表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/37

アキレスけん

『絵本:アキレスけん』


(表紙には、

 まるで実物のピストルを見ながら描いたのでは、

 と思えるほど精巧なピストルのデッサンが描かれている)


 著者:ジャイアント墨子。本名、年齢不詳。

 顔が地黒でキュートなお歯黒、というキャッチコピーで名が売れる。

 エッセイ「既に神格化された山手線」では、

 自分の好きな番組だけをテレビで流したいと書いていたが、

 今は嬉し涙を流したいと思っている。 


『アキレスけん』


ベッドのうえ、ぼくは、

ふと、じぶんの、アキレスけんをみた。

そうすると、なにか、くろい、あざが、できていた。

(マラソン選手が黒服の人からピストルで撃たれている、絵)


ぼくは、きゅうに、アキレスけんが、いたくなってきた。

ここから、からだじゅうが、くさっていくのでは、と、おもえてきた。

(黒っぽいアキレス腱が吹き出しで「もう俺はダメだ」と言っている、絵)


くさったら、ヨーグルトに、なるのかな。

(肩までヨーグルトの風呂に浸かっている水戸黄門、の絵)


それとも、

なっとうに、なるのかな。

(納豆が入っていただろうワラを踏んでいる水戸黄門、の絵)


ぼくは、ヨーグルトが、いい。

なぜなら、はちみつを、かけて、たべると、おいしいから。

(ヨーグルトの風呂に浸かりながら、はちみつのシャワーを頭から掛けているマラソン選手、の絵)


でも、やっぱり、くさるのは、いやだ。

どうすれば、このふはいを、とりのぞけるのか。

(”腐敗”という文字が書かれたボールがたくさん入っているUFOキャッチャー、の絵)


---≪ちょっと、こばなし、の、コーナーだよ≫---


1.

うんどうするまえには、かならず、

じゅんびうんどうとして、

おしりを、ぱつんと、たたくのさ。


2.

あくしゅは、すきだけど、

しらないひとに、アキレスけんを、さわれることは、

なんだか、こわいなぁ。


3.

おとうさん、おかあさんは、もちろん、

おにいちゃんがいて、いもうとがいて、

おじいちゃんも、おばあちゃんもいて、

そんなかていに、あこがれているよ。


---≪もうおしまいだよ、おきてね≫---


ぼくは、おもいきって、ひっかいて、みることにした。

みぎてで、かきかき、みぎてで、かきかき。

(鬼の形相で猫が糸コンニャクを引っ掻いている、絵)


そうすると、なんと、

その、くろいあざは、くさりかけの、しるしではなく。

(大勢の人達から納豆を投げつけられ、絶望している水戸黄門、の絵)


あかだった。

(アリの巣に垢が詰められている、絵)


かくたびに、ぼろぼろ、ベッドに、あかが、おちていった。

そういえば、アキレスけんを、

おふろで、あらったことって、なかった、なぁ。

というか、さいきん、おふろに、はいっていないなぁ。

もしかしたら、

いろんなところに、

あかが、たまっているのかも、しれない。

あかが、たまっているのかも、しれない。

もしかしたら。

いろんなところに。

(絵無し)


でもまあ、アキレスけんの、あかは、とったんだから、

ほかの、あかは、あしたで、いいや。

(絵無し)


そんなまいにち。

(鬼の形相でアリの巣に納豆を詰め込む水戸黄門、の絵)


そんなひびを、

シックに、すごす。

(空撮された福岡の夜景が、セピア色の写真として載っている)


--ここは保護者の方が読んでお子様に聞かせて下さい--

アキレス腱は意外と洗い残します。

実は私も何度かアキレス腱が黒っぽくなっていて、

もうそろそろかもしれないと思ったことがあります。

そう現実を悲観しないためにも、アキレス腱はしっかり洗いましょう。

そんな洗う程度の力では、アキレス腱は切れません。

そんなにアキレス腱に怯えないで下さい。

(マラソン選手が自慢の俊足で黒服の人の銃弾をかわし、黒服の人へハイキックをしている、絵)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ