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私、ドラゴン転生  作者: ねこ
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6.私の成長 〜ダニエル〜

*ドラゴンナイト…‥ドラゴンに騎乗し、戦う騎士団の名前


 忘れてしまった人がいるかもしれないので、もう一度自己紹介といこう。私の名前はダニエル。正式な名をダニエル・リュン・ウィスタリアと言う。ウィスタリア帝国の王子で、継承権第2位の座に位置している。

*ドラゴンナイト‥‥王宮所属でドラゴンを主軸に構成されている騎士団

 


 数ヶ月前までは、13歳と言うこともあり、呼称をわざと〝僕、にしていたが、相棒を自らの意思で森に帰したその日から、〝私と呼ぶようにしている。何故かって?だって、成長しているであろう相棒に〝僕なんて言ったら子供が挨拶してるような感じになってしまうではないか!それにあんなにかわいい相棒なんだから、かっこいいところを見せたい。相棒に聞かれても恥ずかしくないように〝私にしたのだ!


 私が変えた部分はそれだけではない。呼称を変えた後、強くなる為、*ドラゴンナイトの騎士団長へ無理を言って、訓練に参加している。

また、面倒な問題に巻き込まれても、自分で対処できるよう、社交界での地位を確立する事や、ドラゴンに関する資料を読み漁っている。



 私は、自分の未熟さ故に、7ヶ月前生まれたばかりの相棒を森に戻した。相棒は珍しく魔力個体だったので、心の中ではそれはもう大喜びした。ただ、相棒は普通の魔力個体ではなかった。卵状態の時から魔力を注がなくてはならなかった、しかも生まれた雛は黒色の個体。明らかに普通ではなかった。それに加えて、生まれた時から魔力を注いだが、相棒の魔力消費が多すぎて、私の魔力ではとてもではないが補いきれなかった。


 通常の魔力個体は、卵から孵った後ペアの竜騎士から魔力を注いでもらう事で、1年かけて成長する。たまに、竜騎士が魔力を持たない者だったり、魔力量が足りないという理由で森に返されるケースがある。その場合は1年後、再度へ森に行き相棒を連れて帰る。しかし、ドラゴンは少しでも野生に帰ると、ただでさえ強い魔力個体がさらに強くなっていることが多く、竜騎士が手をつけられず、ドラゴンを取り戻せなくなるケースもある。



 私は、あのかわいい相棒を取り戻せなくなるなど絶対に嫌だ。それ故、ドラゴンに対する学びを深め、訓練に参加するようになった。


 ドラゴンナイトの訓練は、朝の5時から始まる。まずは、体力をつける為に1時間程走り込む。その後は自身の風呂だ。ドラゴンは嗅覚が優れている為、体力作りでかいた汗を洗い流す。以前、風呂に入らずにドラゴンの元に行った騎士が、無視されているところを見たことがある。普段は仲が良くても匂いひとつでドラゴンの機嫌を損ねてしまうほど、ドラゴンは繊細なのだ。


 その後は、ドラゴンのお世話をする。寝藁を変え、排泄物の処理をする。最後にドラゴンのストレスを軽減する為、共に遊ぶ。お昼はドラゴンと共に食べ、食休みをした後で、13時から18時まで戦闘の為の陣形確認や、竜騎士がドラゴンに騎乗して模擬戦などを行う。


 私は全ての訓練に参加している。相棒のドラゴンは今、森で成長中な為、騎士を失ったドラゴンに騎乗している。


 ドラゴンに騎乗するのは思ったより大変だ。まず、ドラゴンに乗る事が難しい。ドラゴンは騎乗する者の、乗り方が下手だと空中で故意に振り落としてくるのだが、これが3度続くと今後、絶対に背中には乗せてもらえない。私は相棒に嫌われたくは無いので、騎乗に関することは慎重に行なっている。それこそ鞍の位置、自身の足や、手綱の位置など事細かにチェックする。


 全ての訓練を終え、片付けをし20時になる頃には就寝の時間になるので、自室に戻る。戻った後は入浴を済ませ、ドラゴンに関する古書を読む。

 

 古書は思ったよりも面白いもので、ドラゴンの生態が詳しく書いているのは勿論のこと、食の好みや、ちょっと笑えるような行動など、さまざまなな内容が書かれている。




 ドラゴンナイトの訓練がない日には、優秀な貴族が開くパーティーなどに参加する。優秀な貴族は僕にとって力となる者たちの事だ。ドラゴンの古書をたくさん所有していたり、裏ルートのコネを持っていたりなど、役に立ってくれそうな者たちだ。


 ちなみに裏ルートでは、ドラゴンの好きそうな場所をこっそり教えてくれたり、ドラゴンと逃走する際の隠れ家を確保してくれたりする。

基本的に私は相棒優先なので、相棒の為ならば裏ルートも活用するし、父に嘘をつく事も厭わない。騎士にとってのドラゴンは生きている限り、家族よりも大切な存在なのだ。魂の片割れと言っても過言ではない。




 さて、ここまでは表向きの努力。裏では相棒の観察をしている。私の部屋には脱出用の隠し通路の他に、父にも内緒で作ったプライベート空間がある。ここを知っているのは今の所私と、継承権第1位の兄上だけだ。この空間は兄上と私で魔力を使って無理矢理作ったので、耐久力は低いが、防音魔法をかけているので内密な話をするにはうってつけの場所だ。



 最近は兄上がここを使わないので、私が独占して使って相棒を観察している。どうやって観察しているのかと言うと、森へ返す前、相棒に施した刻印紋様から出ている魔力を感じ取って観察している。


 観察とは言っても、映像として見ることは出来ない。分かるのは、相棒がどこまで魔力の使い方を覚えたのかや、何を感じているかなど、大雑把な事しか感知出来ないのだが、日々急成長を遂げているようなので、少しでも見逃すと森へ迎えに行った時に大変になる。


 ほんの少しでも情報を集めておかなければ、連れ戻せるか不安で落ち着かなくなってしまう。

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