合宿2日目
おはようございます、朝の4時半……眠いっ!
身支度を整えて、本館前に5分前集合。先輩たちは慣れているからか早く来ていたようで、元気に和気藹々と話をしていた。
1年生は私たち3人と、日本建築科の2人、小鳥遊美空ちゃんと、海崎千胡ちゃん。略して、みくちこ姉妹と私たちは名付けている。本当の姉妹ではないが、雰囲気がとても似ているのだ。
大和撫子という言葉が似合う2人で、日本建築科で学んでいるだけあって、和の雰囲気というか、独特な雰囲気を醸し出している2人なのだ。しかも、和のお洒落が素敵で、今朝は2人して渋い紺色の作務衣を着て来た。服装は自由だからね。襟と上着の裾に鶯色の糸と金糸で織りなした綺麗な刺繍が施されていて、華やかではないけれど、とても品のある素敵な作務衣だ。対する、私たちは体操服……。良いんだよ! 着やすいし、動きやすいんだよ、体操服は‼︎
颯爽と私たちの前まで歩いてきて、美空がズイっと私の前に来て話し始めた。
「絲さん、ごきげんよう。MAZUNOの体操服がとてもお似合いですこと。対して、御髪が少し御乱れのようですわ。御髪の乱れは心の乱れ、ひいては学びの姿勢としてはいかがなものかと。散策修行の前に、お直しあそばされませ」
そう、この美空は喋り方も独特で、しかも他人の見た目にうるさい! その代わり美空自身、いつもちゃんとしているから、こちらはぐぅの音も出ないのだ。
確かに起きたら、前髪が寝癖ですごいことになっていて、濡らして直したけど! 少しハネてるのは直らなかったんだよ〜。
「ムムっ! 少しだけなのにぃー……わかったよぉぅ」
学ぶ姿勢がなってないと言われるのは悔しいので、手櫛でサッと直し、ピンを止めた。
「まぁ、素敵になりましたわ♫ それでこそ絲さんね。琉偉さんと吉乃さんも改めまして、ごきげんよう。清々しい朝ですわね」
「「ご……ごきげんよう! 清々しい朝だね」」
2人とも美空の圧にやられ、ハモっておうむ返しの返事をしてるよ(笑)
美空の横にいる千胡は、滅多に喋らないし、いつも儚く笑うか、無表情。そして、吉乃とはまた違った日本美人さんだ。何を考えているのか、まっったく分からないけど、とりあえず害はない。どちらかというと3人とも、いつも美空の圧に圧倒されている。
おタケ先生が5時ちょうどに本館前へ来た。
「おー、全員揃ってるなぁー。では、出発するかー」
今朝は1時間、町中をゆっくり歩きながら、それぞれが気づいた所や変わっているものなどをみんなで探すという散策をした。見つけた者からどんどん発表し、視点の違いや観点の捉え方をお互いに伝え合いながら、自分にはないものを認識し合い、吸収することを目的とした散策修行となった。
2年生や1年生は中々すぐに見つけることが出来なかったが、3年生は次から次へと発表が止まることはなく、発見するものがすべて面白く変わっていた。さすが、パイセン! 勉強になりやす‼︎
朝ご飯もこれまた美味しく作られていて、例年にない食事内容だとおタケ先生が褒めていた。本日は和食のようで小鉢がたくさん、彩りも栄養も考えられた素敵な朝食内容だった。もちろんアネやんの指導のもと、作られたものだ。先輩たちもみんな関心していて、やっぱりアネやんは凄いんだよ!
食後の片付けを終えて、本日2日目は竹灯籠を作ることとなった。竹は町中に生えているので、許可を頂いて必要な分だけを数日前にオーナーの颯さんが切断してくれていた。その切断された竹を灯籠の長さ分に均等に切り分けていく。もちろん、それらは1年生の仕事だ。オーナーの颯さんも付き合ってくれて、手際よく竹専用の充電式ノコギリで切ってくれて、私たちも保護手袋をつけ、手動ノコギリを使って切り分けていく。
1年生は昨日から体力勝負的な感じが否めない…。2・3年生は工具の準備と図案を貼り付ける準備、そして切れた竹の大まかなささくれなどを取り除く等を行っていた。
「アネやん……うちら、昨日から体動かすことが多くないか⁇ 昨日のシュコシュコで、筋肉痛もあるしさー。もう気持ちが萎えてくるよぉぅ」
「いーじゃない! 筋肉痛で新しい筋肉を作るのよ!! 絲のぷよぷよお腹も引き締まるわよ♪ ポジティブにいきましょっ」
「筋トレマニアめっ! 吉乃化しとるな! その吉乃はぁー……」
筋肉痛と腰痛のダブルパンチらしく、腰をトントンしながら、それでも黙々と作業をこなしている。そして、みくちこ姉妹も黙ってサクサクと作業をこなしていて、かなり手際も良い。2人とも意外だ……。はいはい、文句タラタラなのは私だけっすね!
お昼にはアネやん総責任者様 考案の具沢山おにぎりと豚汁を食べて元気を盛り返し、1年生も本格的に灯籠作りに入っていった。
まず、模様の描かれた用紙を養生テープを使って竹に貼り付けていった。様々に描かれた模様は花、天の川、花火、星に月などがある。そして固定する台に竹を置き、各々で竹用ドリルで穴を開けていく。位置を決め、押さえ付けてからドリルを回すのだが、これがなかなか難しい。でも、慣れるとガンガンに穴を開けていけて楽しいっ! ……のだが、穴の径を間違えないように気をつけなきゃいけない。
穴を開け終えたら、次に貼り付けた図面を取り外し、割れやカビ防止などのためにバーナーで炙っていく。炙ることで脂分が出て、竹の表面が艶やかになって綺麗になり、いろいろと効果も良いらしい。満遍なくゆっくりと炙っていきながら、ささくれている所はヤスリを使いつつ磨いていった。いや〜良い匂いですやん。
最後に、先生が用意した電池式の電気を竹の中に詰めていく。竹の底に穴を開けているので、そこから入れていく。配線が見えないように丁寧に作業を進めていった。
作業は結構な時間が掛かっていて、サクサクとはいかない。竹も15個ほど残っていたから、夕飯当番以外の人で進めていくことになった。アネやんは食事の総責任者だから先輩たち3人と、今日はみくちこ姉妹と一緒にモモタロウスーパーへ買い出しに行った。
「吉乃! 今夜の夕飯も楽しみじゃない⁇」
「わかる! しかも、今日は和風 豆腐ハンバーグらしいよ‼︎」
「マジかっっ!」
「しかも、しかもね! ちょっとしたデザートにきな粉アイスの白玉添えを作ってくれるって♫」
「おふぅーん♪ それはアネやんの分まで、頑張らねばなりませんな!」
吉乃と2人、ルンルン気分でガスガスと竹に穴を開け、サクサクと作業をこなしていった。
夕食を終えてもまだ作業が残っていて、夜10時までかかったけれど、すべての竹に模様を施し、綺麗に仕上げることができた。かなり凝ったデザインのものだったから、1つの竹灯籠を作るのに、ものすごい体力と労力と時間がかかったけれど、かなりの達成感と充実感に包まれ、部員全員 大満足な1日となった。
作業場を片付けてから それぞれ部屋へ戻り、入浴後に学校の課題を進めるようおタケ先生に言われていたが、疲労困憊で課題を進める元気は残っておらず、早々に各部屋の電気は消されていった。
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