第十一話 闇の力と光の力
バトルシーン多い、むしろ殆どです。
とりあえず城に帰る事を決めたため神殿の外に出る事にした一同は足を進めた。
『姫様!王を助けてくれてありがとう!』
「ううん!今まで閉じ込められてたんだもん、当然だよ!?」
ルーは柔らかい笑みで虚空に向かって声を掛けるユニを見て精霊と話をしていると分かった。
「それにしても、精霊王が復活してから神殿の中も一気に様変わりしたな。」
壁や床は黄緑になり全体的に真っ暗だった神殿内は明るくなっていた。
「とにかく一旦外に出ましょう。」
それから外に出るために来た道を引き返したが神殿内にいた魔物は一匹も見当たらなくなっていた。
「やっと外だ~!」
明るくなっていたのは神殿内だけではなく森の中ほぼ全体である事が分かった。
「神殿の見た目も大分変わったようですね。それに、結界のような物を感じます。」
振り向くと入るときは廃墟のようだった神殿が、まるで宮殿のように立派になり紋章のようなレリーフが入り口の上に付いていた。
「森を出て今日は野宿にしましょう。」
周りは夕方らしく日が傾きかけていた。
「あぁ・・・」
森を出たところで一度立ち止まって荷物を降ろした。
ルーは森の中を通った時薪を集めていたので重そうに薪と荷物を降ろす。
ユニが薪に火をつけ周りが明るくなった時、ルーが森とは反対の平原側の開けたところに目を留めた。
「な、何だあれは・・・?」
日はほぼ完全に沈み遥か遠くの山の上がわずかに青みがかっている以外光は焚き木にともされた炎のみ、その中地面から少し浮いた闇―――そう、まさに闇と表現するにふさわしい怪しい物。
周りの闇よりも遥かに濃い闇が渦巻いていたその闇から5mはあろうかという巨体が姿を現した。
見た目は巨人、見上げるような漆黒の巨躯に赤い目吐息すらも闇のよう・・・
「味方ではないようですね・・・行きますよ!」
そう言うとリヒターは巨人の元へ素早く移動し高々く跳躍し、目にも留まらぬ斬撃を繰り出した。
ガキン―――
しかし、巨人は予想以上に硬いのか斬撃は全て巨人の鋼鉄のような肌に防がれてしまった。
すると巨人は大きな腕で鬱陶しげにリヒターを弾き飛ばした。
「くっ・・・」
トンボ返りのように空中で一回転をし、地面に足を付いたと同時に剣を両手で持ち勢いよく振り下ろした。
「はぁ!!」
物凄い速さで衝撃波が飛んで行き片腕が吹き飛んだ。しかし、吹き飛んだ片腕は直ぐに消え巨人の腕が元に戻っていた。
「雷よ、我が剣に纏いて全てを切り裂け!」
詠唱をしたルーは巨人の足元に移動し、同時に足元を一閃した。足は切り落とされ巨体は崩れた。
「や、やったか!?」
砂煙が止んだ所には元の状態の巨人が立っていた。
「全てを焼き尽くす灼熱の豪炎。我が目前に立ち塞がる障害を焼き払い塵と化せ・・・」
ユニの周りに火花が散り足元に特大の魔法陣が描かれ詠唱が終わると巨人の上空に赤い魔法陣が浮かび上がる。そこから炎の火柱が天高く貫いた。
ようやく炎が治まると後にはただ立ち尽くす巨人。
「す、すげぇ・・・」
「!?」
しかし、しばらくすると再び動き出しユニの方に向かって歩き出した。
「ユニッ!?くそっ・・・光よ万物を弾き全てを守れ!!」
巨人の前に光のカーテンが降り、巨人の行く手を阻んだ。
そのとき、「おおぉぉ・・・」
小さなしかし地を這うような声が巨人から漏れ後ずさった。
「どうやら闇の眷属は光を恐れるようですね。」
リヒターの言葉を聞きルーが詠唱を始めた。
「剣閃よ、光を纏い闇を退けろ!」
剣に光を纏わせたルーは巨人に切りかかった。切られた所は再生できないらしく、切り落とした手首は掻き消えた。
「ルー!下がって!・・・出でよ光の眷属。闇を払う大いなる光の刃をここに・・・」
空を覆っていた雲が裂けその間から光り輝く黄金の巨大な剣が振ってきた。
ユニにしか見えてはいないがその剣の周りには光の精霊が飛び回っていた。
「ぐおおぉぉぉぉぉぉ!!!!」
光を受けた巨体は掻き消えた。
「ふぅ」
「ユニ、大丈夫か?」
「うん!ルーは?」
「俺も大丈夫だ!」
そうやり取りをしていた二人の下に腕を抑えたリヒターが来た。
「少々不覚を取りました・・・」
「リヒター!?ちょっと待って。・・・折れてるね・・・光よ、彼の者の歪みを取り去れ。
」
パアァァ光がリヒターの腕を取り巻き腕の裂傷を塞いだ。
「骨は繋いだけど、無茶はしないでね?」
「ありがとう御座います。」
申し訳なさそうにリヒターが言うと普段彼がこんな無様を晒す事は無くあまつさえ謝った事にユニは驚いた。
「それにしても、ユニ?炎の術も凄かったけど、最後の光の術は凄まじかったな!」
「あぁ・・・あれは光の精霊に力を貸して貰ったんだよ!」
「それであんなに威力があったのか・・・その前の炎の術は?あれも精霊魔法だったのか?」
「ううん?あれは私の魔法だよ?」
「ちなみに今のでどれ位、力出したんだ?」
「う~ん・・・四割?」
「はぁ・・・自分の魔法の力に自信をなくすよ・・・」
落ち込むルーの頭をなでなでするユニは笑顔だった。
そこにリヒターが肩にポンッと手を置き、
「明日からは王都に向かって歩かなければならないので食事を取って早めに寝るとしましょ
うか」
「うん!」
夜空には見下ろすように大きな三日月が優しい光を放っていた。
リヒター「今回は私が弄られる番ですか?」
ZG「番って・・・そ、そんな事無いですよ?」
リヒター「そうですか?それでは恥ずかしい過去の話を暴露するとしましょうか♪」
ZG「や、やめて~!それだけは~!!!」
リヒター「実は昔トイ・・・「うわ~~~!!」」