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64.不抗Ⅱ


今回はマジな話です。


短いけど、誰かに読んでほしいような……どうか一度、ご覧ください。




「お前、その剣は……がっ!?」


 肇の刀と俺の剣、刃が激突して肇が飛ぶ。


「絶ッ対に許さない。……ルイスは関係ないだろッ!!」


「くそッたれ、なんでオレが弾かれんだぁ?」


 刃を交わす度、肇が圧されていく。


「うざッてぇ……、チマチマとぉッ!!」


 それから、深く息を吸い込むのが見えて、


「これぐらい避けろよ?」


「はぁ……? ッ!!」


 ボッ!!

 と、肇の直線上にあった物が形を失う。

 吹き飛んだ、いや、消し飛んだのだ。


「この力は……ッ!?」


「クク、そうだよ! オレも、龍の力を得たってことだッ!!」



 直後に肇の体が霞む。

 というより完全に消えた。

 殆ど反射的に剣を盾にした俺は、いとも簡単に空を舞った。


「……なんだ、受けになると弱くなんだな?」


「それなら攻めればいいんだろッ!!」


 空中で体を捻り、着地したと同時に走り出す。

 やはり、俺が攻めに転じると肇が圧されていく。

 さっきのように飛びはしないが、踏ん張った脚が地面に線を残した。


「……チッ」


「おぁぁぁぁぁッ!!」


 ギァン!!

 鉄と鉄とがぶつかり合い、弾かれた肇の体が壁に激突した。


「ぐ……ッ!! くそッたれぇぇ!」


 願ってもない好機に、俺は剣を水平に突き刺す構えのまま走り出す。


「終わりだ……、ッ!?」


 と、靴が地面を叩く音がする。

 その音に、俺はほんの一瞬だけ、気を取られて振り向いてしまった。


「……だから甘ェって言ってんだ」


 ドスッ!!


 振り向いた瞬間、言うのが先か、肇の刀は俺の腹を貫いた。


「ぅぐッ!!」


 自分の体を通った異物感に呻く。

 最初は、どうしようもなく気持ちが悪かった。その時間は一秒にも満たないと言うのに、永く、悪い知らせを待つような絶望感に苛まれて突如、激痛が走った。


「ぐぁぁあぁぁぁあぁぁぁぁぁー……ッ!!」


 意識を糸に例えるなら、痛みは大きなチェーンソーだろうか。

 断ち切られまいと歯を食いしばる程に、深く、ゴリゴリと削られるような、痛みが頭から爪先までを往復する。

 何度も、何度も。


 刀が引き抜かれて、永遠にも思える遥かな時間を越え、だんだんと意識がぼやけてくる。


 そうして、感覚と痛みとが遠い、なにか別のものになり始めた頃、近くで女の子の声がした。


 ……さっきの足音の人だろうか。

 呆けた頭が勝手に判断する。


「今日はなんか優しいなぁと思ったら……、こういうことやったんか?」


 ……知り合いかな?

 聞き覚えのない声だった。

 霞んだ目に、女が苛立った声で肇に詰め寄っているのが見える。


「……あぁ、悪ィか?」



「ウチは肇に口出さんって言うた。けどなぁ、やってえぇこととあかんことがあるやろッ!?」


「……うッせぇな」


「は? わかって--」


 肇が相手の返事を待たず、遮る。


「うッせぇって言ってんだ。オレはオレの為に動く。当然だろ? それをとやかく言われる覚えはねェよ」


 肇のまくしてるような物言いに女の子の体が震えだした。


「…………アホぉ……」


 女が肇の胸を叩いた。

 掴めないものに縋り付くように、悲しみに声を震わせて。


「……そんなことの為に、あんたは禁忌に手ぇだしたって、解ってんか?」


「知るかよ、そんなこと」 女の最後の願いは、肇の突き放す態度によって断たれた。


「……さよか。じゃあ、理性が残ってる間に教えといたるわ」


 話が既に通じないことを悟った女の子は、せめてもの償いをするように説明を始めた。


「本来、強力な力を持つ龍はそれを上回る知性を宿して産まれる。でも、そんな免疫がない人間が龍の血を飲んだ場合、抑えきれん破壊衝動に喰われて暴れた挙げ句、裂かれるような痛みを伴って体が変化を始め……、最後に……自壊を--」


「……それが、どうしたって?」


 女は、説明の最後には泣いていた。

 肇の表情で全て悟ったんだろうか。


 伝わらない悲しみを、届かない願いを、自責を、後悔を……。

 だが、全てを悟った上で頬まで伝ったそれを拭おうともせずに、女は言った。


「……ウチが止める。なにを言われても、絶ッ対に」


 ふと、思った。

 話を聞いていた俺も立ち上がらないといけないんだろう。


 感じた。

 これほどに健気な思いを、現実が壊してはならないんだと。


「……手ぇ、貸してくれんの……?」


「仕方ないだろ。ガキだと思われてもいい、身体が動くんだから」


 どれだけ大きいか、現実と思いを隔てる壁は知ってる。


 死ぬかもしれない、力が入らない、


 ……解ってる。


 そんなことは関係ない、出来る出来ないじゃない。

 今、動かなくていつ動くんだ!!


 俺は突き動かされるような衝動に任せて、立ち上がった。


「……ウチは浮気せぇへんよ?」


「はー、ちょっとぐらい決めさせてくれよ。こっちだって友達が傷付けられたんだ、理由はそれだけで充分だ」


「……にひ、ありがとうなぁ。兄さんが死にかけてんのもウチの所為やのに」


「あぁ、気にしてくれんなら始めようぜ。正直、立ってるのが限界だ」


「せやね」


「……話は終わったかよ?」


 肇が問い掛けた。


「あぁ、もう終わった」


「……それなら、始めるぞッ!!」


 これ以上待てない、とでも言うように、瞳に危うい光を宿して肇が飛び出した。



感情の描写、一人称の認識の範囲、テーマの無さ。


小説はそれを、文章だけで表すということで、


難しいですね…汗



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