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Re:旅立ち

拝啓。サモン…助けてくれ。俺女子の部屋とか入ったことないぞ。なんかマナーあるのか?菓子折りとかいらないのか?!


「そこを曲がってすぐだ。私は少し買い物をしてくるから先に入っていてくれ。これは鍵だ」


…会ったばっかりの人に鍵なんて渡すんじゃねぇよ…。使うけど。


「失礼しまーす…」


魔力が見えない時点で誰もいないのは分かってたけど…人の家入る時はなぜか敬語で「失礼しまーす」って言ってしまうんだよ。「失礼します」じゃなくて「失礼しまーす」だ。ここ大切。とりあえず灯りを…


「…」


…なんだ、これは。なぜ床に服が落ちているんだ?せめて畳め。見たところ生ゴミはないのになぜ紙類を捨てない?一度まとめて何かで縛れ。まとめると汚い。


「…ツッコミどころが多いぞあの女騎士…いや、義足だから仕方ないのか?…俺と戦えるくらい動けるのにそれはないな」


とりあえず紙類まとめておくか…うわぁ、下着まで落ちてる。せめて下着くらい直せよ…。


「待たせてすまないな、今食べ物を切らしていて…?こんな部屋綺麗だったか?」


「メイ。ご飯の前に片付けしような?」


「…あ、あー…急に義足の調子が悪く…」


んなわけないだろ。


「片付けろ。さもなくば俺が勝手にするぞ?」


「え、いいのか?」


「見て?すごい際どい下…」


「分かった片付けるから待ってくれ?!あとそれはこちらに渡してくれ?!」


「…最初からそう言えよ。いつ使うんだ?」


「聞くなっ!…未使用だ」


聴こえてますよお嬢さん。そこからは全く色気のない掃除大会が始まった。俺の指示通りに服や紙を分別させる。細かいことはわからないのでメイに任せる。…元々は俺もメイと同じタイプだったが魔王として書類整理してる時に散乱すると本当に大変だった。そして家事の偉大さを思い知った。


「…お、終わった…!」


「よくできたな。ほら、飯だ」


「…温かい?まさか、料理?」


「それ以外になにがあると?」


作ったのは簡単な野菜と肉の煮物だ。作りながら掃除をしていたらちょうどいい感じになっていた。


「…誰かが私のために作った料理を食べるのは、久しぶりだ」


「はいはい。じゃあ食ってくれ」


「うむ。…いただきます」


「具とかは俺の国から持ってきたものだ。味と質は安心しろ」


「…うまいな」


「だろ?農家様様ってな…ほら、水」


「かたじけない」


…飲んだな。効果が出るのは飲んで少ししてからだ。それまではご飯を食べてもらおう。


「…ふぅ。ここまで食べたのは久しぶりかもしれないぞ」


「それはなにより。することって言ったらあと風呂くらいだろ?流石に入れるのは無理だから1人でできるな?」


「流石にそこまで頼むほどの恥知らずじゃない。…ありがとう」


「どういたしまして。…肩貸そうか?」


「うむ。…少し、眠いから…お言葉にぇ…あみゃえる…と、しょう…」


「お…っと」


あとは薬が効くのを待つだけか。…一応置き手紙しておこう。急に足生えるとか怖いにも程があるからな。…今更だが、ありがた迷惑にも程があるな。まぁ良しとしよう。


「また会えたらどこかで会おう。じゃあな」


…完全に寝た、か。いい夢を見てほしいな。とりあえずギルドで依頼受けて金稼ぐか。


「…1番高い依頼…ですか?」


「あぁ。早急に稼ぎたくてな」


「…あのですね、こういうのは危険度と比例して上がっていくんですよ?」


「知ってる。その上で言ってるんだ」


「…これが1番高額の依頼です」


「なになに…?マンドラゴラの討伐と納品?あの叫ぶ根っこみたいなやつか」


「そうですね。マンドラゴラの悲鳴には幻覚作用があり、鼓膜を潰されて幻覚を見ているところに他の魔獣がパクリ。というケースが多いです」


「分かった」


数分後


「これでいいか?」


「…どこでこの量を?」


「俺の召喚獣達が持ってきた」


「…一度見せてもらっても?」


怪しまれてるな。仕方ない。確か寒獄門自体は割と普及してたはずだ。俺が戦場で使ったからな。普通はオオカミとからしいけど。とりあえずラプトル出すか。


「寒獄門」


「キュァッ!」


「さっきぶりだな。よしよし。こいつが数体いるんだよ」


ざわついてるなぁ…。


「…分かりました。依頼達成です」


「っし。」


報酬ももらったしさっさと街を離れるか。どうせなら軽く旅でもしながら隠居先を探すのもいいな。


「頼むぞ、ラプトル」


「キャス!」


「とりあえず道に沿って走るか。…いや、途中で誰かも出くわすのも面倒だし草原側に行くか」


「?」


…かわいい。爬虫類って本当にいいよな。小動物もいいけど爬虫類の顔が1番好きなんだよ…氷だけど。


「んじゃあ改めて…隠居先を見つける兼、傷心旅を始めようか!」


「ギュァ!」


…本当にかわいいなこの子。ま、数ヶ月好きに暮らしたら国に戻る気だけど。それまでは頑張ってもらおう。


「空も一応監視入れとくか。寒獄門 飛竜。空で見張っておいてくれ。できるだけ高くな」


「クォォォオ!」


…よし、これで大丈夫だろう。この先になにがあるのか。心なしかとてもワクワクする。一応推しグッズも持ってる。完璧な布陣だ。



一方その頃、サモンはと言うと…。


(き、きっつい…!)


もうすでにギブアップしかけていた。だが物語は始まったばかり。果たして、サモンの体調は、胃は大丈夫なのか。続く!

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