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第十三話 数年の時を超えて

全回より数年後の話です。

この数年にあった事はまた番外編で書きたい・・・













――――数年後











メルドール公爵邸


「ユニ~!今日はお城に行くんでしょ~?」


パティが大きな声で言いながらユニの部屋の扉を叩く。


「うん!準備出来てるよ!」


そう言い先に玄関に向かったパティを追いかけた。


















思い出したようにマーズが声を掛けた。


「おい、リヒター。これを持って行け」


そう言って懐から取り出したのは二本の剣。片方は赤い見事な装飾の鞘、もう片方は青い流麗な鞘に収められたどう見ても普通の剣ではない。


「こ、これは・・・マーズ様?」


目を一度閉じてゆっくりと開くと頷きながら言う。


「これは我が家に伝わる二振りの剣、紅い剣は炎の力で爆炎を、蒼い剣は水の力で激流をその刀身に宿すといわれている。しかし、それを扱うには強い心が無ければならん。自分にその力があると思うなら・・・今この場で抜け。それが無理なら・・・お前をこの屋敷から出す事は出来ん」


「強い・・・心」


リヒターはマントを後ろにはためかせ腰に二本の剣を挿すと、戸惑うことなく抜き去った。

その瞬間辺りは紅と蒼に輝き光が収まると、リヒターの左の手には少し短いしかし、刀身には燃え盛る炎を宿しその温度を伝えるように揺れる剣が、右の手には蒼い何処までも澄んだ水面を宿しているが、刃に近づくに連れて激流のように荒れ狂う剣が握られていた。


『『我らの力を何故欲するか』』


「!?」


何処からか声がする。


『『我らの力を何故欲するか』』


その時刀身から淡い光が漏れ目の前に紅と蒼の二対の龍が現れた。


「!?・・・私は、私は守りたい!この身が朽ち果てようとも!」


『『ふっ・・・良かろう、我ら双龍の剣を使いこなせるよう・・・精進するがいい』』


そう言うと目の前の龍はスーッと消えていった。


「い、今のは・・・?」


「精霊・・・それも高位の。お父様、この剣精霊の加護を受けてるの?」


それを聞いてマーズが目を見開く。


「そうか・・・ユニは神子であるが故に見る事が出来るか・・・その剣は数百年前刀匠であ

った神子が人生を掛けて作った剣。持ち主のみがその真の力を引き出し、精霊の加護を得る事が出来るらしい」


そう言うとマーズが


「さぁ、もう行け」


「ユニ、体には気をつけてね?」


パティが心配そうに言うと、マーズが


「ユニ、頑張れよ。お父様は行けないがお前の無事を祈っている」


今にも泣きそうな神妙な顔で呟くように言った。


「うん。心配しないで?父様、母様。皆、母様達を頼んだよ?行ってきます!」


「「行ってらっしゃい」」


不安げな顔で送り出すマーズとパティ。しかし、ユニは笑っていた。


「「「「行ってらっしゃいませ」」」」


使用人たちが一斉に大きな声で挨拶するのを聞いて、隣を見る。


「行こっか?リヒター」


「えぇ」


数年前より少し大人びた雰囲気のリヒターに言う。

そうして馬車に乗り込んだ二人は王都に向かった。




















―――王城前


「数年振りだね?」


「そうですね」


修行の為に家で数年間缶詰であったのであの時以来だ。


「誰だ?」


守衛の門番が訪ねてきたのに対して淑女の礼をとり言った。


「メルドール公爵が娘・・・ユルニス・メルドールです。」


「!?・・・お、お久しぶりです。おい!扉を開けろ!!」


どうやら数年前の警護の騎士であったらしい。扉が開くと小さく微笑みながら通るユニの顔を見て真っ赤になる騎士に不思議そうに首をかしげながら通るユニだった。
















「メルドール公爵令嬢、及び公爵家執事がお見えです。」


騎士が膝を床に着き報告するのを聞き、言った。


「そうか・・・通せ。皆出ろ、あとルードリヒを呼んでくれ」


「はっ」


そう言うと騎士は退出し、王の間にいた複数名も退出し王と王妃のみが残った。

コンコン――――


「入ってよいぞ?」


「失礼致します」


そう言うとユニとリヒターが王の間に入って来た。

二人が床に膝を着くと慌てて、


「おい!二人とも、そんな事はしなくていい!」


「ですが・・・」


しかしと言いたげな様子でユニが視線を上げると頷く王。


「分かりました」


そう言ってやっと立ち上がった二人。

その時、扉を大きな音を立てて入って来た者がいた。ユニが後ろを振り向くとそこにはルードリヒが居た。


「・・・。」


ユニを見つめたまま固まるルー。


――――そう、ユニはこの数年で格段に成長し絶世の美女と呼んでも過言では無いほどであった。

一方ユニもルーを見たまま固まっており、ルーも物凄い美形に成長していたのだ。


「ユニ・・・」


ハッとした様に跪いたユニは恭しく言った。


「ルードリヒ殿下・・・お久しぶりで御座います」


それを聞いたルーは傷ついた顔をし、眉を寄せると


「おい・・・ユニ、これからまた一緒に旅をするのにそんな風に他人行儀にするのか?」


「で、でも・・・」


「俺は君と対等の立場でいたい。なのにこれじゃあ対等じゃないだろ?」


優しい声で問いかけるルーに答えた。


「はい、あっ・・・うん、ルー」


「ありがとう・・・ユニ」


嬉しそうに笑うルーにはにかんだユニを見て真っ赤になるルー。

その時王であるルーの父が声を掛けた。


「二人とも、いい雰囲気の所悪いがそろそろ打ち合わせがしたいのじゃが・・・」


「あっはい!」


「あぁ」


息ぴったりの二人に苦笑しながら


「今回は水の神殿に行ってきて欲しい。水の神殿は<アクオルマ>にあるらしいが詳しくは分かってないんだ。だから、今回の旅の最初の目的地は<アクオルマ>の城で水の神殿の場所を聞いてからだ。

まぁ、今回の旅の話は数年前に各国の王に話している。直ぐに済むだろう」


「「分かりました」」


ユニとリヒターが言うとルーが遅れて「あぁ」と言った。


「今晩はゆっくり休んで明日出発して欲しい」









そうして私達の新しい旅が始まった――――
















と言う事で次回から成長後旅編開始です!

ルーの悶々とした葛藤をお楽しみ下さい!(にこっ)

・・・あれ?何だか寒気が・・・

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