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夢のゴキブリ

作者: 日向 晃

僕は、最近、夢にゴキブリをよく見る。


今年、高校受験の年だというのに、「コロナ」のせいで

塾にも学校にも行けなくなったせいだろうか。


「夢、ゴキブリ」と検索すると

「ゴキブリはあなたのストレスやコンプレックスの暗示です」

と出てきたから、きっとそういうことなのだろうか。

家で、一人黙々と勉強しようと頑張ってはみても、なんだか不安だ。

夢のゴキブリは、きっとその象徴なのだ。


「そいつは、違うなぁ。」


不意に呼びかける声。でも、部屋には僕しかいない。


「誰?誰だよ?」


聞き返すが、人影はない。


「俺だよ、俺。左の壁を見てみな。」


左の壁には、一匹のゴキブリ。


「うわっ!」


思わず、机の上のノートを丸めると、思い切り壁に向かって振り下ろす。

バチン。しかし、ゴキブリの姿はない。


「野蛮だなぁ。いきなり殺そうとするなよ、まぁ落ち着け。」


ゴキブリは、羽を広げて、俺の目の高さを漂っている。


「飛んだ!」

「飛べるよ。知らねぇの。」


そんなことも知らねぇのかと息巻くゴキブリ。

いや、知らないよ。普通。


「何度夢で話しかけても、聞きもしないんだから。

 だから、せっかく来てやったってのに殺そうとするやつがあるかよ。」


というか、呼んでないけど。


「夢の中で俺とお前一緒に暮らして仲良くやってただろ。それ、ストレスとかじゃないから。」


「じゃあ、何だっていうのさ。」


少しムッとして、言い返してみる。


「ゴキブリ=悪い夢っていうのが安直だね。

 俺たちとも仲良くやれるんだからお前はきっとうまくいくってそういう夢だから。」


そう言い捨てるとゴキブリは空いていた窓から外へ飛んで行った。


悪いことばかりと思っていたけれど、案外良いことがあるのかもしれない。






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