地の果て乎
午前六時前の朝、世界が終わりを迎えた。
アリスという一人の少女によって世界が滅んだ。
一体どういうことかって?
アリスは世界が終わりを迎えなければ消失してしまう。
アリス自身が消失しなければ世界が滅ぶ。
世界の滅びを選んだ、ただそれだけだった。
これは僕のせいだ。
遡ること半年前、僕はアリスと出会った。
アリスは幻想的で触れると壊れてしまいそうなくらい奇麗だった。
だが、アリスを観測できたのはこの世でただ一人、僕だけだった。
アリスは本来、観測されてはいけない生き物だった。
だけど僕に見つかった、僕のせいでアリスが消えてしまう。
嫌だった。
悲しかった。
辛かった。
やるせなかった。
でも、アリスは笑った。
僕に初めて観測された日、どこか嬉しそうだった。
この世界の終わりを選んだのは僕だ。
アリスには消えてほしくない、ただ一心だった。
僕は消えない、世界とは無縁の生き物だから。
その日、アリスは消えた。