へっぽこ天使(セラフィム)と三拍子〜序章〜
ども!凪です。初めましての方は初めまして〜!
新作は「へっぽこ天使と三拍子」シリーズです!
無自覚残念系女神様のほのぼのたまに戦闘(という名の修行)を交えたものを作りたいですねー
これでとあと三つ程の本編と番外を一つほど書こうと思ってます^^*
「ふぅ」
空を見上げて軽くため息をつき、地球を眺める。
三年前まで自分が住んでいた星を全く別の異空間から眺めるというのは、なんとも不思議な感覚だ。
私は日本に住んでいた頃、お伽話が大好きだった。貧乏だった私の家族(私・父・母)に祖母が残してくれた数々の本は私の宝物だったから。
祖母の書斎にある本は童話から昔話まで一語一句違わずに覚えてるレベルだった。
それが理由で天使に「スカウト」されたのだ。
階段から踏み外して落ちて、気が付いたら白い空間。
三途の川は無いのかぁ。
なんて思った私は悪くない。
最高神に聞いて初めて知ったことだが、神界には物語は存在しないらしい。
地球を覗いても、詞を司る言語神じゃないと文字は読めないし
何を言っているかもわからない。
私は仲良くしてもらっているが、言語神はかなり変わり者で、
自分の島からは1000年に1度出ればいい方というレベル。
とにかく、神も女神も天使も皆娯楽に飢えていた。
そんな時に現れたのが私らしい。天使になれる器を持っていて、物語をこよなく愛す。
誰も理解出来ないなら、分かる人に物語を語らせればイイじゃない!
と言うことで推薦されたとのこと。
ちなみに、男神と女神の線引きは微妙な所らしい。
例えば美神と美の女神の違い。美神は顔なんかがイケメンになるイメージで、美の女神はセンス全般が上がるイメージだ。うーむ、難しい。
私が天使になる代わりに得たものは「永遠の命」と「神話の真実」だ。
神話の真実をこの目で見ることが出来る。彼等からは友達の痴話喧嘩を見てるようなものらしいが、
私からすれば素晴らしいものだ。
ゼウス様は神話通り女たらしだけど、物凄くヘタレ。
ヘラ様はよく笑う優しい人だけどゼウスが不貞をすると、ムチを片手に暴れ回る。
イメージは女王様。でも、ゼウス様の自業自得だからだれも止めない。
物凄くほのぼのしていた。
私は天使になって物語を語るかわりに智天使からはじめさせてあげるとのことで、
天使になった瞬間から、配下?の天使が数え切れないくらいいる状態だった。
さらに色んな人達に語るうちに、なんか有名になって熾天使、
つまり最高格にしてもらえた。
さらにさらに、熾天使の中でも最上位として『物語』を司る事を赦された。
ただ、私は大好きな物語を語っていただけなのに。
つまり、私が物語の神みたいな感じだ。嬉しすぎる。
しかも皆いい人達で、加護をくれた。
戦神、薬神、最高神、美神、言語神、武神、魔神、知識神、技神、鍛冶神、不死神、死神、英雄神、食神、冥界神、精霊神、善伸、悪神、破壊神、創造神、運命神、太陽神、月光神……
さらに、
勝利の女神、美の女神、英智の女神、再生の女神、常闇の女神、安寧の女神、安産の女神、貞節の女神、縁の女神、激運の女神、妖艶の女神、音楽の女神、乱舞の女神、淫乱の女神、歌の女神、占いの女神、先見の女神、豊穣の女神……
本来、加護は『お手付き』と言う証拠につけるものらしい。
自分の玩具に名前を書くようなものだ。神聖さもくそもない。
最高神様が私に最高格の加護をくれてから他の神々も我先にと自分の与えられる最高格の加護を贈ってくれた。
そんなこんなで、現在 熾天使兼物語の女神な私は戦ったことがないのに、能力は最高神様の次に強いと言う謎現象が起こっていた。
戦神さんは3番目。なんかごめんなさい。でも喧嘩は売ってこない。
なんでも、私に手を出すと他の神々が黙ってないそうで。
特に最高神様。なんかもう溺愛してくださってる。
でも私は力を使う覚悟がない。だから、いつも守られる。
加護以外の力がないわけじゃない。
私には『偽話戯界』と呼ばれる力がある。
これは私の物語の女神としての固有の能力で
いわゆる架空世界を作れるものだ。
でも、永遠のものじゃなくて、私のイメージによって作られる世界。
例えばアリスを題材に偽話戯界を使えば、
アリスの物語の中に入り込める。主人公になることもできれば、こっそりと物語を覗くこともできる。
設定で物語の住民にはこちらが見えないようにもできるし、
逆に話しながら新しい物語を作ることも出来る。
まぁ、私が絶対の世界だ。その世界で私が
××が私が手を打つと戯界でも現実でも死ぬ
と『設定』し、実際に戯界で私が手を打てば××は死ぬのだ。
私から最大300キロ離れたところまで適用できる。この力があれば、国を一つ落とすことだって容易い。
そんな極端な力を持つ神が沢山いるのに世界が滅びない理由は簡単。
神は興味が無いことにはとことん無関心だからだ。
各世界の今の人々は神に良くも悪くも見捨てられている。
気まぐれで滅ぼされることもないが、圧倒的な力で救われることもない。
世界への干渉は自由で星核と呼ばれる、星の情報を設定するものさえ壊さなければ何をやってもいいのだ。
好きな男神に振られたからといって女神が三つの世界を滅ぼしたなんて事もある。
ちなみに、彼女は現在「暴虐の女神」の格を持つ。
まぁ、閑話休題。
私は神の中でもかなり使い勝手の良い能力を持っているから勿体ないと最高神様に言われたのだ。
まだ神になって日も浅いので、どこかの世界に降りて特訓したらどうだと。
神界では、動物を殺したりすることは無い。睡眠も食事も無くても生きられるからだ。
このままでは、宝の持ち腐れ。物事を司る神はいくら加護があっても狙われるのだ。
そう教えてくれたのは理を司る神様だった。
むしろその物事に価値を見出している神が多いからこそ加護が多いからといって
狙われる可能性もあるらしい。
だから、最高神様が作った『不可侵』の世界に降りて修行すれば?という事らしい。
不可侵の世界というのは、物事を司る神々の中でも100柱のみが一つづつ持つことを許される世界のこと。
神格に関係なく、自分以外が許可なく干渉することが出来ない世界らしい。
たしかに、そこならば比較的安全に修行?できるだろう。
それから、何度か干渉させてもらった。その世界はいわゆる剣と魔法の世界。
エルフやドラゴンもいればモンスターもいるファンタジー代表な世界だ。
女の子は1度はあこがれるものなんですよ。かっこいい騎士様や王子様に。
もっとも、一応女神様な私は人とはどこか違う考え方をしちゃうように思いますが。
神族はみんな美男美女です。私も漏れなく美しくなりました。
最高神様、ありがとうございます。
……話が逸れましたが、イケメンを見ても
「あー、かっこいい系だな」
以上。
になってしまうんですよねぇ。前なら、
「わっ!イケメン!!こっちみてくれないかなぁ?」
だったのに。
まぁ、問題は無いでしょう。
私だってせっかくあるかっこいい能力。使いこなしたいに決まっています。
20年間彼氏無しでしたが、神になってまで恋人を求めるのは切ないです。
みんな、恋愛感情じゃなくて能力で選びますから。一緒にいて飽きない能力のある相手を。
あるいは、人気の神を捕まえて箔付けを。
普通の人間だった私には、おおよそ理解し難い価値観です。
恋愛がいない訳ではありません。ただ、無量大数を超える神々の中では少ないというだけです。
まぁ、さすが最高神様としか言えないほど矛盾点の無いバランスの取れた世界でした。
ここならば、問題がある無いでしょう。
そうときまれば。
さぁ、出発だ。
なりたてでも、神の端くれなのでね。
準備なんかいりませんよ。
さぁ、見ていてください。
強くなって帰ってきますからねッ!
へっぽこ天使と三拍子の序章を読んで頂きありがとうございます(〃・д・) -д-))ペコリン。
予想以上に説明会みたいになっちゃいました……
コメ、ブクマ、評価などなど
続編を書く励みになります!良ければ是非!お願い致しますm(*_ _)m