くまのジュース屋さん
『100%のりんごジュース
召し上がれ♪
美味しい
甘い
りんごジュース
紅い 紅い
りんご
くるくると皮をむけば
爽やかな香りが一気に広がる
お日さまの光を紅い身に一身に受け
甘い 甘い
りんごとなりました♪
そんなりんごをぎゅうっと絞って
100%のりんごジュースを作りました
糖度は何度?
何度だろう?
とにかく美味しいんです
飲んでみて下さい
ほら、うさぎの貴方も、きつねの貴女も
そこのからすの赤ちゃんだって飲めると思いますよ?
飲んでみてみて
りんごジュースだよー♪』
賑やかに歌っているのは、森のくまさん。
楽しそうにステップを踏んで踊りながら、試飲を勧めています。
そこへ、
「ください、ください。100%のりんごジュースくださーい」
りすの双子が前に出ます。
男の子のりすくん。飲んで一言。
「あま~い」
女の子のりすちゃん。飲んで一言。
「美味し~い」
森のくまさん、喜んでステップを踏んで踊ります。
そんな森のくまさんはジュース屋さんです。
台車を引き引き、あちこちの森にジュースを売りに行きます。
今日は、りんごジュースの日なんです。
「明日は、メロンジュースにしようかな……?」
森のくまさんは、自分の森のお店に帰ってから、明日は何を売ろうか考え中。
「いやいや、桃も美味しいぞ」
悩む森のジュース屋さんのくまさん。
どんな果物でも、くまさんはジュースに出来ました。
あ、でもドリアンジュースは売れなかったので今後は作りませんが。
「さくらんぼジュースもいいなぁ~」
きらきらと宝石みたいに光るさくらんぼを手に、くまさんは呟きます。
そして決めました。
「よし! 明日のジュースは……これだ!」
『100%のパインジュース
召し上がれ♪
美味しい
甘い
パインジュース
外は茶色
中は黄色なんです
くるくるその皮を剥けば
甘酸っぱい爽やかな香りが広がるよ
南国お日様の光をいっぱい浴びた
甘い 甘い
パイナップルになりました
糖度は何度?
何度だろう~?
とにかく美味しいよ
飲んでみてくださいな
ほら、そこのタヌキさんも
ヘビさんだって
蝶々さんだって
飲んじゃうかも?
飲んでみてみて
パインジュースだよ~♪』
森のトンネルを抜けて、くまさんが台車と共に歌い始めると。
「わーい! ジュース屋さんが今日も来たよ!」
「パインジュース美味しそう!」
と皆が集まります。
きつねの坊やがお母さんぎつねにさっそくジュース代をねだっています。
「くまのジュース屋さん! パインジュースください!」
「ほい、こぼさないようにどうぞ」
きつねの坊やはこくりとジュースを飲むと。
「あま~い!」
とほっぺたを押さえました。
その様子におかあさんぎつねもたまらずにジュースを頼みます。
「まあ、爽やかね。夏がきたみたい」
おかあさんぎつねも美味しそうにパインジュースを飲み干しました。
美味しいパインジュースは瞬く間に売れました。
皆に見送られて、その森をくまさんのジュース屋さんは去ります。
くまさんは台車を引きながらステップを踏んで歌います。
『美味しいジュース
楽しいジュース
ほっぺたが落ちちゃうジュース
今日も明日も作っちゃおう
今日のジュースはパインジュース
明日のジュースは何にしよう
美味しいジュース出来上がるよ
楽しみに待ってておくれ♪』
さあ、あなたの所にもくまのジュース屋さんがやってくるかもしれませんよ?
お楽しみあれ、お待ちあれ♪
〖おわり〗
お読みくださり、本当にありがとうございます。