第四十話 絆~誓い~
あれから一ヶ月。
世界を揺るがす激動の事件”魔の崩壊”が終結して、地上に平穏が訪れた。
男の居た城は暗底海の底に沈み、ユニ達は全員無事に帰って来る事が出来た。
アクオルマ・メテオルド両国は王都崩壊によって復興は難しく、尚且つ残ったウィルマーズのみに二国を援助するだけの十分な資金が無かったため三国を統一して一つの国となった。
新たに作られた国は旧三国の代表に平等に発言権が与えられており、緊急時には援助を求め合うという事になっている。
統治するのは、元の領地ではあるものの領内の不満の声を聞き届ける様に目安箱の設置などをするようになった。
「皆さん、来ていたのですね」
「ん?」
リヒターが前にいた二人に話しかけた。
「リヒターか、まあ俺達も代表として参加しないわけにはいかないだろう」
「まあ、あいつ等の一大イベントだからな!」
「そろそろ会場に行った方がいいかもしれませんね」
リヒターが先導して会場の方に歩き出すとレイとフレッドも続いて歩き出した。
ウィルマーズの城の前にある広場に面したテラス。
そのテラスには正装をしたルー、ルードリヒ・オル・ウィルマーズの姿があった。
広場は世界中から集まった人々で犇めき合っており、国賓などはルーの後ろのテラスにいる。
国王及び王妃も後ろに控えている。
その時騒がしかった広場に向かってルーが手を挙げ、一斉に静かになる。
一人ひとりの顔には歓喜の様な表情が浮かんでいる。
後ろからカツカツとヒールを鳴らしながら真っ白のドレスを着たユニがルーの横に並ぶと、再び歓声が起こった。
ユニが黙ったまま手を挙げ横に振ると精霊が祝福する様に周りを飛び交う。
歓声は止み、誰もがその光景に見惚れる中静かにルーは口を開いた。
皆、聞いてくれ!先の戦いは終結し、この世界はそして国々のあり方は刻一刻と代わっている!世界は、人は協力して困難を乗り越える術を知った!私と私と生涯を共にするこのユルニス・メルドールは世界と皆のために力を尽くそう!世界に祝福の光の加護が有らん事を―――――――――
世界は、今動き出した!!
最終話です。
次話にエピローグが続きます。