escape Minus days
あの日、貴方は逝きました。
ただ、逝きました。
美しい彫刻と化した。
草木を潤すたくさんの雨が降った日でした。
ザァーという音の間に滑り込む子供の悲鳴。
薄暗い研究室。
静かに笑う死体。
あっという間に僕の頭はキャパオーバーを迎えました。
自分がたっているのか、座っているのかも、わかりませんでした。
ただ、そこに存在しているだけ、そんな塩梅でした。
貴方が残したものはとても大きいと思いました。
まず、子供を残しました。
次に、死体を残しました。
そして、セカイを残しました。
最後に、僕を残しました。
根こそぎとってくれればいいものを、僕は気まぐれに慟哭することしかできなかった。
僕が止まっている間も時は平等に歩み出していました。
時は僕には不似合いなプレゼントをおいて今も進んでいます。
時のまにま。手つかずの地に、包み紙すら開けることなく呆然と呼吸をしている僕がいました。
僕は決断をしました。
悪魔に魂を売りました。
僕の穢れた心臓はいづこへと。
僕にとても似合っているプレゼントが目の前にありました。