犬系少女の一日
半年以上投稿してないってマジですか……?
リハビリ作です。頭空っぽにして読んでね。
桜の花が散る穏やかな春の朝、暖かな日差しが私の閉じた瞼に降り注ぐ。もう朝か、なんて思って、私はお気に入りの犬のぬいぐるみのある枕元から頭を起こす。
朝起きて私の部屋にある姿見を見る。そして、いつもの手慣れた動作で身支度を整える。
鏡にはつややかな黒髪がバラバラになってる、ぱっちりした目をとろんとさせたかわいい女の子が写ってた、同世代から比較すれば少しちっちゃいのもその子の特徴をより引き立てており、そこはかとなくギューッとしたくなる。もちろん私の事だ。
「うん。今日もカワイイ!」
手早く少しずれたパジャマを脱いで、しっかりした制服に身を包む。洗面台に行ってバラバラの髪を整えてポニテにすれば身支度は完成。今日もカワイイ!
「いってきまーす!!」
ささっと朝ご飯の食パンを食べたら、玄関から飛び出す。早くなーくんに会いたい! そう思って駆けて行けば通学路でイガイガっとした髪型の男の子が立っていた。なーくんだ!
「なーくん! おはよ!」
「おーう、はな。おはよう」
なーくんが私の名前を呼んでくれたのを聞いて、私は今日も幸せだー、と思ってなーくんに飛びつくのだった。
これは私、戌座都 華がなーくんこと幼馴染の根古奈 名古にじゃれつく、幸せな一日の話。
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私が飛びついてもなーくんは平気そうに受け止めてくれる。なーくんはぱっと見は細いのに実はがっちりしてるから、飛びついても安心! そう思って私は桜舞う中でギューッとする。こうするとなーくんの香りが感じられて、幸せなのだ。エヘヘ……
「はなは今日も元気だなぁ。早く動かないと遅刻するぞ」
「やー、もうちょっとこうしてたい……」
「はいはい、あと少しだけな。新学期になってから二週間もしないうちに、遅刻はしたくないだろ?」
なーくんはそう言うと、私の頭をなでてくれます。あったかくて気持ちいい……ヒーリングぱわーが違うよ。なーくんの腕の中で寝たい。
そう思ってると力が抜けたのか、ゆっくりなーくんが私をはがしていきます。ああん、私のぬくもりが……しょんぼり。
「ほーら、いくぞーはな」
「うー、分かった」
「遅れたら一緒に居られなくなるだろ。あの風紀の先公は厳しいぞー」
「それはいやだ」
「じゃあ自分で歩いてくれ」
一緒に居られないのはダメだから仕方なく歩きます。でもなーくんとなら歩くだけでも楽しい! やっぱり私、なーくん好きだなあ。
「なーくん、好き。一緒のクラスでよかったよ」
「それ毎日言ってるよな、まあ俺も同じだけどな」
「なーくん、ちゃんと言ってー」
「今日は特に甘えただな? 好きだぞーはな」
うへへへ、やった。なーくんが肯定してくれるから、毎日かわいく成れそうだよ……あれ? なーくんにかわいいって言われたいから、かわいく成ったんだっけ? 忘れちゃった。
「ぎゅー!」
「おーい、急にどうした? 歩きづらいぞ」
わかんない。だけどなんか急にこうしたくなったの。そう言って私は、なーくんにすがりつくように腕を取ってギューッとした。
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休み時間になーくんに駆け寄ってたらいつの間にかお昼になってた。時間がたつのは早いね!
「なーくん! お昼だよ!」
「そーだな、はな。昼だ」
「お昼は好き! ごはんが美味しいから!」
「そうかいそうかい。じゃあ弁当だそうなー」
なーくんが頭ポンポンしてくれた! 嬉しい! あ、そうだったお弁当お弁当……あれ?
「おーい、もう弁当出てるぞ?」
「ああっ!? いつの間に!」
「いいだろう、いつでも。とりあえず食べようぜ」
「はーい。いただきまーす」
はむはむむぐむぐ。美味しい! なーくんと食べるお昼美味しい! から揚げにー、ミニハンバーグ! 卵焼きは少し苦手、でもなーくんがちゃんと食べないとって言うから食べるよ!
「しっかり食べれててかわいい」
「う? しっかり食べるよ!」
「そうだな。毎日見てるよ。元気が出るな」
なーくんはよく分からないこと言ってたけど、今日もお昼が美味しかったです!
「はな、今日の晩御飯もうちで食うだろ?」
「うん! 楽しみ!」
『根古奈の安堵と親愛と情愛の混ざった顔すんごい破壊力だな』
『毎日ずるい……なんであの子にだけ……』
『戌座都さんも色々あったらしいし、手を出そうとすると根古奈がガチギレするらしいぞ』
『しれっと晩に誘ってるけど戌座都さんなにも分かってないんだろうなあ』
『根古奈の精神力が試されるな』
『毎日らしいし、その精神力と根性には感服するわ』
周りの目は怖いけど、晩御飯も楽しみです!
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なーくんのことを考えてたら放課後になりました。びっくりだね。先生が何か言ってた気がしたけど、忘れちゃった。
「なーくん! なーくん! 帰ろう!」
それよりも、なーくんと今日はあんまり話せなかったからなーくんにダイブ! なーくんなーくん! やっぱりあったかくていい……
「おおう、おちつけおちつけ。いま準備しているからちょっと待て」
「はーい。待て! です!」
待て、っていったらずーっと待ってるよ! なーくん!
『やっぱり戌座都さん犬の生まれ変わりでしょ……』
『根古奈君が飼い主に見える』
『ここで根古奈君は戌座都さん以外には素っ気無いことを教える』
『猫かな? 萌えるけども!?』
まわりがざわざわしてるけど、全く気にならない、気にしない。なーくん見てるだけで楽しいなあ。やっぱり好きだなあ。なーくんが好き。
「よーしよし、はなー。行くぞー」
「うん! なーくん!」
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ざわざわとした教室を出て、桜舞う外に出た。うーん、開放感! 駆け回りたくなるね。
桜が舞う世界で、キラキラしてる。本当に楽しい。なーくんといるから。ずっとずっと楽しい。なーくんって言うと、どうしたって返してくれる声が好き。
「なんでもないよ。なーくん、明日も一緒!」
「ああ、そうだな」
私は今日もなーくんに溺れている。なーくんと一緒で幸せです!
じゃれついてくる犬系少女っていいよな