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第四話 王都ウィンズム

今回は、今までのよりも少しだけ長くなりそうです。











ガタン・・・ポクポクポク・・・


今、ユニは馬車に父と共に揺られている。二人とも嬉しそうな笑顔である。しかし、父のそれは久々に娘と長く一緒にいれる事から来るものであり、ユニの笑顔の原因は久々に屋敷から外に出て遠くに来れた事によるものである。


それというのも、昨日の夕方の話である―――











コンコン・・・


「おとうさまー?」


ノックの後に響く明るく高い声はもちろんユニである。


「おぉユニこっちにおいで?」


ユニを見て嬉しそうに父は自分のそばに呼ぶ。


「お話って何?おとうさま?」


「あぁ・・・そうだったな。実は明日、お父様は王に会いに王都に行かなければならないん

だ。ユニのことをぜひ紹介しろと王がうるさいからユニ・・・一緒に王都に付いて来てくれないか?」


それを聞いて途端にユニのテンションが上がる。


「ほんと?屋敷の外に出られるの?おうさまに会える?」


「あぁ、そのために行くのだからな。」


それを聞いてさらにテンションが上がるユニ。そして、部屋のドアまで駆けていくと・・・


「じゃあ、明日の準備があるからもう行くね♪」


それを聞いて、もう少し話が出来ると思っていた父は慌てる。


「待ちなさいユニ!・・・ユ~ニィ~・・・」


既にユニは廊下に躍り出て駆けて行くところだった。















父がそんな事を思い出している間に馬車は王都の城門に差し掛かっていた。


「うわぁ~大きいねぇ~~!」


嬉しそうにユニがはしゃいでいるのを見て嬉しそうに父は言った。


「王城はもっと大きいぞ?それこそ、天にも届きそうなぐらいだ!」


『姫、世界にはもっと大きなものなど山ほどあるぞ』


炎の精霊はどこか可笑しそうに言った。


「ほぇ~~すごいね!」


父は自分と反対の方向を見て話をするユニを見て思い出したように言った。


「ユニ・・・馬車から降りたらあまり精霊達とは話をしないようにしなさい。」


やはり世界にもわずかしかいない神子の存在を知られるのはまずいのだ。


「はぁ~い!」


元気にユニは返事をした。














―――王の間、玉座前


「王、お久しぶりに御座います。本日はお招きいただきありがとう御座います。」


玉座の前に跪いたユニと父は顔を伏せて父は厳かにそう言った。


「うむ、遠路はるばるご苦労であった。メルドール公爵・・・良い、皆の者下がれ」


ぞろぞろと王の間を侍女や兵士達が下がっていく。全ての人が出て行ったところでやっと王から声が掛かった。


「面を上げよ!」


そう言われてユニは顔を上げる。

そのとき、父はおもむろに立ち上がり玉座に向かってズンズン歩いていった。父の暴挙にユニは内心慌てる。が・・・


「なぁにが、『面を上げよ』だこの馬鹿!」


「なかなか良かっただろう?しかし久しぶりだな。マーズ!」


「あぁ、そうだなオルドレイク」


(何でこんなにこの二人は仲がいいんだろ?)


「?あぁ、ユニ紹介しようこの国の王であり父様の幼馴染のオルドレイク・オル・ウィルマーズだ。オルドレイク、こっちは俺の可愛い一人娘のユニだ!」


紹介されて吹っ飛んでいた意識を取り戻したユニは慌ててお辞儀をして自己紹介をした。


「ユルニス・メルドールです・・・」


「はっはっはっはっは!緊張してるのか、ユニ?こんなヤツに緊張する事なんかないぞ?」


「おいおい。こんなヤツはないだろ・・・」


肩をすくめてオルドレイクは朗らかに言った。


「しかし、本当に可愛らしい娘だな。あっと数年もすれば間違いなく絶世の美人になるだろ

う」


「そうだろう!自慢の娘だ」


そう言う父の服の裾を引っ張って屈ませた父に耳打ちする。


「お父様・・・私そんなに可愛くないよ・・・」


眉尻を下げて言う娘に父は笑いながら「そんな事無いぞ!ユニは世界一可愛い!」と大きな声で言った。そのときやっと玉座の隣にユニと年の近そうな少年がいることに気が付いた。


「?」


ユニが見ていると、赤くなってしまった。


(感情が表に出にくいこいつが照れるなんてな・・・フフフ、面白い)



「ユニちゃん、コイツは俺の息子のルードリヒ・オル・ウィルマーズだ。仲良くしてやってくれ」


「ユニ、お父様達は大事な話をしなくちゃいけないんだ。だから、王子にちょっとの間庭でも案内してもらいなさい。・・・襲われ無いように気を付けてな?」


「?]


意味が分からずユニが首をかしげているとオルドレイクが言った。


「人の息子を何だと思ってるんだまったく・・・ほら、ルードリヒ行って来い」


「あぁ」


ユニの手を引いてルードリヒは王の間を出て行った。

後には心配そうに二人の後姿を見る父親と、対照的にそれを面白そうに見る国王の姿があったという・・・














庭の花畑まで来た二人は花畑の真ん中に座り込んだ。

キョロキョロと視線を動かし、挙動不審な様子を見せる王子。

一方ユニは綺麗な花々に囲まれて溢れんばかりの笑顔を振りまいている。


「ねぇ、王子さま。何かお話して?」


「ルー・・・」


「え?」


「ルーって呼んでくれ。親しい者はそう呼んでいる。」


それを聞いて納得したのかユニは嬉しそうに言った。


「わかった!じゃあルー、何かお話して?」


「何の話がいい?」


「うーん?じゃあ、不思議な話!」


「そうだなぁ・・・俺もあんまりそういう話は知らないからな・・・そうだこの前この国の南のシルフの森と呼ばれる森で狩人達が神殿のような建物を見たそうだ。次に来た時にはそこには何も無かったらしい」


不思議そうにユニは聞いた。


「それってどう言う事なの?」


「うーん、あの森は昔から風の精霊の恩恵を強く受けていると言われているんだ。もしかしたら狩人達が見たのは彼らのことを祀る神殿だったのかもな。」


「へぇ~行ってみたいなぁ世界中の色んなところに・・・」


そう言ったユニにルーは


「俺が連れてってやるよ旅に行きたい時は俺に言いな!こう見えても俺魔力は結構あるし剣だって王立大会でベスト8なんだぜ?」


それを聞いたユニはビックリしたようにこう言った。


「すご~い!ルー強いんだね!でも、私も魔法じゃ負けないよ!」


「魔法が使えるのか!だったらなおさらいい。戦えたほうが旅にはいいからな!」


「うん!絶対に連れてってね?約束!」


「あぁ!約束だ!」


そう言って二人は立ち上がりお互いの小指を絡め約束した。

そのとき、「ユニ~帰るぞ~!」渡り廊下のところでマーズが呼んでいる。


「はぁ~い!」


そう言いながらユニが駆けて行こうとした時、突然ユニは振り向いて


「私の事はユニって呼んでね!またね、ルー!」


そう言うと今度こそ父の元に駆けていった。


「あぁ・・・またな・・・ユニ。」


今まで見た媚を売るようなパーティで出会う少女達とはまったく違う明るいユニを見てルーは嬉しくて一人で花畑の中央に立ち尽くし、暗くなり始めた空を見上げた。


「あっ!」


その視線の先には暗くなりかけた空に煌々と輝く一番星。


「なんだか、ユニみたいだな・・・」


常に明るく希望となる一番星を見上げ誰に言うでもなく一人呟いた・・・以外にロマンチックな事を言う王子なのだった。













「ねぇ、父様。王様と何をお話してたの?」


ふと、疑問に思ってユニは尋ねた。


「何でもないよ。・・・ユニこそ王子と何をしてたんだい?」


「うーん・・・内緒!」


何だかんだで、似たり寄ったりな父娘なのでした。













長かった、そして旅に行くための理由ついに出ましたね。

旅に出るまであと一息!

応援よろしく御願いします!

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