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29.珍道中Ⅱ


ギャグ編パート2です




「今度は茶化さないでくださいね?」



「わかってるって」



改めて村を訪ねた俺達、またあの惨劇を繰り返さないように釘を刺しておく


向き直ってインターホンを押した…ってここもないんかい!


…イカンイカン、作者の方言が出てしまった


気を取り直してノックする



コン、コン



「すいませーん」




ガチャ


中からは三十代位の男が出てきた


顔を見ると、どうやら寝起きのようだが、普通の人でよかった



「ん?お前ら見かけない顔だな」



「ああ、ちょっと遠くから来たんで」



「ふーん、で?俺になにか用か?」



「フレンジアってどこにあるか知りませんか?」



「あぁ、それならあれに乗ってけ」



男は心当たりがあったのか、業者の馬車をスッと指差した



「あれは…?」



「はは、お前ら運がいいよ。あれは唯一、月に一度こことフレンジアを往き来する馬車だ。あのおっちゃんは気前がいいからタダで乗せてくれるんじゃないか?」



「よかったー。これ以上歩いてたらあたし死んでたよ?」



「人は歩いただけで死にませんよー、それじゃあれに乗せてもらいましょう。それとおじさん、ありがとうございました!」


「おっちゃん、ありがとね♪」



馬車が出そうな気がしたので、おじさんに礼を言ってアリアの手を引き駆け出した



「俺はまだ29だ!おっちゃんじゃねー!」


遠くの方でおじさんの声が聞こえる


隣を見るとアリアがひらひらと手を振っていた



「じゃあねー!おじさーん!煙草止めなよー!」



「なんでわかった?って余計なお世話だ!」




ガラ……ガラガラ…



「今度のはいい人でしたね……って、アリアさん!もう馬車出てる!」



「えっ!?」



「ほら、早く行きますよ!」



まだ少し距離があったので、2人して大慌てで馬車を追いかけた




「はー…助かったー」



「あと一分でも遅かったら追い付けなかったね?」




まだ動き出したところで本当によかったと思う


声を掛けると行商のおじさんに届いた様で止めてもらうことが出来た




「わっはっは!どうしたんだね?若いお二人がそんなに慌てて」


言われたとおり気前の良さそうな豪快な笑い声のおっちゃんが声を掛けてくる


さっきのクールなおじさんより年がいってそうだ(五十代くらいかな?)



「あの、この馬車ってフレンジアってとこまで行きますか?」



「確かに行くが…それがどうか……ほぉ…なんだ、そういうことか?いいよ!乗りなさい!まぁー、乗り心地は良くないがね!わっはっは!」


目的地を言っただけで要件を見抜かれた


どうやらただの変な笑い方のおっちゃんではないようだ




「乗せてもらっていいの?おっちゃん」



「あぁいいとも!儂があんたみたいな美人の頼みを断るように見えるか?頼まなくても乗せてるね」



「ありがとうございます!」



「アハハ、こっちも拒まれても乗るつもりだったけどね♪」




おっちゃんの人のよさに甘えて、快く乗せてもらえた


後で聞くと3日はかかるらしい、そんな道程によく知らんやつを乗せてくれたものだ




ガラガラ…ガラガラガラ…


車輪の規則的な音に耳を傾けながら、窓からひたすらに続く山を眺めていた…


やはりこの辺りは田舎だったらしい




「……!…?………!!」


車内ではアリアとおっちゃんが騒がしく言葉を交わしている


相当に馬が合うのだろう


しかし、今はそんな騒がしさより少し感傷に浸りたかった…


アリアのおかげで、しばらく忘れかけていたリリィのことについて考えを巡らせる必要があったのだ



…なんで話してくれなかったんだ?


組織に兄がいると言ってもリリィはリリィだ。そんなことはちゃんと話してくれてれば疑ったりはしないのに…


騙してる相手にそんなことを言うはずがない…やはりそういうことなのか?


だが、いくら考えても答えは同じ。

疑いはより色を濃くしていく…

一度納得している以上、亀裂はより深まる結果となった


思えば、自分はなにも知らなかったのだから、騙されたのは俺が悪いわけだ

勝手に信用していた俺が…




「いつまでも引きずって……女々しいな…もう考えるのは止めよう…言いたいことをきっちり伝えてあとは俺の好きにすればいい……俺のいる世界はここじゃないんだから…」



考える暇がなかったからなのかもしれない…俺は元の世界に帰らないといけなかったんだ


尚更リリィに別れを告げないとな…


今まで騙してくれやがってどうもありがとうございました

とでも言うとするか…




スッ



「おーい!お前、めちゃくちゃ嫌な顔になってるぞー?」



皮肉めいたことを考えていると、突然横からアリアが顔を出した



「うぉ…っ!びっくりしたぁ…いきなりじゃなくて声掛けてくださいよ」





「お前が返事しねぇからだ!」



ガン!


殴られた…


痛みに頬をさすっていると、濃いアルコールの匂いが漂ってきた



「いってぇ……って、なに飲んでんすか?」


「見たらわかんでしょ?お酒ぇー♪」



「だから、なんで酒飲んでんすか?」



「おい!若いの!お前も飲め!」



「おっちゃんまで…!?アリアさんはともかく、運転は!?」



「運転?3日も飲まずになにしてろってんだ!」



「……これは駄目だな」



「おい!暗いぞ?悠!一緒に飲めー♪」


確かにさっきのようなことばかり考えているとどんどん暗くなっていく…


気分転換にはいいかもしれないな



「じゃあ、おっちゃん!俺のもありますか?」



「悠!あんたはあたしのを飲んでればいいんだよ!」



「……わかりました」



よくわからない事を言っているアリアから瓶をもらい、口に含んだ



ごくっ…ごくっ…



「はい、間接キスー♪セクハラじゃん!慰謝料払えー♪」




普段からテンションの高いアリアだが、酒が回るとより意味がわからないしついていけない




「ねぇ、暇。踊ってぇ♪」



「え?俺がですか?」



「おっちゃんは運転してんだろぉ?あんた馬鹿?」


「いや、今のは駄目でしょ?」



「いいの!酒が回って興奮するのは許されるべきなの!どうせ作者が叩かれるんだから!」



「まぁそれはそうですけど…」



「それより、早く踊ってよ♪踊りじゃなくてもいいからなんか面白いことしなさい」


「命令かよ!って言ってもなにもないですよ?」



「そ、わかった。やってくれないなら代わりに私が…」



なんか嫌な予感…




「脱ぐわ!」



「…やっぱり!止めてください!」



「おぉ!?アリアちゃんが?見たいぞー!やれやれー!」



「おっちゃんも煽るな!」



「じゃあ、行きまーす♪」



「脱がんでいいぃぃ!」


ガッ



本当に脱ごうと服に手をかけた瞬間を取り押さえた


てか本当にするなよ!そんなことしなくても充分盛り上がってるから!




「ちょっと…なにすんのよ!」



「なんであんたがキレてんだ!…もういいです。俺がやりますから」



「え?脱ぐの?」



「若いの!嫌なもん見せんな!」



「うっさい!そんなわけないだろ!一発芸です!」



「おぉー…」



パチパチパチ…



2人から拍手を貰い、なんだかハードルが高くなった


でも、やると言ったからにはやらなくては…

中学の時に意外とウケて調子に乗ったあの芸を!





そのあと全力で滑ったのは言うまでもない





なかなか本筋に戻れません


てかこういうノリがスッゴい書きやすいです(笑)


シリアスは言い方によって伝わり方違うし、ちゃんと考えないとおかしくなります(汗)



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