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53.三人組Ⅱ


今更ですが、この物語はフィクションであり、実際の団体・事件・人物などに一切関係ありません。


ちなみに、ありきたりな発想なんでどこかで被ってるかも知れませんが、一応オリジナルです。




「ご主人様っ!」


「…………ん、あぁ、寝ちゃってたか……」


「ご主人様、今日は昨日の三人組と出かけられるのでは?」


 朝、立ち直ったティーナが俺に問い掛けた。

 寝呆けた頭に三人の顔が浮かぶ。


「あぁ、そうだった。……あ、そう言えば、時間聞いてなかったな」


 仕方ない。


「今から行っとくか」


 とにかく顔を洗って身だしなみを直して、そうして呟き出て行こうとする俺の手をティーナが掴む。


「……今日は付いて行っても?」


「駄目、今日はお留守番」


「うぅ……でも、それだとティーナが死んでしまいます」


 手を握り締めたまま、ティーナの潤んだ瞳がゆらゆらと揺れる。


「えぇ!? 死ぬの?」


「はい、そんなの堪えられません……」


「……あー、なるほど」


 いや、納得したわけではないけど……。

 可愛い子に好かれるのは俺だって嬉しいよ。

 でも、これじゃまるで束縛だろうに……。


「……えっと、じゃあ俺が行くにはティーナをどうすれば?」


「どうしても、と言われるならご主人様の着ている服を置いていって下さい」


「……どうするんだ?」


「……ご主人様が帰って来るまで、服をすーはーして我慢します……」


 うぉぉ、可愛い子が自分の服を嗅ぐって言うのは……。

 なんだ、喜べばいいのか?


 ……ちょっとだけ見てみたいかも……。


「却下だ」


「えぇっ!?」


「あー、……どうにか我慢できないのか?」


「ご、ご主人様は妾に放置プレイをご所望ですかっ?」


 ほ、放……なんだって?


「……聞いたこと無いけど、なんかそれは女の子が言っちゃ駄目な気がするぞ?」


「あぁ……でも、それはそれで……」


「……ティーナ?」


「……いや、やっぱりそれは……」


「……今の内に出て行こうか」


「ご主人様?」


 自分の世界に入りだしたティーナを放置し、俺は部屋を飛び出した。


「そ、そんなっ! ティーナは一体、どうしたら……!」



 なにか聞こえるが、流石に自分の服をすーはーされる気にはなれない。


「……なんか、悪いことしたかな?」


 ティーナがどういう状況にあるのか解らないが、とにかく今はルイスの部屋を目指した。

 部屋がどこにあるか知らないが、表札を見れば解るだろう。


「ここはそんなに広くないしな……」


 少し歩くと、声を掛けられた。


「おー、今から行こーと思ってたのに」


「……このダルそうな喋り方は……」


 やっぱりと言うべきか、そこにはルイスがいた。

 昨日のように肩が力無く下がり、眠そうに目を擦っている姿は、力が入っていないのが解るように首が少し傾いて。


「ダルそうゆーな。まぁいいや、ちょーどいいし。じゃ、行ってみよー」


「おー……」


「……アンタそんな猫背だっけ?」


「いや、別に?」


「ふーん……」


「…………」


「……」


「……つっこめよ」


「なにがー?」


「いや、別に……」


 言ってる間にニーナの部屋に着いた。


「じゃ、呼ぶぞ?」


 言って前に一歩、


「うん……あ、部屋の前に立ったらダメだよー」


「え?」


 しかし、ルイスの忠告は遅く、扉が勢い良く開く。


「……わたしの部屋の前に……立つな……」


「おぉぉッ!?」


 次いで、パァン! パァン! と、立て続けに銃声が響く。

 驚きながらも、俺は慌てて扉を閉めた。



「…………チッ」


 どこの殺し屋だお前は……。


「あーあー、当たらなくてよかったねー」


「え!? 今のってまさか、ニーナ?」


「そだよー、アタシはそれで三回撃たれたww」


 ルイスはそう言うと笑った。


「緊張感はないのか? 当たりどころ悪いと死ぬぞ?」


「う~ん……、そだねー」


 しかし、特に興味は無さそうに自分の爪を見ていた。


「……あー、ちょっと傷ついてらー」


 えぇ?

 …………よし、俺がおかしいんだな?


「わかった! もう何も言わん!」


 すると、また扉が開いた。


「……当たら……なかっ……た……?」



 中からは、眠そうに目を擦りながらトボトボとニーナが出てきた。


「お、おぅ。なんとかな」


「…………チッ」


「……舌打ち?」


「……気の……せい……」


「あ、そうですか」


「…………」


 それっきり、ニーナから返事はなく、見ると、心なしかムスッとした表情をしていた。


「じゃー改めまして、今度はフローの部屋ね」


 言葉が出てこなくて立ち尽くす俺を差し置いて、ルイスが言う。

 ノータッチって事は、ツッコんじゃだめなのかな?


「ニーナが外すなんて珍しいねー?」


「う……ん……ねむ……かった……から」


「へー」


 ……俺は黙って忘れることにした。


「……じゃ、じゃあ…………呼ぶぞ?」


 さて、俺達は今、フローの部屋の前に居る。


「あ! 扉の前に立ったら……!」


 今度は慌てて後ろに飛ぶ。


「おぉっとっと! ……ふー、危ねー」


 セーフ!


「なにもないのにww」


「………………ふっ」


「あぁん!? なにもねーのかよ!」


「うん、ないよ」


「…………ない……ない…………クッ」


「……なぁ、ニーナ? さっきから笑ってるよな?」


「!? ……笑って……ない……!」


 ジャキン! と、凄まじい速度で拳銃を構えるニーナ。


「笑ってない笑ってない! 俺の気のせいだった!」

「………………………………ホント?」


「おー! だからその物騒なものは仕舞おうかー?」


「…………ふー……」


 納得したのか、拳銃を仕舞うニーナ。

 それを確認して、


「可愛いかったぞ?」


「!?!? ~……ッ!!」


「ま、待てって! な、おいっ」


 パァン! パァン! と、小綺麗な建物中にもう一度銃声が響いた……。


「……あぁ、お待たせしましたわ」


「あ、フロー」


「…………なんですの、このゴミは?」


「昨日のイケメンww」


「……まぁ」


 次に目覚めた時、俺はどことも知れない戦場の真っ只中にいた。


「…………は!?」


「おー、目が覚めた?」


「え? 俺は寝て……?」


「ふふ、悠さんの寝顔、とっても可愛らしかったですわ」


「…………あれー?」


 事態が解らなくて、ポリポリと頭を掻く。


「えーっと、俺はニーナに撃たれて……それから?」


「なーに言ってんのー? ……あー、まだ寝呆けてんだ?」


 あれー?


「……撃たれなかったっけ?」


「……死ねば……よかっ……たの……に」


「……ほら」


「大丈夫。ニーナは会った人全員に言ってるから、フロー以外」


「……越えられない……壁……」


「…………そっか」




あぁぁぁ、次の話をどーしようか……



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