第8話 新たな、人生
「ファイドラ?それって、俺の事ですか?」
突如現れた、黒髪の少年。
そして一人称が「俺」って言う限り、ファイドラに間違いないだろう。
「君、火竜でしょ、ほら僕だよ!赤い竜だよ。」
そういえば、ファイドラに僕の名前を教えてなかったな。
そして僕はアイツの事をファイドラ、ファイドラ、って言っていたが、それは僕が勝手に読んでいるだけだからなぁ。
「もしかして、赤竜様?人間になられたのですか?」
分かってくれた様だ。けど、ファイドラ、僕の事を赤竜様って呼んでたのか!今までまともな会話が出来なかったから、初めて知ったわ。
「そうだよ。そして、僕はいつもアンタの事をファイドラって呼んでたんだ」
「そうだったんですか!?んでも何故俺がファイドラなのですか?」
それは、アンタが火竜だから。
でも正直に言ってもなぁ〜
「そうだな、それは伝説の戦士から象った名前なんだ。アンタは強いドラゴン、だからその名前にふさわしい名前を付けたんだよ」
咄嗟に思いついた嘘、けどファイドラは目を輝かす。
「赤竜様が知られる、伝説の戦士の名前!感激です。
今後、俺も伝説の戦士に恥じぬ火竜となります!」
なんか凄い気に入ってる様だ。単純な理由でつけた僕が恥ずかしい・・・
でもフリルは僕を見て、うわ〜って言う目で見てくる。
そんな目で見ないでよ…
ともかく、人間の姿になれた僕達。
これなら人間の街へ行ったりする事も出来るし、スローライフだって出来る。
なんか自由を手に入れた感じだな。
あ、そういえば僕の姿ってどうなってるんだ?
ちょっと気になる。
「フリルさん、鏡とかありますか?人間の姿になった僕を一度見て見たいのです。」
「あ、俺も見たいです」
どうやらファイドラも気になる様だ。
「鏡、ですか、では魔法で貴方達の姿を表しましょう。」
フリルは右手に魔法陣らしい物を繰り出し、僕達に向ける。
「うわ!何これ!カッコ良い〜」
僕の姿は18歳くらいの青年で、赤髪、そして目の色も赤い。
やっぱり、赤竜が人間になると、髪も目も赤いのか〜
そしてファイドラの反応だが
「ほぉ〜俺って結構若い姿をしているんですなぁ〜」
そう、ファイドラは16歳くらいの黒髪の少年、そして火竜らしいのか、スポーツ刈りのヘアースタイルである。
いざ僕とファイドラが並ぶとなんか兄弟みたいだな。同じドラゴンだからって事もあると思うけど本当にそう見える。
でも、こんな美貌を持っているなら、これから街を堂々と歩けそうだな。なんか赤竜に転生して良かったと思っちゃった。
さて、これからどうするか〜
特に決まった目的もないしな〜
このままスローライフを送るのも悪くないが、折角異世界へ転生したんだから色々回ってみたいし、ってなんか観光客っぽいノリだな。
ま、取り敢えずは適当に回ってみるか、今なら何処へだって行けるし。
「フリルさん、この近くに、村や街ってありますか?」
「ありますよ、なんなら近くの街まで転送しましょうか?」
なんてサービス精神の強い賢者様だろうか。
「ではお言葉に甘えて、お願いします」
フリルは杖を突き、あの雷雲の時に見せた結界が僕達に包み込む。
「フリルさん、本当にお世話になりました。僕、このファイドラと一緒に、この世界の生活を楽しもうと思います。さよならは、言いません!」
と転送される前に、最後に挨拶を交わした。
さあ、ここから作り始めようか
〈赤竜の伝説〉を!
〈赤竜の伝説〉をご愛読していただき、ありがとうございました。ラト先生の次回さって終わんねぇわ!!あと変にタイトル回収をさせる様なセリフを言わせてごめんなさい。
さて、今後からファイドラを連れて、新たな人生を送って欲しいですね。