7.火の海
なんか、スランプなのかわかりませんが…
シリアスばっかになってるような…f^_^;
あの後、ちょうど一番高いところに太陽が来た時に目覚めた俺達は、唯を探す手がかりもないので今いる場所から西にある森をぬけて一番近くの街に向かうことにした
昨日のことはなにも吹っ切れてなくて頭から離れなかったが、だからといってなにもしないわけにはいかない……実際何人飛ばされてるのかはわからないが、少なくとも唯だけは確定的で…早く探さないと
…でも、こっから一番近くの街って…
20分程歩いたところで、どこを歩いてるのかもわからなかった森から出られた
……遠目に見えるあれは…街、だよな?
悠「なぁ、あの街って前に見た気がするんだけど…滅茶苦茶に燃えてなかったっけ?」
リ「え?…ホントだ、そんなカンジにも見えるわね」
…ここからは…ちょっと遠いな…
こっからはあの時のスピードで走ろう
昨日の容量で、全身に風を纏った
悠「…はい」
リ「なに?」
悠「リリィも背負って走るから」
リ「なんでよ…?」
おんぶしようとすると、思いのほか嫌がられた…というか躊躇しているように見えた
悠「だって街が燃えてたら一大事だろ…でもリリィを置いてくわけにもいかねぇし、背負って走った方が早いかと思って」
…ホントは自分で走った方が速いんだけどね
こんな時ぐらい甘えよっかな?
リ「…じゃあ、お言葉に甘えて」
悠「どうぞ、大して広くはありませんけど」
リ「アハハ、そんなことないって、あたしは頼もしいと思ってるから、昨日はちゃんと守ってもらったしね……カッコよかったよ?」
そう言ったリリィが、少し照れながら落ち着かなそうにしている
悠「ありがとう」
…よかった、俺が思ってたより嬉しそうだし…それになにより俺が助けたことを喜んでもらえて……それだけで昨日のことは無駄じゃなかったんだって思える
悠「じゃ、走るけど…しっかりつかんどけよ?」
リ「大丈夫だって、悠はそんな荒くしないってわかってるから」
それよりも……わかってたけど、あたしの太ももの辺りに悠の手が、って考えるとぉ…あぁ、顔が熱くなってきた…今鏡見たら、絶対赤くなってるだろうなぁー…
悠「(よし、そろそろ行くか)」
最大まで溜めて、一気に駆け出した
一回の踏み込みで跳ぶ、というより飛べる。既に時速にして300キロはでているだろう…そんなことが出来るようになった事は嬉しかったが、もはや自分の思う一般的な人とはかけ離れてしまったことを感じた
リ「あ~、気持ちいぃ~」
火照った顔に風が気持ちいい
そんなことを考えている間に目的地についた
悠「思ったより全然酷いな」
リ「そんな…」
ゴォォォ
目の前で、そこそこの街だっただろう場所で、消えることのない炎が豪々と音を奏でている
よく見ると、街の中心から外壁にかけてほぼ全てが燃えているが、逆に全て燃えているわけではないようだ
悠「全部燃えてない、生き残ってる人がいるんなら助けないと…」
リ「そうよね…じゃあ、あそこの…ここから右の方に見えるまだ燃えてないとこ行こ?」
悠「わかった」
そこまでは、軽く走って3分もかからなかった
悠「…ちょっと待て、誰かいる」
リリィと一緒に近くの壊れた壁に隠れた
リ「…なんでわかんのよ?」
悠「…この気配は…なんか知ってる気がする」
リ「なんで気配なんかで何処にいるのかわかるの?」
悠「ん~、今は気を張ってるからだと思うけど」
リ「へぇ~、あたしにもそんな能力があったら便利だったのに」
そうか、今までは1人だったもんな…確かにこの能力があれば狙われる前に逃げることも出来そうだ
悠「でもあのおっさんの時は気付いてたよな?」
リ「…あれは今までの経験と勘なの!」
思いだしたくないことを連想してしまったみたいだ……なぜか俺が鬱陶しそうな顔をされた
悠「あれ?……」
リ「なに?どうしたの?」
あれは…もしかして
壁から身を乗り出して確認する
…間違いない
悠「お~い!咲妃ぃ!」
咲「え!?あ、…悠!」
あ、気付いた…と思ったら…勢いよく突っ込んできた!
なんかこの先が予想できた気がするが……それでも受けてやるのが男の義務だろう
どーーん!
悠「げふっ!」
勢いよく突っ込んでそのまま腰の辺りに抱き付こうとしたんだろう……いきなりこんな世界に飛ばされて、不安もあって、自分のよく知る人を見かけて嬉しいのもわかる…
だが、今のは完っ全にタックルだ!
おっさんにやられたとこ、まだ治ってねぇのに
悠「うぉぉ…」
腹を押さえてうずくまりたかったが、自分に抱き付いて「よかった…」とか言ってる女の子がいるのに出来るわけもなく、咲妃に聞こえないように僅かに呻き声を発するだけで無理やり堪える
咲「あ!そうだ…」
バッ
咲「悠ぅ~!、どんだけ心配したと思ってんのよぉ!」
急に離れたかと思うと涙目でいきなり怒鳴られた
悠「…ごめん…」
咲「ずっと待ってたのに…来てくれなかったし」
そうか…心配して、まってくれてたのか
…?でもなんで、俺がこの世界にいるって知ってたんだ?
それに来ることもわかってたのか?
唯とは夢?で会ったけど、咲妃とは会ってない
なのになんで…?
悠「…なぁ、咲妃、まずなんでこっちに飛ばされたんだ?…それに、なんで俺がこの世界にいるってわかったんだ?」
咲「…それは…えっと、まず学校から帰って、悠の家に遊びに行こうと思って行ったの…そこで、あれ?悠いないなぁ~って思って待ってたんだけど帰ってこないし…で、その日は仕方ないから帰って寝ようと思った時に「悠に会いたいよぉ」って呟いたの…それで次に目を開けたらわけわかんないとこにいたから…飛ばされたのはその時…あとわかってたわけじゃないんだけど、そんなこと呟いたせいで飛ばされたんだと思ったから…ここにいれば悠に会えるのかな?…って」
悠「それで…ずっと1人でここにいたのか?」
咲「…うん」
悠「そっか…遅れて悪かった」
咲「気にしてないよ…」
気にしてないって顔してない
不安だったことを隠し切れてない
…それにこの世界は、俺とリリィみたいな誰かに狙われてるやつら以外、人に襲われることはないらしいが、リリィの話を聞いた限りだとこの世界にはモンスターと呼べるような生き物がウジャウジャいるらしい
…そんな所に1人で
それを気遣って、力強く抱き締めてやる
咲「え?」
悠「…もう隠さなくていい」
咲「…ズルいよ、こんなの…」
悠「…悪い」
咲「あのね?…ここで多分、戦争があったみたいなの」
悠「戦争?」
咲「そう…それが今も終わってなくて、そんなに遠くない所で何回も爆発するような音が聞こえてきて……それで…」
悠「…それで?」
咲「…怖かったの!……初めて人が死んでるとこ見て!いつか自分もこうなるのかな?って思って!…」
抱えてた不安と一緒に、咲妃の頬を涙が伝った
…やっぱ我慢してたな…でも
悠「…辛かったな…でも、俺は、俺の幼なじみを二度とそんな目に合わさせねぇから…だから…大丈夫だって」
咲「…うん…ありがとう…悠」
悠「…おぅ」
あぁ、やっぱ最後は泣いちまったか
…俺はいつでも、泣かしてばっかだな
でもそれは、せめて悲しみの涙じゃないと思いたい
-…!
バチバチ!
悠「うぉ!…あぶねぇな…咲妃にあたったらどうするつもりだ?」
急に電撃が飛んできた
こんなこと出来んのはリリィだけだ…
…俺がまたなんかしたのか?
リ「…浮気しないって…言ったよね?」
…ヤバい
リリィが何故か笑顔だ……セリフと顔が一致してない…
これはもう一回死んだか?と、思った時
咲「誰?…あなたは」
咲妃が割り込んできた
また話がややこしくなりそうだ…
咲「…なんであなたが悠と浮気がどうとかって話をしてるの?…悠とどういう関係になっちゃったの?」
リ「あんたこそ悠のなんなの?」
咲「私は悠の幼なじみよ!で、あなたは?」
…あぁ、2人ともどんどん手がつけられなくなっていく
悠「なぁ、2人とも落ち着けって」
ギロッ!
そう言ったら2人から凄い形相でこちらを睨んできた
咲「もとはと言えば、悠が悪いんでしょぉが!」
リ「この…浮気者!」
ガン!
2人で同時に殴られ、意識が飛びそうになる
特に咲妃!…お前のはシャレになんねぇって!
…それにしても、咲妃の話でわかったことがある…
どうやら飛ばされるのには条件があるみたいだ……それはおそらく、人の願い…
望む、望まないに関わらず、間接的にでもこの世界に来ることを願う人に呼応するようだ
ということは唯もここに来るのを願ったわけか…
何故だろう…?
この時、2人はまだ気付いていなかった
仕方のないことだが、2人とも咲妃に気を取られていて気付かなかったのだ
ここで起こったのは、
…この街を火の海に変えたのは、戦争ではなく…一匹のモンスターなのだということに
ここまで読んでくれた人は何人ぐらいいるんだろう?(-.-)