城のある方角へと視線を移す。深紅の瞳は、これから来る未来を嘲笑うように三日月を描いていた。


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