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第十八話 光の翼

水の神殿完結編入りマス!!















「綺麗!」


中庭に出た一同の中、心配している三人の事等眼に入らないほど綺麗な庭園に見入っていた。

足の痺れさえなければ今にも駆け出しそうな勢いである。


「確かに見事な庭園ですね」


リヒターも言うようにとても美しいのである。

庭園と言っても別に植物があるわけではなく、水が滝のように流れ続けているオブジェや綺麗な女性の像が持っている壺から水が流れ落ちて下に溜まり、溜まった水が水路を通って流れていくと言った様々な工夫がされていた。そこは正に幻想的空間である。


「ルー、あそこに連れてって?」


そう言って水が溜まっている場所を指差す。


「あぁ」


ぎこちなくもユニの体を支えながら連れて行った。


「ありがとう!」


そう言うとおもむろに靴を脱いで左足の焦げた靴下に注意しながら、両方の足の靴下も脱ぐと水の中にその白い輝かしい足を浸けた。


「気持ちいい~♪」


「足の痺れはどうですか?」


気持ちよくて上機嫌なユニにリヒターが尋ねた。


「う~ん・・・あと少しで抜けると思うから皆も休憩してて?」


「分かった。本当にすまなかったな」


レイが謝るとユニは頬を膨らませてむ~と言いながら手招きをした。


「なんだ?」


不思議そうに顔を近づけるとユニはレイの頬を摘んで左右に引っ張った。


「謝らない!!」


「・・・しょうだにゃ、ありがとぅ」


「ぷっ・・・くくく・・・あははははは!」


レイの口調はユニに頬を引っ張られている為、変になっていてそれに耐え切れずにユニが笑い出した。


「ご、ごめんなさい・・・くくく」


笑いながら謝ってユニはレイから手を離した。

そうした時、レイは自然な流れでユニのふっくらとした頬にキスを落とした。


「これで許してやる」


にやっと、笑ってユニに言うとスタスタと別の水場に去っていった。

しばらくキョトンとしていたユニだったがやっと意味を理解したのか、頬を真っ赤にしてアタフタとしていた。(え?今、キスされた?何で?どうして?・・・)

真っ赤になって思考の海にどっぷりと浸かっているユニに後ろから声が掛かる。


「ユニ?真っ赤になってどうしたんだ?風邪か?」


「えっ、い、いや・・・何でも無いよ?」


「だったら良いんだが・・・?そろそろ行けるか?」


「えっ、う、うん!」


足の痺れが抜けた事を確認して、水から足を抜いて軽く拭くと靴を履いた。



















「そろそろ行きましょうか」


リヒターの声を聞いて集った一堂。


「扉が入って来た向かい側に二つありますがどっちに進みましょうか?」


リヒターの問いかけにルーが思い出したようにユニに言った。


「精霊からは何も聞けないのか?」


「う~ん・・・ちょっと待って」


そう言うとユニは感覚を研ぎ澄まし遠くからの精霊の声を聞いた。

そして、かなり小さいがはっきりとした言葉を捕らえた。


『来てはいけません!!』


「っ!?」


「どうしたんだ、ユニ?」


突然息を詰めたユニにルーが聞くと、


「来ちゃダメって、言ってる」


「しかし、奥に進まないと精霊王の開放が出来ません」


「とにかく進もう?」


レイの言葉に左の扉を進んだ。

















「どうやらこちらで正解だったようですね」


リヒターの言葉に全員が頭の上に?を浮かべている。


「見てください、あの扉には鍵が付いています。恐らく、先ほどの鍵で開くのでしょう」


かなり長い間、通路を歩き続けてきた奥にある小さな扉。

そこに、さっきの戦いで手に入れた鍵を差込み回す。

その先には水槽のような大きな水の溜められたプールがある部屋。

壁には青い炎が灯っており暗く湿気が多い感じがした。


「何かいますね」


リヒターがそう言うと皆一斉に身構えた。

その時プールの中央がコポコポと音を立てて、盛り上がり始めた。

ピタッと水面が止まると一気に天井にも届きそうなほど水が吹き上がった。


「何だ?」


レイが言うと、水飛沫が収まってそこには半分ほどにまで減ったプールと龍のような形をした水の塊があった。

すると、龍はうねりながら突進してきて左右に散って避けた四人がいた所に、突っ込んでいた。


「はぁっ!!」


リヒターが首を真っ二つに切ったかと思うと、斬ったところがすぐに繋がった。

それを見たリヒターは素早く下がり大きく言った。


「どうやら、物理的な攻撃は効果が無いようです!魔法での援護を!」


「分かった!雷よ!」


短いレイの詠唱(?)の後に龍の頭上から雷が落ちた。

一瞬動きが止まったが直ぐに動き始めた龍がレイに向かって突進してきた。


「くっ!」


体勢の悪い状態から後ろに飛びずさったが、避けれそうに無い。来るであろう傷みに絶える為、目を閉じ唇を噛み締めた。


パァン――――


水の弾ける音に驚いて目を開くと両手にナイフを持って回転し、水を切り裂くユニの姿。


(綺麗だ・・・)


「レイ!!」


見惚れていたレイは走って距離をとると、周りに目を走らせた。

その時、プールの中に赤い球体が漂っているのを見つけた。


「まさか・・・!?出でよ、雷砲!邪悪なる者を打ち抜け!!」


懐から取り出した杖を前に突き出して、杖の先端から放たれた球状の雷が赤い球体に掠る。

その瞬間、龍の体が崩れかけた。それを見て分かったのかユニが詠唱を始める。


「出でよ雷の眷属、万物の動きを封じよ!」


詠唱が終わってユニがナイフを水の中に投げ込むと水中を黄色い閃光が駆け抜け、赤い球体の動きが止まった。ユニが大きくルーに言った。


「ルー!!止めを!」


「任せろ!!」


そう言ったルーは構えていた剣を振りかぶり大きく跳躍すると赤い球体に剣を埋めた。

それを止めようとルーに襲い掛かろうとしていた龍がただの水に戻り、その水が盛大にルーに掛かった。


「うわっ!?」


水がプールから一斉に引くとルーの元に三人が降りてきた。


「はっはっはっはっはっはっ!コイツはいい!!」


「もう!笑っちゃダメ!!・・・ルー、大丈夫?」


「ふふふ、大丈夫ですか殿下?」


「・・・冷たい」


一言呟いたルーに大爆笑する、レイとリヒター。心配そうに見ているが、ユニの口元も緩んでいる。

その時、プールの中央が青く輝き床から檻が出てきた。しかし、その檻には闇が纏わり付いていた。


「くくく・・・二人目の精霊王の封印を解きに来たか?精霊の姫よ・・・」


「誰!?」


闇から少し低い男の声が聞こえた。

闇が弾け、檻の上に黒いマントを着た黒髪の男が立っていた。

一瞬でユニの前まで移動した男は顎を掴みジロジロと見る。


「何してやがる!!」


「ユニから手を離せ!!」


ルーとレイが左右から攻撃を仕掛けた。しかし、そのまま二人は闇に吹き飛ばされ壁に激突した。


「ふん・・・下等な人間風情が・・・」


「ルー!レイ!!」


悲痛な叫び声を上げるユニを楽しそうに見つめる男を背後からそっと近づいたリヒターが双剣で斬り付けた。しかし、まるで空を切った様に手応えが無く二人と同じように闇に吹き飛ばされ壁に激突した。


「姫・・・数万年前は手に入れる事が出来なかったが、今度はこの世界からの未練を断ち切り、貴女を手に入れてみせる・・・」


「いや!離して!!」


そう言った時ユニの体が淡く虹色の光を放ち男を吹き飛ばした。


「のわっ!?」


吹き飛んだ男は空中で体勢を立て直し体から闇を放出した。

二人の丁度中間辺りで闇と虹色の光がぶつかり合い互いに押し切ろうとしていた。


「この時のために、千年も力を蓄え貴女が転生するのを待ったのだ!この機を逃す物か!!」


闇が一際強くなりユニに向かって攻め入った。


「皆を傷つけた貴方を私は決して許さない!!」


ユニから発される光が輝きを増した。その時、ユニの背中から虹色の輝く透き通った翼が現れた。


「まさか、もう覚醒が始まっているのか!?・・・くっ」


光が完全に闇を押し切り、吹き飛ばした時男の姿は消えた。

光が治まったユニは輝く翼で少し空に浮いていた。


「・・・必ず・・・必ず貴女を迎えに来ます・・・」


「・・・」


無言で気配が消えたのを確認すると、ユニは檻に向かって手を凪ぐと檻が消え、中から青色の女性が出てきた。

その時、風の神殿と同じように壁や床の色が深い群青色になり、青い濁った壁の炎が純度の高い蒼に変わった。


『姫・・・目覚められたのですか?』


「・・・?」


不思議そうに見つめると、青い女性は悲しそうにそのサファイアのような瞳を揺らした。目を軽く伏せると、歌うように言った。


『私の名は『アクア』何かあったらお呼び下さい』


そう言うと空に掻き消えた。














「うぅ・・・」


「!?」


アクアが消えてから暫し呆けていたユニが呻き声を上げたルーの元へ駆けた。


「大丈夫?」


「大丈夫だ・・・ユニ、何か変わったか?」


「?」


ユニを見て言ったルーを不思議そうに見ているユニに慌てていった。


「そうだ!さっきのヤツは!?」


「もういないよ・・・」


「そうか」


安心したようにルーが言うと元気よくユニが、


「二人が起きたら、外に出ようね?」


「あぁ」


それから二人が起きるまでしばらくの間いい雰囲気で話しをしていた。


















謎は深まるばかり・・・

続編を待て!?(笑)

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