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モノウイクローム  作者: いーた
1.突然現れた美少女は
3/5

3回目 頭が追いつかないよ

「は…アンドロイド?」


「またの名をロボットといいますね。機械です」


嘘だろ。

あんなリアルな動き、機械で再現できるのか…。

えっでも声とかスピーカーから出てる感じしなかったけど。

というか全然普通に人間だと思ってた。


「どこの会社ですか?」


「あ、いやそのへんなんですけど…」


「…?」


私の質問に髪をわさわさと触る神谷。

言いづらそうに「言えないんですよ…」と小さな声で言った。


「…」


ますます意味がわからない。

そういえば来た理由もまだ聞いてなかった。

本当に何しに来たんだこいつら。


神谷は「うーんんん…」と唸っている。

いったいなんだというのか。

とりあえず話だけでも進めてもらうことにしよう。


「あーすみません、割り込んじゃって。

 さっきの続けてください」


「そうさせて頂きます…」


神谷はもう一度タブレットを見てゴホッと咳をするとネクタイを締め直した。


「単刀直入に申しあげます。私共は未来からきました」


「まじですか」


「まじです。

 そうですね…ざっと90年くらいでしょうか」


「…タイムマシンってやつですか」


「うーん、ちょっと違うんですけど、まぁこの時代でしたらそんなところです」


今って平成でしたよね?と付け足す神谷。

未来か。

漫画でよくあるやつだな。

信じられない。


正座を崩さすに座るのもそろそろ限界が近いのだろうか。

足を微妙に変えている。

辛そうだ。


「平成であってます」


ありがとうございます、とメモ?をとり、ああやはりそんなに変わりませんねと漏らした。

タブレットで調べているらしく、少しうつむき加減で画面をなぞる姿は別に現代で見てもおかしく見れる箇所はなかった。


「ちなみにまだ私、信じきれてないんですけど」


ピタっと動きが止まる。

神谷はですよね、と言わんばかりに俯いた。


「ですよね」


言いやがった。


「詐欺とかかって疑ってます。」


「ですね」


「なんか信じれる証拠みたいなのないんですか。」


「いや、あるにはありますよ。

 大抵の方は信じないと思うので、ちゃんとそういうのは用意してます」


「用意してるのより私が質問するんで、今じゃ絶対わからない未来の質問答えてください。

 そのほうがなんかいいです。」


理由はぐだぐだだが、なんとか了承してくれた。

わかりました、と言うと神谷はタブレットを再起動させる。

ホヮンと音が鳴って画面が映し出される。

どうやらスマホのようなものらしい。


「90年たってもそのへんは変わらないんですね」


「まぁ別にこれで十分便利ですしね」


うーんそれしたってどうしようか。

案外質問を考えるのは難しい。

それも未来のこととなると話は別だ。

どうにかなることを見据えて考えなくてはいけない。

うーん。


「そうですね、今からうちの前を1番最初に通る人の性別、髪型、服装など、特徴を言ってください」


しばらく私が考えている間タブレットで色々と調べていた神谷は私の言葉を聞くと、途端にキョトンとした顔になった。


「えっ、そんな簡単のでいいんですか?」


「え、簡単なの?」


「いや、まぁ…ちょっと待っててください。

 あ、言葉で伝えるより画像の方が早いのでそっち見せますね」


そういうと神谷はまたさらさらとタブレットをなぞり、電話をかけ始めた。

会社だろうか。


そろそろ痺れてきたのだろう、足を組み替えてはまた組み直してを繰り返している。

先に楽にしてくださいとでも言っておくべきだった。


「あっ、神谷です、部長いますか?ちょっと調べたいことがありまして…ええ…」


だれもいない空間にペコペコと頭を下げながらありがとうございますと言っている姿はなんとなく頼りなく、そして情けないように見えた。

これが社会人というやつか。


「…はい!わかりました、ありがとうございます。

 それでは失礼します」


話が終わったらしく、また画面をなぞると画像を表示させて私に向けた。


「この男性です!」


神谷はどうだと言わんばかりのドヤ顔で私にみせる。

画面に表示されたのはうちの前を歩く、ジャージの男性だった。

40代後半くらいだろうか、頭が少し寒そうだ。


「…これ何分後ですか?」


「えっとですね2時18分30秒頃ですから、あと1分ほどですね。」


今は2時だったのか。

つまり私は昨日の晩飯、今朝の朝食、そして昼食の3食を食べていない。

なるほど、どうりでお腹がすくわけだ。


「あっ、ほら来ましたよ!あの男性です!」


いつのまにか神谷は先ほど入ってきた窓からベランダへ出ていた。

左側の通行路を指差している。


私も小走りで神谷のもとへ追いつき、その指さす先を見ると確かに先程の頭が寒そうな男性がコンビニ帰りだろうか、のんびりと歩いていた。


「ほんとだ…」


「これで信じていただけましたか?」


「うーん半信半疑程度には」


「う、そうですか…」


見るからにしょぼんとする神谷。

再度部屋へと足を進める。


「まぁでも、私たちも今日来たのはこの時間帯ちょうどものう様が在宅していて、なおかつご家族の方がいない時間帯だったからなんですけどね」


「個人のプライバシーはどこへ」


「大丈夫ですよ。

 特別な許可をとって調べているので部分的な情報しか調べられませんから」


「へぇ」


たらたらと会話をかわしつつ部屋に戻り、先ほど座っていた場所にもう一度座った。

神谷は机の前まで来ると少し嫌そうな顔をしたので「楽にしていいですよ」といったところ、「助かります」と少し苦笑いをしてあぐらをかいた。




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