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第三十五話 光の道
















「―――――――――――で、また何もないじゃねえか!!」




「うるさいぞ」


闇の神殿を出た一行はそのまま暗底海にあるもう一つの島に来ていた。


「また中心に墓石があるかも知れませんよ?」


「そう、毎回同じ事があればいいがな」


闇の神殿のあった島と同じ風景、同じ地形を見ながら先へと進み島の中心に来たとき


「何にもないよ?」


「しかし、ここまで開けた地形は不自然ですし島の形は先の島とほぼ同じ。ここに何かある

のは間違いないでしょう。手分けして周囲を探ってみましょう」

















空き地をウロウロとユニ達が歩いて、何か変わった物がないか調べていた。


『うわ~、姫様だ!』


「え?・・・貴方、光の精霊ね?」


『そうだよ!』


突然目の前を飛び回りだした光の精霊は下級に当たる力の様だが、光や闇は高位に当たるため下級と言えどその力はかなり大きい。


「ねえ、光の神殿がどこにあるか教えてくれない?」


『え~とねぇ・・・上!』


「上?」


そう言って、上を見上げても空には何も見えない。

ただ広がる青空に視点を精霊に戻すとそこには光の精霊の子がいなくなっていた。


「あれ?・・・まぁ、いっか」












「で、何か見つかりましたか?」


「何も」


「俺もだ」


「俺は周囲、目測で2・30m地点に六ヶ所小さな鉱石の欠片の様な物を発見した。鉱石は黄色、硬度は恐らく破壊できる類ではないと思われる」


「どういう事だ?」


「俺の大剣で軽く叩いてみたが罅どころか欠ける事さえなかった、これは自然に出来るも

のではないだろう。そしてその鉱石の中心は今俺達がいるここだ」

地面を数回踏みしめて言うフレッドは大剣を無言で地面に突き立てた。


キン―――――――――――――――


「何か下にある?」


「そうだ、この下の物も恐らく同じ鉱石でできている」


「よ~し!」


ユニが短剣を地面に投げつけたと同時に巨大な竜巻が発生する。


「「「「・・・ユニ(お嬢様)・・・」」」」


「ごめんなさい・・・」


地面は黄色い透けた鉱石に変わり日の光を乱反射して神秘的な雰囲気を醸し出している。


「これは・・・」


「美しい」


周囲に可視化した光の精霊が飛び交い地面の鉱石に魔方陣が浮かび上がった。


「これは・・・」


「どうなって・・・うわぁ!」


「何なんだこの光は!?」


光に包まれたユニ達は固く目を閉じた。

一瞬の後光は収まりそこには輝きを元に戻した日の光を乱反射する黄色い光だけであった



















「ここは・・・」


目の前には白く大きな神殿、上には深くどこまでも澄んだ青しかし一点だけ輝く白い太陽。


「見ろ!」


フレッドの声に振り向くと、遥か下に雲と海が見える。


「ここは・・・天空か?」


「みたい・・・そう言えばさっき、光の精霊の子が光の神殿は上にあるって言ってた」


「と言う事は、ここは光の神殿で間違いないという事か」


「行ってみよう」




















真っ白な神殿の廊下を進むと綺麗な大広間に出た。

そこには一席の玉座があり、その後ろからは太陽の白い輝きが差し込んでいる。


『姫様、やっと来た!』


「貴方さっきの・・・」


玉座の上にはチョコンと先程の精霊が座っていた。


「ねえ、光の精霊王はどこにいるのかな?」


『ここだよ?』


「え、どこ?」


きょろきょろと周りを見渡すユニを見て、クスクスと笑う精霊の子。


「お嬢様、元より見えている貴女には分からないかもしれませんが、その方が光の精霊王ですよ」


「え!?」


『流石ですね。貴方の洞察力は変わってはいないようです』


玉座を立ち上がった精霊の子は一瞬で輝く女神に姿を変える。

真っ白の布を纏った女神は金色の髪にトパーズの様な瞳、ただ纏っている布はまるでドレスの様に女神を包む。


『私は光の精霊王『レイ』、よく参られました姫』


「何で精霊の子供に・・・?」


『それは貴方達の反応を見たかったから・・・と言うのは口実で、実は面白そうだったからです』


「・・・面白そうって・・・」


その時、流れる様な動作で手を翳し、光がユニ達を覆った。


『貴方達の心を守る光を与えました。光は心の力で増幅し、闇から貴方達の心を守るでしょう』


「あ、ありがとう」


『いえ、もう行きなさい・・・時間は無いわ』


「待って下さい・・・変わってはいないとはどういう意味ですか?私の事を知っていると?」


『ええ、良く知っているわ・・・でもごめんなさい、私からは教える事は出来ないわ契約の力が働いているから』


「契約・・・」


『さあ、時の精霊王は必要な時にやって来るわ。貴方達の未来に光が有らん事を』


再び手を翳すと光の放流に飲み込まれ、次に目を開けた時には地上に戻っていた。
























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