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とても楽しいです。

冒険者登録を済ませるべく、俺は冒険者ギルドに来ていた(途中で何度も道を聞いた)。


「やっぱ、荒くれ者って感じだなぁ…」


とりあえず入ろう。


「失礼します」


「…誰か分かるか?」


「あんな顔知らねぇな。新人か?」


おー、ヒソヒソ話。漫画で見たやつ!


「今日はどういったご用件でしょうか?」


「受付嬢さんか。へぇ…やっぱり綺麗なもんだな」


「…へっ?」


うちの国も冒険者に近しい職はあるがやはり男ばかりが来る。だからこそ顔のいい受付嬢を置くことで少しでも男のやる気を高めるとともに女性冒険者の増加を期待していた。そして効果は絶大。言い寄られることも多いそうなので一応、採用面接時の必須項目にしている。メンタルケアもバッチリだ。


「どうかしたのか?」


「い、いえ…まさか初対面で言い寄られるとは」


「…?あ、別にナンパじゃないぞ?普通に感想が出ただけだ」


「…すけこまし」


「なんでだよ」


「…今日はどういったご用件で?」


「話逸らしたな…?ま、ギルド登録を頼む」


「分かりました。こちらの水晶に手をかざしてください」


「属性鑑定の水晶か。ほい」


俺が使えるのは水、氷、電気、風。それと磁力。磁力は珍しい魔術属性らしいのでこの水晶には出てこない。


「…4属性も?」


「どうかしたか?」


「いや、その…ここまで多いのは初めてなので」


「単体でちゃんと使えるのは氷だけだ。他は工夫と撹乱用だな」


「…とりあえず、この紙に記入をお願いします」


記入内容は…名前、歳、ジョブ、拠点か。名前はリュウト、歳は23、職業は…前衛で魔術師。拠点はなし、と。


「これでいいか?」


「拝見します。…前衛で魔術師、ですか?」


「なんだ?」


「えっと、前衛はやめておいた方がいいかと」


「なぜだ?」


「なぜって…攻撃と防御が一緒にできない魔術師は前衛に向きませんよ?」


「…?身体強化と並列構築術式を使えば大丈夫だろ」


「身体強化!?それに並列構築術式って…そんなの、一部の魔術師しかできないですよ。それこそ、王宮魔道士とか」


「…並列構築術式はまだしも身体強化は必須技能だろ?」


「それはあくまでも退避用の強化です。それを攻撃用に使うとか言いませんよね?」


「逃げるなら普通に氷の術式で足止めするけど」


「…分かりました。忠告はしましたからね」


こうしてギルド証を手に入れた。次に騎士団へと行くとしよう。


しばらく歩いて。


「…騎士団が見つからな…」


「はぁ…手掛かりが一つもな…」


「「いっ?!」」


いてぇ…。誰かとぶつかったのか。流石に俺が悪いから謝らないと。


「すまん。考え事をしていた。怪我はないか?」


「こちらこそすまないな。怪我はないぞ」


…この顔、メルたそに似てるな。声も。でも本人ではない。メルたそに比べて魔力が少なすぎる。


「すまないついでに、その考え事の解決を手伝おうか?」


「考え事っていうより道に迷っただけだから…。俺もその言葉、そっくりそのまま返す」


「私の言葉をか?…私は私用でな。あまり言えないことだ」


ま、ぶつかったと言っても他人は他人。信用はできないよな。ならさっさと聞こうかな。


「それなら俺の質問に答えてくれるか?」


「答えられる範囲ならいいぞ」


「騎士団ってどこ?」


「…騎士団は、そこを曲がって右だぞ。なにかあったのか?」


「観察したいと思って。俺の住んでいたところには騎士団がなかったからな」


「うむ…辺境の出か。それなら私もついていこう。こう見えても、副団長だからな」


「…そうなのか?」


「そうだ。私はメイと言う。貴殿は?」


「俺はリュウト。魔術師だ」


「…魔術師にしては体がよく鍛えられているな」


さっきの受付嬢と言い、そんなに驚くことなのか?よく分からないな。


「俺の得意なのが近接だからな。物量(竜達)で攻めるのもいいがやっぱり肉弾戦が1番好きだ」


「物量(魔術)で攻めるよりもか?変わっているな。…ここが騎士団だぞ」


「おー。なかなか広い」


「一応訓練場も兼ねているからな。入るか?」


…この国は大丈夫なのか?こんなにザルで。本当に意味がわからない。


「…私は、貴殿は信用しているのだ。先ほど会ったばかりだが。…こう言うとなんだが、私は胸が、その…大きいだろう?だから、不躾な視線が多くてな。でも、貴殿は違った」


「…流石にそれで信用するのはどうかと思うけど?ま、いいか。お言葉に甘えよう」


俺の心情を察したのか。なかなかの人間だ。俺は昔から鈍感だと怒られたからな…。


「ここで騎士達が訓練をしている。今は…闘技場にて警備している者が多いが常に5人はこのように訓練をして動ける様にしている」


「今は…打ち合いをしているのか?」


「そうだな。たまに実践訓練もするが…格下ばかりだな」


「格下は格下でも群れを相手にするならいい訓練だろ。多対一の訓練になるから」


「確かにそうだ。だが、それだと個人の力がつきにくく、技術だけが高まる一方でな」


「そうなのか。…俺も訓練に参加しても?」


「それは構わないが…。どうかしたのか?」


「いやぁ、少し、弛んでるから」

 

「弛む…?まぁいい。そこで素振りをしている者と手合わせするといい。できれば魔術は使わないでくれ」


そこまで気の使えないやつじゃないと言いたいところだが…まぁいい。一度、ちゃんとした訓練というものを教えてやらないとな。


「手合わせ頼めるか?」


「…先程、副団長と話していた方ですか。いいですよ」


一応メイに視線を向けておく。頷かれたので始めよう。そうだなぁ…強敵ロールするか。


「よろしく頼む」


「よろしくお願いします」


まずは問いかけ。


「ときに…君は攻撃と守り、どちらが得意だ?」


「え?っと…攻撃ですかね。それがどうかしましたか?」


「それなら好きに仕掛けてきていいぞ。ほら」


俺は手を広げて何もないよのポーズ。


「好きに仕掛けてきていいって言われても…生身で剣を防げるので?」


「やってみろ。心配なら少し手を抜くといい」


「…後で怪我しても知りませんよっ!?」


「どうかしたか?」


ま、そりゃそうなるわな。木刀が生身に弾かれれば。


「…少し、手を抜き過ぎたようです。本気でいきますよ」


右目、回転して左首、鳩尾。


「っ…!」


「速いけど目で追えなくはない。フェイントもないし。そして…筋力もまだまだだ」


「…渾身の突きを指で受け止められれば痛いほど実感できますよ」


ちゃんと弱いところを認められるのか。肉体的にも、全盛期はこれからだし強くなるかもな。


「…あなたは凄腕の剣士か何かなので?」


「新米の魔術師だ」


「んな訳ないでしょうっ?!」


こいつ…さっきから弱点しか狙わないな。フェイントはたまに入れる様になってるが分かりやすいし。…簡単に言えば飽きた。なので。


「かはっ…」


「いつまでも敵が待ってくれると思うなよ?早く立て直せ」


「ぐっ…!」


右に回転して追撃を避けたか。ま、手を抜いてるとは言え中々だ。


「お前ら!手伝え!」


「卑怯だな!?」


「…使える手は全て使わなければ。敵に逃げられますからね?」


「私も助太刀しよう」


「…メイまで」


「想定は魔王軍幹部。行くぞ!」


「「「「「応!」」」」」


「後でその想定問い詰めるか…。ほっ、よっ、はっ」


「くっ…流石に1人に対して人数が多すぎるのか?攻撃が当たらん…!」


「正解だ。でも口に出したので減点」


「あぐっ!」


「っ!1人やられた!2人は負傷者の手当!」


「「はっ!」」


「すごい采配だな。本当は騎士団長なんじゃないのか?」


「私は女だからな…出世が、し難いのだ!」


「世知辛いな。あと一つ忠告だ。お前…明らかにメイの足引っ張ってるぞ」


「っ!」


「なっ、そんな言い方ないだろう?!」


大体分かった。こいつらが本来の力を出せないのはメルが仲間に合わせる性格だからか。


「メイもメイだ。優しすぎる。仲間に死なれたくないなら厳しくしろ」


「…分かっている!」


速度が上がった。いよいよ、本気ってわけか。


「お前は下がっていろ。リュウト殿とは一度、私が本気で手合わせする」


「お手柔らか…」


…?消えた?


「にっ?!」


一瞬で俺の懐に入ったのか。小柄なことを生かし、顎に向かって突きを繰り出す。本当にこれが副団長の能力なのか?


「少し、身の危険を感じるからな。俺も本気で行こう」


「…それは」


「魔術で作った剣だ。…いざ尋常に勝負、ってな」


思ったより良くできたな。どうせなら勢いで名前つけるか。


凍刃(イテバ)。双剣はずるか?」


「…別にいい。敵が私たちに合わせると考えられないからな」

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