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37.決断


やっっと話が進みました。



…進んでますよね?



一頻り談笑を楽しんだ後、遠回りしたような気もするが本題に入ることになった。

一区切りして、三人ともその場の席に着く。


「…それでは本題に入ろう」


部屋の真ん中にあるテーブルに手を置き、俺を見据えている。

その表情は先程とは一遍して真剣そのもので、流石にこの広大な屋敷を治める現当主なだけはある。歳などは関係なく、その肩書きに恥じない威厳を備えていた。


「僕としては、仕事の合間にいろいろと根回しした気苦労の一つも愚痴りたいところだけど…さっさと結論から言うよ」


そこまで言ってなにか考えることがあるようで、少し間を置いてこう言った。


「……僕達の仲間にならないか?」


「はぁ…っ?」

「勿論だけど条件はある、しかしこの申し出を受けるなら君たちが追われることはない。だがもし、受け入れられないと言うのなら……僕は君たちを見逃す訳にはいかない。悪いが僕に出来ることは尽くした。それも、もう限界が近いんでね…決断はキミに委ねる。期限は明日、一度みんなと話して来るといい」


受ければ助かり、断れば捕まりそのあとはどうなるかわからない…ってことだよな。

要するに脅迫、ってことか…。

それでも随分譲歩されてるみたいだけど…


「…少し聞きたいことがある」


「…まぁいい。なんだい?」


「お前…なんでそこまでしてくれるんだ?それは目の前にいるんだから捕まえれば終わる話だろ?」


俺の問いに対して、少し迷いを見せたが、普段と変わらない無表情で答えが返ってきた。


「当然、と言えば当然の疑問だね。…単純だ。キミからは特別な力を感じる…初めて会った時とは比べものにならない力を。今、放って置くと近い内に僕らの脅威になるだろうね」


「俺が…?」


「そうだ。それはカトレアも感じているはずだよ?」


「え!?そうなのか?」


ここで話に入ってこなかったフィオリがおずおずと口を開いた。


「はい…。ここまで大きくて…あったかいのは初めてです…」

そう言ったフィオリの表情はなんだかうっとりしていた。


「現時点ではわかってないようだけど…キミの力は間違いなく僕より上の次元のものだ」

「…なにかの間違いじゃないのか?俺はそんなに出来た人間じゃない」


「カトレアを信用していないようだね?彼女は高い感知能力と治癒力を持っている…今まで外したことがないほどのね」


「そ、そうなのか?」


「はい…。でも、あの…それは誇張し過ぎですよ…?」


「はぁ…キミが謙遜し過ぎなんだ…」


へー、フィオリにそんな力が…

って俺のが誇張し過ぎだよ。


「じゃあ、それともう一つ…。条件ってなんだよ?」


「あぁ、簡単な試験だよ。こちらとしても実力のないものは必要ないんでね」


さらに話を聞くと上層部の連中が納得していないらしい。


そこで実戦を行い、力を見せろ、とのこと。




「一応聞いとこう、相手は?」


「僕の部下が10人と異能者が3人だ…くれぐれも殺さないようにね?」


「…簡単に言ってくれるな」


「あ、当日は全員が銃やらで武装することになるけどキミなら大丈夫だろう?」


「え!?ってことは勿論、俺もなにか武装が許されてるんだろ?」


「…いいところで木刀が一本かな?まぁなにせ状況が特殊だからねー…。」


「…他人事だな。悪いけど一発殴らせてくれないか?」


「おっと、そろそろ僕にも仕事があるんでね。これで失礼させてもらうよ」


「あ!おい!」


バタン…。


なんだかすっきりしない言葉を残してドアが閉じられた。


「…下手すると明日が俺の命日になるわけか…」


「…あの…が、頑張ってください」


「……あぁ」


さて、2人で部屋に残されたわけだがこれからどうすればいいんだ?


…そうして少し考えた結果、


「…じゃあ俺、帰るわ」


「あ!わ、わたし送りますっ!」


「いや、1人で帰れるからいいよ」


「あ…そう…ですよね。わたしなんかが…すいません…ほんの少しでも仲良くなれたとか勘違いしてしまっ…」


「あー!送ってほしいなー!誰か送ってくれねぇかなー!」


「え!?ほんとですか?それならわたしが送りますね♪」


「お、ありがと」


いやいや、お前が言い出したんー…

俺はこのなんとも言えない気持ちをしまっておくことにした。


送ってくれるらしいフィオリに付いていく最中、


「あ、悠様っ!あのお店入ってみませんか?」


あれ?こんな娘だったっけ?


「駄目だ!俺は帰る!」


「……はい」



思ったよりシュンとしたので少し罪悪感もあったが、その甲斐あって今度は短時間で戻ることが出来た。


「それじゃわたしは帰りますね…?」


「おぅ、また明日」


「はい。また明日」


フィオリが手を振って帰って行く。

この娘が一人で帰るの頼りねぇなー…とも思ったが、それどころでもないのでここで別れることにした。


「…とりあえずみんな集めてみるかな」


まずリリィ、次に藍華、最後にレノアの順で呼んできて俺の部屋で円系に床に座った。


そこで、俺は今日あったことを掻い摘んで説明してみんなに問い掛けてみる。


「リリィはどうだ?」


「えっ!?あたし?あたしは…じゃあ、悠に任せる」


「…なんだそれ、じゃあ藍華は?」


「わたしは…もう戻りたくないけど…でも、そういう話なら受けた方がいいと思う」


「そっか…じゃあ、最後レノア」


「いろいろ言いたいこともあるが、あの雷神から逃げるのは無理だ」


「ら、雷神っ!?そんな風に呼ばれてんのか?」




「知らないのか?無知もいいところだな…少なくとも私は、あいつが負傷したという話を聞いたことがない」


驚愕、絶句、唖然。

結果から言うと俺は馬鹿みたいに口を開けたまま固まった。


「…なおさら、受けないってわけにはいかなくなったな…」


「…不安か?」


俺がなにを言いたいのか読み取ったんだろうか、珍しくレノアがこんなことを言った。


「自信を持て。あの時、お前が見せた新しい力はそんな連中に負けるものではない」


「それなんだけど…あの時以来、使い方がわからん!」


「はぁ!?それじゃお前…明日をどう乗り切るつもりだったんだ?」


「あー……なるようになるかなー…?って」


俺が呆れられるのを承知で言うと、ハモったように全員のため息が聞こえてきた…。


まぁ、そのことにはやっぱり不安が残るので、夜になるまで力の扱い方を練習する事になった。




無いように心がけてはいますが、誤字脱字など、ご指摘お願いします。



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