1.私、転生する
(あのー、神様ー、私成仏してませんー!)
「はいはーい。神様ですよー♪」
(!?)
(神様!本当に存在していたんですね!てか、神様がこんなにフレンドリーでいいんですか。)
「こちらの方が現代の人間には馴染みやすいでしょう」
(あ、これ、心読まれてるやつだ!小説とかでよく見るテンプレ!!これは、異世界転生のパターンでしょ)
「うふふっ♪話が早くてたすかるよー♪って事で異世界へ行ってきて下さいねー。」
(ちょ、ちょ、ちょっとまってー!なんか、チートとかさ!種族とかさ選べないの!?)
「ん?選べるわけないよぉ?だって転生させるだけでかなりの力を使ってるんだから、あ・き・ら・め・て♪」
(どうしても?)
「むーりっ♪それに話し聞き始まると長くなるし面倒だし、って事でいってらっしゃーい!良い生を!」
(ちょっと待ってくださーい)
最後に見た神様はそれはもうとっても良い笑顔で手を振っていました。
(一瞬体がふわっと浮いた感覚だったけど、これもう転生終わったのかな?体の感覚はあるけど背中に経験した事のない感覚があるなぁ。何これ?)
ちょっと動いてみる。
ゴロン。
(ん?ゴロン?卵?待って、私なんの生物なの!?ニワトリとかだったら、詰みなんですが!?でもでも、背中の感覚は。。。ヤダヤダやだー!!)
ニワトリだと思い込んだらもうパニックでひたすら暴れて暴れる。
ゴロン、ゴロン。ゴンッ、バキッ
(おっ、なんか光が差し込んできた。てか、硬っいんだけど!?もぉぉ!腹が立ってきたんだけど!うりゃー)
ガンッガン。パラパラッ。
(眩しっ、お?、えぇ。これが異世界の外かぁ)
なんで、こんなに嬉しく無さそうなのかって?外一面に干しわらと、石でできた高い壁、水場、鉄の柵。
(これはもう、ぅん。飼育される未来しか見えない。)
ザッザッ、ガサッ。
「******!*****」
(なんか喋ってるけど異世界過ぎて言葉分からなーい!転生の特典くらい付けてよ!)
「*****、****」
(何言ってるのか分からないし、頭が重過ぎて上見れない。赤ちゃんってこんな苦労してたんだな)
私の目の前にあるのは、人の靴と、しゃがんでるのか、膝と生地が良さそうな服しか見えない。あ、人の手も見える。ん?手が伸びてきて、私を撫でてる
(ってか!見知らぬ人なんだからさ、私の事勝手に触らないでよね!え?)
「ピッ!ピピピーッ!ピー?」
(ピピピー?ってこれ私の声だよね?やっぱりニワトリに転生しちゃったの!?)
異世界転生、そして卵からの誕生日、飼育されるであろう環境、そしてピピッとか言う自分の鳴き声。待っている未来は鶏肉。
(鶏生に待つのは死のみ)
「ピピィィー。」
私は絶望し気絶した。
「******!!」
「******!**!」
私の意識が完全に落ちる前に誰かの焦る声が聞こえたけど気絶には抗えない。