↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カラールーム  作者: そうだアメ
第2章:振り向いた先には誰もいない
33/38

クチナシが馨る 04

 今日は、俺と宇栄原しかその場にいない。別にだからどうとかいう訳ではないが、いつもより静かに感じるそれは新鮮だった。それは恐らく、今までの人数が当たり前になっていたということなのだろう。ただそれだけのこと話だ。


「拓真さあ」


 ひとり、いつものように話しかけてくる人物は、相変わらず本に視線を落としたまま俺の名前を呼んだ。


「……なに」

「ここ最近図書館行った?」


 突然発せられたその図書館という単語に、俺は一瞬戸惑った。


「……なんで、んなこと聞くんだよ」

「いや、単に気になっただけ」


 今どうして更そんなこと聞くのかと疑問が募った。肯定も否定もしない俺をどう思ったのかは知らないが、宇栄原はそのまま話を続けた。


「別に行くのはいいんだけどね、行くのは」

「なんだよそれ……」


 宇栄原はこの言葉の続きを言うことはなかった。一体どういう意図なのかはある程度予想はつく。だから俺も、それ以上のことは口にしない。


「ねえ拓真」

「……なに」

「もし、もしもの話だけど……例えば幽霊以上の何かに出会ったとしても、おれは何もしちゃ駄目なの?」

「……どういう意味だよ」

「そのまんま。確認しておこうかと思っただけ」


 しかし、この質問の意図だけはよく分からなかった。


「状況にもよるだろ」

「状況、ねぇ」


 納得したのかしてないのか、思案をしているのであろう沈黙が流れた。


「……変なことはすんなよ」

「それは状況次第でしょ」


 撤回しないでよね。そう軽口を叩く宇栄原はいつものそれだったか、やはり少しいつもと違う。手に持っていた本を、宇栄原はそっとテーブルに置く。窓から落ちた光によってテーブルが赤に染まりかけているのが、俺の視界に入った。


「……静かだね」


 その宇栄原の呟きに、俺は答えることをしなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。