第八話 魔法の力
ユニの魔法の威力が発揮されます!
少しの間歩いているとルーが唐突に言い出した。
「ユニのさ、さっきの回復魔法詠唱も無しに使ってたけどどれぐらいの威力の術まで詠唱無
しで使えるの?」
それにしばらく悩んでユニはこう答えた。
「大体、普通の人が使える魔法は詠唱無しで使えるかな?効果も威力も高くなってくるとやっぱり詠唱は必要だから・・・」
「!?・・・そんなに魔法が得意なのにユニの噂聞いた事無いなぁ・・・」
思い出したようにリヒターが
「それにつきましては、メルドール公爵ご自身が屋敷からお嬢様の話が漏れないように厳重
に注意なさっていたからでしょう。」
「!、お父様そんなことしてたの!?」
ガサガサ―――
音と共に熊のような魔物が姿を現す。
「お嬢様?お嬢様の魔法をルードリヒ様に見せて差し上げてはどうですか?」
「大丈夫、ユニ?」
心配そうに眉を顰めてルーが尋ねる。
「大丈夫だよ!いっくよ~!」
手を前に出して詠唱する。
「荒れ狂う水よ。その清浄たる力で無限の輝きを!」
詠唱が終わると、魔物の上から大量の水が降ってきて地面に触れた瞬間に球体となって魔物
を包み込む。
パチン。
ユニが指を鳴らすと、球体は弾け飛び周りに飛び散った雫が木漏れ日を反射し辺りが虹色の
光に包まれた。後には窒息死した魔物だけが残っていた。
「どう?ルー!?」
「あ、うん。凄く綺麗な魔法だったね。」
「えへへ~♪」
嬉しそうに照れ笑いした。
「しかし、お嬢様にしては随分と小規模な魔法でしたね?」
「あれで!?」
吃驚して目を丸くした、ルー。
「う~ん・・・二分ぐらい?」
「二分!?本気でやったらどうなるんだよ!?」
「本気・・・今までに出した事無いの・・・」
残念そうなユニの顔を見てそれ以上何も言えなくなってしまった、ルーだった。
その後直ぐに林を抜けたユニたちは、日が遠くの山に沈みかけているのを見て今日はここで野宿をする事にした。
食事の準備をするユニに寝袋の準備をするリヒター。そして、リヒターの無言の圧力に強制させられて薪を拾いに行くルー。
「ふん、ふん、ふ~ん♪」
鼻歌を歌いながら鍋をかき混ぜるユニ、焚き木を眺めるリヒター、ユニを眺めるルー。それぞれ三者三様である。
「うん!できたよ~」
味見をして人数分に器に入れて手渡す。
しばらく無言でスープとパンを食べていたが、ルーが言った。
「ユニ!料理上手だね!」
嬉しそうにユニが尋ねる。
「そう?」
「うん!こんなに美味しいスープ、生まれて初めて食べたよ!」
「ありがとう!」
褒められた事に嬉しそうに礼を言う。
その笑顔を見て真っ赤になったルーは顔を見られないように俯いた。
(青春ですね~)
一人そう思うリヒターの隣で、やはり不思議そうに小首をかしげるユニだった。
ルー「おい、糞作者。俺の扱いが酷いと思わないか?」
ZG「そ、そうですか?」
ルー「そうですか?じゃねぇだろが!」
ボコッ
ZG「う~~・・・ルーがぶった~~」
ユニ「大丈夫?痛くないよ~?」
ZG「ありがとう。ユニは優しいのに、ルーは・・・」
ルー「あ?」
ZG「ヒィ~!?ごめんなさい~」
ユニ「ルー?苛めちゃダメだよ?」
ルー「ぐっ・・・ゴメン、ユニ」
ユニ「私に行ってもダメでしょ?」
ルー「くっ・・・すまなかった・・・」
ZG「ルーがいい子になったあ~!」
ボコッ
ZG「うわ~ん!」
ユニ「ルー!!」