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《記憶の輪郭》ーオオカミ探偵事務所ー  作者: 藤村 丈一
1章 §LPD事件
4/13

Ep2

見つけて頂きありがとうございます。

是非、最後までお読みください。

「なんだてめぇっ!」


人数は4人。

全員ゴツい上に、俺より頭ひとつはデカい。俺だって198あるってのに。

腕はちょっとした女の胴くらい。義肢と強化細胞のミックスってのが、見ただけで分かる。

あんなのが直接当たったら、コンクリの壁ごと叩き割られる。


ーーこういう時は、先手必勝。


ニヤリと笑い、身を低くして突っ込む。

前に2人、後ろに2人。そいつらの間を駆け抜け、最後尾の野郎の股間を、勢いそのまま踵で潰した。


ぐちゃりと水音。膝が折れて、前屈みに倒れ込む。

そこへ顎をフルスイングで横から叩けば、ごきんっと鈍い音がして、そいつの頭は不自然にねじれながら崩れ落ちた。


驚いて固まってる別のやつの膝を、振り向きざまに遠心力の乗ったローで刈る。

膝が内側に折れて、顔面から倒れたところに踵を振り下ろす。


ーー残り2人。


ようやく落ち着いたのか、前に出た1人が軽くジャブを数発。

軽そうに見えて、拳は小石どころか煉瓦サイズ。ジャブでも当たれば骨が砕ける。


ステップを踏んで距離を取りつつ、左肘で顎を覆うようにしてガード。

にやりと笑って煽る。


「ドンガメみたいな見た目して、ボクシングかよ」


「TKOなんて甘っちょろいもんはねぇぞ、死ねや!」


タッパもあるからリーチが長い。

ブロッキングで何発か受け止めるが、2発目でもう骨にズンと響く。


チッ、と舌を打ちつつ、踏み込んできた奴のストレートを掴んで、背負い投げの要領でぶん投げた。


「どらぁっ!」


掛け声と共にぶん投げられた巨体が、後方のソファへ突っ込んで木っ端微塵。


「……おい、いい加減にしろ。動くんじゃねぇ!」


最後の1人が銃を抜いた。

銀色のボディに蒼の装飾が施されたその銃口は、ブレずに俺の背に据えられている。


「……それ、俺の得意分野だが、いいのか?」


息を整えつつ、ゆっくりと振り向きながら、左脇のホルスターに手をかける。

黒鉄の大口径六連発拳銃ハウラー。引き抜き様、膝を落とし、低い姿勢から撃つ。


獣の咆哮にも似た轟音が響いた。


銃口が火を吹くと同時に、相手の左膝から下が吹き飛ぶ。

まるで喰い千切られたように失われ、男は絶叫と共に崩れた。


「どうよ?こいつ専用の弾じゃなきゃ味わえねぇ痛みだぜ。……痛がるフリしてんじゃねえよ。その足、生じゃねぇだろ?」


「い、いてぇ……」


呻いてる膝のあたりを蹴り上げると、やっぱり悲鳴。


「ほんとに生ならな、今ごろ泡吹いて痙攣してる。ショックで死んでもおかしくねぇ。

 それに、銃をあんなにしっかり構えてたら、不意打ちしますって顔に書いてるようなもんだろ」


痛がるのを止めた男が、悔しげに睨んでくる。


「……なんなんだお前、”クラーケン”の殺し屋か?」


「縄張り争いに興味はねぇよ。俺が探してるのは、最近シンクロで出回ってる”ヤバいやつ”の情報だ」


銃をホルスターに戻し、タバコに火をつけてカウンターへ腰を下ろす。

一瞥すると、先ほどの悪魔店員が慌てて酒を注ぎ出した。やっと仕事する気になったらしい。


酒を一口。芳醇な香りが鼻に抜ける。


ーーこれは、あとで瓶ごといただくか。


そんなくだらねぇことを考えてると、足音と共に怒鳴り声が響いた。


「おいっ!イブラッ!お前の客だ!さっさと相手して帰ってもらえ!」


店の奥から現れたのは、顔を骨董品のパソコンにした細身の男。


金属の擦れるノイズ交じりで、そいつは喋った。


「ーーサイキンマワッテルのは、イチブだけ」


細い指が、ネモ用のサムドライブを差し出す。


「特徴は?」


「ーー5ビョウダケ、ダイヴシタヤツラはコワレタ」


「……名前は?このデータの名前」


答えは、こうだった。


ーーLPD


妙に耳に残る、奇妙な響きだった。

お読み頂き、ありがとうございます。

次回も、よろしくお願いします。

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