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スマホを使い始めました 青きユリって?

掲載日:2026/08/12

まだ、新しいスマホになじめない。


 最初の画面からして情報が多すぎるし、今度のスマホはスワイプ操作が中心だ。画面に操作用のボタンを表示させる設定もあるらしいけれど、それを使ったら、なんだか負けたような気がする。


「もう少しだけ、このままで頑張ってみよう」


 誰と勝負しているのか自分でもわからないけれど、しばらくはやせ我慢をすることにした。


 もちろん、努力もしている。YouTubeで「Androidスマホの基本操作」という初心者向けの動画を、メモを取りながら真剣に見ている。


 動画の内容を文章にまとめてくれる機能もあるらしいが、わたしは自分でメモを取る。


 そして、シャーペンを持ったまま、うっかりペンタブレットをつんつんしてしまう。


 気をつけよう。


 しかし、そんな研究の甲斐もなく――恥ずかしながら、最初は電話に出ることさえできなかった。


 主人に頼んで、電話をかけてもらう。


「じゃあ、かけるよ」


「うん」


 すぐに着信音が鳴り、画面に応答のマークが表示された。


「あ、これね」


 自信満々にマークを押す。けれど、電話はつながらない。


「あれ?」


「押した?」


「押したわよ」


「もう一回、かけようか」


 再び着信音が鳴る。今度はしっかりと押した。それでも、うんともすんともいわない。


「どうして……?」


 二人で首をかしげながら、じっと画面を見つめる。


 今ならわかる。


 押すのではなく、マークをスライドさせるのだ。


「こんなこともわからないなんて」


 自分でも苦笑してしまうが、説明されなければ本当にわからない。画面を「押すもの」と思い込んでいる人間を、スマホは優しく導いてはくれないのだ。


 そういえば、今の操作は「押す」ではなく「タップ」というのだったわ――と思い出す始末である。


 おまけに、もたもたしていると、すぐに留守番電話へ切り替わってしまう。


「待って、今出るから」


 画面に向かって頼んだところで、スマホが待ってくれるはずもない。これも、留守番電話に切り替わるまでの時間を延ばせないか、あとで調べなければ。


 文字入力にも、まだ戸惑っている。


 これまで使っていたiPhoneでは、「あ」を押すと、その周りに「い・う・え・お」が花のようにパッと広がった。ところが、新しいスマホでは、文字を動かす方向が上に表示される。


 ちゃんと指を動かす方向が画面に出ているのに、ワンテンポ考えてからでないと指を動かせない。


 ほんのわずかな違いなのに、そのたびに頭の中で変換作業が入る。以前より一段階多く脳みそを使っているようで、妙に疲れてしまう。


 ただし、ありがたいところもある。


 文章を直すとき、カーソルの位置を動かしやすいのだ。


 わたしは「小説家になろう」に予約投稿した文章を、あとからスマホで読み返すことがある。誤字を見つけて直そうとしても、以前のiPhoneでは、狙った場所になかなかカーソルが合わなかった。


「そこじゃない。その一つ前!」


 指でタップすると行きすぎる。


「ああ、今度は後ろに行った!」


 戻そうとすると、また行きすぎる。


 たった一文字を直したいだけなのに、カーソルは目的の場所を通り過ぎて、前へ後ろへ行ったり来たり。あれはかなりのストレスだった。


 それに比べて、新しいスマホは、矢印でカーソルを動かせる。


 こればかりは本当にありがたい。


 全部が使いにくいわけではないのだと、少しずつ新しい相棒の良いところも見えてきた。


 そういえば、もう一つ、これは間違えていると言いたい。


 着信音を設定しているとき、一覧の中に「青きユリ」という名前を見つけた。


「青きユリ? きれいな名前ね。どんな曲かしら」


 試しに再生してみると、流れてきたのは、誰もが知っている超有名なクラシック曲だった。


 なぜ、この曲の名前が「青きユリ」なのだろう。


 とりあえず、この投稿をアップしたら、あれこれツッコミを入れながら着信音を決めようと思う。


いつもお読みいただき、ありがとうございます!


誤字や脱字をご指摘いただけることにも、心より感謝しております。

とても助かっています。


作品を楽しんでいただけましたら、ブックマークや★★★★★で応援していただけると嬉しいです。


短編なのにブックマーク? と不思議に思われる方もいらっしゃるでしょうか?


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これからも、どうぞよろしくお願いいたします。


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