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第十七話 雷の巨人、レイの初恋

長らくお待たせしました!

水の神殿に入りま~す!!
















ユニ達は真っ暗の神殿の中を真っ直ぐに歩いていた。


「それにしても暗いな・・・魔法で照らすか?」


ルーが言うと、レイが


「なら、始からやれ」


「ちっ・・・」


放っておくとまた火が点きそうな二人の間に入ってユニがルーに


「とりあえず光りだして?」


「あぁ」


そう言うと口の中でもごもごと小さく詠唱し拳ほどの大きさの光の球体を作り出した。


「ちっさ!?」


「う、うるさい!?俺の魔力じゃ光の魔法を持続して出すにはこれぐらいの大きさじゃないと無理なんだ!!」


突っ込んだレイに怒鳴るルー、それを見てクツクツと笑うリヒターに呆れて溜息を吐くユニ。

そろそろ止めようかとユニが二人に声を掛けようとした時・・・

ボワッ――――

少し前の通路の両端、天井に近い位置に青い不気味な炎がユラユラと灯っている。


「なんでしょうかね?あれは」


リヒターが興味深そうに腕を組んで下から見上げていると、


ボワッ、ボワッ、ボワッ――――


先ほど点いた炎を中心に入り口のほうと更に奥に向かって5m間隔ぐらいで火が灯っていく。


「・・・とにかく進もう」


ユニの言葉に頷きあった四人は神殿の更に奥を目指して歩いていった。



















しばらく通路を歩き続けると、巨大な鋼鉄の扉が見えてきた。


「なんて、重そうな扉だ開けれるのか?」


「無理だろ・・・」


「魔法で吹き飛ばしてはいかがですか?」


男三人が無茶を言っている間にユニがスタスタと扉の前に歩いていくと大きく音を立てて扉が開いた。


「「「・・・」」」


三人は無言でユニの持つ何か特別な力を感じていた。
















扉の奥には、大きく開けた部屋があった。

両端には先ほどの通路の炎よりも濁った青い炎が灯っており、その下には小さな何を象っているのか分からない石像があった。


―――そして、何よりも目を引くのは・・・四人が入って来た扉の真正面にある大きな扉の手前にいる黄色い巨人。

その巨人は以前シルフの森を出たときに戦った巨人を黄色くしたような存在。しかし、その黄色と言っても澱んだ色をしていて禍々しい雰囲気を放っていた。

四人が部屋の中へ入り切った時、後ろの扉が音を立ててしまった。

それと同時に天井の天窓から見えていた青空と差し込む陽光が暗雲によって隠されてしまった。

その時、天窓を破って雷が落ち巨人に当たった。

巨人はヨロヨロと立ち上がるとその身に雷を纏わせて叫んだ。

意味を成さないその叫びは部屋を揺らし壁の炎が衝撃で消え、衝撃波の様な風がユニたちを襲ったがルーとリヒターがユニの前に立ち塞がりユニを風から守った。

しかし、身を震わすような叫びに身を竦ませるユニを他所に巨人はズンズンと歩き出す。


「ユニ!!」


「えぇ!!」


頷きあった二人は武器を抜く。

初めて王から貰った剣を抜いたルーは抜き放った瞬間に今までと全く違う世界を見ていた。

部屋の中をゆったりと浮遊する赤や緑の小さな人?その中で怒った様に激しく移動する黄色い小人に、力を無くした様にヨロヨロと浮遊する青い小人。

とりあえず今は気にしていられないので、気にしないようにして輝く刀身を横に薙いで巨人の下へと走る。それに続くようにリヒターが双剣を抜きながら走る。

ルーが足を切りつけて巨体を倒すと倒れた巨人に向かってリヒターが炎と水を纏った刀身を目にも留まらぬ速さで繰り出した後、後ろに下がった。

煙や砂埃を巻き上げて見えなくなった巨体に勝利を確信した、レイは少し前へ出て


「凄い・・・」


呟くように言ったレイだが、次の瞬間には――――


「危ない!!!」


ルーとリヒターの間を通るように真っ直ぐ雷のビームがレイに向かって飛んでくる。咄嗟の事でぼうっとしてそれを見つめるレイを横から飛び込むように突き飛ばしたユニは左足に雷を受ける。


「あぁっ!!」


膝から下を焼かれたユニは傷みに叫ぶが詠唱を始める。


「くっ・・・来たれ風の大いなる眷属よ、彼の敵を荒ぶる風で吹き飛ばし退けよ・・・『フーガ』!」


詠唱が終わると危険を察知したルーとリヒターは左右の壁まで飛び退いた時、二人がいた所に天窓から美しい風の精霊王がゆっくりと降りてきて、手を横に振るった。

その瞬間、黄色い巨体は台風のように渦巻く風に包まれ始めのように強くない弱弱しい断末魔と共に消え去った。心配そうにユニを見つめた後、ユニの苦しそうな笑みに痛々しそうに少し顔を歪めると風の精霊王は空気に溶け込むように消え去った。


チャリン――――


巨人の消え去った後に水色をした、大きな深い青の宝石の付いた鍵が落ちた。


















ユニの元へと走り寄ったルーとリヒターは心配そうに声を掛けた。


「大丈夫か、ユニ?」


「ちょっと、キツイかも・・・」


「治せますか?」


「多分・・・」


そう言ったユニは口の中で詠唱をし、回復魔法を使った。

キラキラと暖かい輝きに包まれた後、綺麗になった足を見て驚くレイを他所にユニが立ち上がった。


「っ・・・」


顔を歪ませ崩れ落ちたユニを支えて心配そうにルーが聞く。


「どうしたんだ?ユニ・・・いつものお前ならこの程度の怪我・・・」


「うん、怪我は治ったんだけど・・・雷の痺れが少し残ってるみたい。ちょっと休んだら治るよ」


安心したようにそうかと呟いたルーの後ろで、扉が開く音。開いた扉から覗く中庭。


「とりあえず、あの中庭で休憩しましょう」


「あぁ・・・」


肩を貸してユニを立ち上がらせたルーはゆっくりと歩き出す。

足元に鍵が落ちているのに気が付いたリヒターが拾い上げユニに渡すと


「恐らくこの神殿のどこかの扉を開けるための物でしょう」


頷いて腰のポーチに鍵を仕舞うユニに後ろから声が掛かった。


「どうして・・・どうして何も責めないんだよ!?」


後ろにゆっくりと振り向いた三人、ユニだけを見つめてレイが続ける。


「俺がぼうっとしてたからユニは怪我したんだぞ!?なんで何も責めないんだ!?」


柔らかな笑顔でユニが言った。


「レイのせいじゃないよ・・・それに、仲間を助けるのは当たり前でしょ?」


その笑顔を見たレイは本当の意味で初めて恋に落ちた。顔を真っ赤にしてもごもごと小さく

何かを呟いたレイだが、遠い為ユニには聞こえなかった。


「?行くよ!レイ!」


「・・・っ、あぁ!」


(名前を、愛称を呼ばれるのがこんなにも嬉しい事だと知らなかった・・・)


三人を追って明るい中庭に向かって駆け出した。





















次回、水の神殿開放!!

しばらくしたら名前変えます。タイトルは『七色の精霊王』です!

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