2.とある村へ
投稿ですが、別のアプリにて執筆、コピペですので段落とかがおかしかったりしますがご了承ください。
多少の加筆や、段落や行空けも投稿時にしてるので適当だったりします。
前触れなく修正したりしますが、ご了承ください。
彼女と狼たちに囲まれながら森を進む。方向感覚はなく、完全に他人任せになっている。
とりあえず、先程聞きそびれた質問をいくつかした。
「聞きたいことはまぁあるけどひとまず名前とかはあるの?」
はっきりいって野生ならないのが普通だろう。とはいえ、ないとは断言できない。異世界において俺の知る常識は前提になりえない。
向かう街で擦り合わせするとしても、狼たちがわかる範囲で擦り合わせはしたい。
とまぁ無難に会話で抽象的な二人称はいつまでも使うのは気が引けるので名前があればと思って問う。
「……ない。」
とまぁ予想通りの返答。
「なんて呼べばいい?不便だし」
「…………なんでもいい」
「うーん……」
まぁ名前がないのも当然だと頭を悩ませた。
名前が欲しいと言うのはこちら側の都合だからだ。
「じゃあ名前付けていいかな?」
「ん……」
口数少ない彼女は
「ん」と「や」でおよそYesとNoを区別していることは分かっていた。なので今回は肯定ととって思案する。
「白狼……白い狼……ハク……は簡単すぎるか。……白いウルフ……シル……シルってのはどうかな?」
途端ピタっと足を止め
「シル?……」
「うんシル。まぁ文字りなんだけどね。初めはハクがいいかなと思ったんだけどひねりがないと思って」
若干自虐的だが名付けた名前には自分自身は満足している。
気に入って貰えたかと彼女を見ると、ピクっと耳を立てたかと思うと、名付けた名前を連呼してフフとはにかんだ。
「ありがと」
これまでになく満面の笑顔だった。
ごく普通に感じるが、人の形をとり人の言語を理解する名もない獣にとって、名前はとても重要なのだ。
本人はただ喜んでくれたと思っているが、忘れては行けないのが彼女らは狼であること。
主人を見出し、主人に名を貰うことは主従契約の締結も同義だった。
「~♪」
シルは貰った名前を口ずさみながら足取りは先程に変わって軽やかだった。
すっかり懐かれた狼に毒抜かれてコナギは忘れているが、本来身内に優しく他に厳しい狼は、一度主と認められれば驚くほど忠実なのだ。
シルも例に漏れず、恩人としての彼から主人としての彼に変わりつつあった。
「名前……何?」
「え?」
「あ……自己紹介まだだっけ……コナギだよ」
「コナギ……ん、わかった。」
周りの狼たちも頷くようにこちらを見ていた。
(な、何?なんかした?名前変かな?)
意味もわからず狼たちにも振り向かれてたじろぐ。
「行こ……」
手を引かれ、理由を聞く間もなかった。
近くの街までは周りに他に何もいない理由や、洞窟に持ち帰ってた狩った獣はどこからとか。
これから向かう街はどんなだとか。
とりあえず知りたいことをおそらくわからないだろうと言うのは省いて聞いた。
あくまで獣からの目線のため、さほど期待はしていない。街で詳しく聞けばいいからだ。
曰く、突如として狩り場から獲物が消え探索し回ったが森から獣がどんどん減って消えてったらしい。街についてはあまり近づかないためわからないそうだ。
「突然……か。なんか人為的なものを感じるなぁ……」
「?」
「突如生態系が崩れるのはおかしい……森がより生い茂るのはその影響か……」
「コナギ……?」
ぶつぶつ考えをまとむるために口から漏れていたようだ。心配するようにシルはこちらを見上げている。
「いや、何も無い。街はまだなのか?」
「そろそろ……」
「そうか」
これ以上得られる情報もなさそうなので、返事もそこそこに以降は会話は続かなかった。
(辺りに動物が居ない理由、聞きそびれた……。)
雰囲気的に話せなくなり、そこから会話は発展しなかった。
そうこうしてるうちに、視界は広がり森を抜けた。
「あそこ」
シルが指さしたのは、街と言うより村に近かった。
周りを木の柵で囲い、農民たちが畑をいじるようなそれは田舎と相違ない。
「あそこか」
例え村とて、集落であれば欲しい情報は手に入るだろう。
「村までどうする?村人驚くんじゃない?」
「大丈夫」
「いや……まぁシルは大丈夫かもだけど狼たちは?」
「むぅ」
シルは頬を膨らませて抗議する。
「わかったわかった……だからそんなに叩くな」
そう言うと、ぽかぽか叩いていた手を止めにぱっと笑顔を作ると手を引いてはやくはやくと引っ張っている。
「おーい!」
村の近くまで行くと、近くの農作業をする人に声をかけた。
ちなみに人化出来ない狼たちは置いてきている。後に頃合いを見て連れてくるつもりだ。
「見かけねえやつらだべな、おまいさん服はどうしただ?」
「え?……あ!」
シルにシャツは貸したままで、上半身裸ついでにシルはTシャツ1枚という変態じみた格好2人組だったことに今更気づく。
「こんな村さ何用だべ?」
村人は特に警戒することなく、気がついたら森にいたこと、金もなく困っていることを簡潔に話して、村への滞在許可が得られた。
村長より、空き家を借り経済や地理などを教えて貰い、数日手伝うことで了承し、通貨をくれた。
バイトであれば衣食住がありながら給与も出る破格のものだった。
村長はさすがに格好が格好のためそれぞれに服を用意してくれた。
元の服はあまり布で作ってくれた荷袋にいれている。
村とは言え金回りは悪くないみたいで、その日暮らしという訳ではなくいくばか余裕があるようだった。
狼たちについては、元々田畑を荒らす獣を狩る存在として崇拝とまではいかないが敬う姿勢がもとよりあったので、俺の空き家を拠点にしてもらっている。
受け入れはスムーズで、時折村の子供たちと遊んでいる。
(もうペットの犬だなこれ、狼らしさが微塵もねえ)
念の為狼に触れる場合はシルが厳しく見張っている。
怪我とかすればしゃれにならない。狼と話せるのはシルしかいないためだ。
こうして数日のつもりがかれこれ一月ほど村に滞在し異世界について理解し、なおかつ農業についてもある程度ノウハウを得られた。
村長から、王都にある組合にて登録することを勧められ、村を後にして王都に向かうことになった。
組合の証明書は身分証として重宝し、異邦人ならばなおさら困ることは無いとのこと。
村から王都までは一週間ほどかかるらしい。
商人なども寄るため、道が整備されているが道中盗賊や魔獣などが襲撃するかもしれないらしい。
ここで初めて魔法、魔術のある異世界だと知った。
俺のいた世界が科学のみで構成されているのとは違い、ここでは生活にまで魔法、魔術が使われていた。
日中、シルたちと手伝うついでに練習したため、「生活魔法」の水属性魔法「流洗水」を覚えた。
シルはともかく、俺は威力が桁違いに弱く、いざと言う時の水確保程度にしかならないため出番はなかったが。
他の属性の魔法は、発動までにはならず断念せざるをえなかった。
ともあれ、これ以上厄介になるのも気が引けたため、善は急げとばかりにシルを筆頭として、狼たち総数7匹ほどを連れ、王都への街道を進むのだった。
日が空いて失礼します。ひとまず仮拠点確保です。が一月程で王都に向かうことになりました。
タイトル回収早くしたいのですがまだのようです笑
もう完全にペットの狼たちですが、主人のコナギとコナギが認めた人にしかなつきません。
ちなみにお腹を見せるのはコナギとシルだけです笑