3.“離別”
この話からようやくバトル要素が入ってきます
作者は基本バトル入ってるやつが好きなんで
…たまに疑問に思うことがある…
毎日同じ風景見て
毎日学校行って授業受けて
毎日同じような話して…
それが当たり前だとは思う…
でもそこになんの意味があるのか…
別にこの世界が嫌いなわけじゃない
だから普段は考えない、そんなこと思わない
…ただ、たまに嫌になる…
毎日同じことを繰り返し繰り返し…
繰り返しの終わりは……死…かな…
死んだことないからわかんないけど…
先生「…で、ここが……こうなって……」
あぁ、また同じこと言ってんな…
こんな授業に意味なんてあるのか?
結局は将来が楽になるだけ…
まぁ…それはそれで良いんだろうけど…
……俺は……
先生「じゃあ…悠、これやってみろ」
悠「あ、はい」
…俺は…このまま終わりたくはない!
そう思った所で目が覚めた…
悠「あれ?…俺は…たしか授業受けてて…」
言いながら周囲を見回す
悠「どこだよ…此処」
目の前には見たこともない世界が広がっていた…
どうやら自分のいる場所は他より大分高いらしい(3メートルはあるかな)そこから見渡せる範囲だけでも深く茂った森、限りない水平線、生態系のよくわからない全長4メートルは余裕でありそうな猿(ゴリラ?…かな)、火の海と化した街…
悠「おぉ…すげぇ、こんな世界…見たこともねぇし…俺の常識にもないって!」
悠「もしかして…」
…日常と…“離別”した…?
いや…ないか……
どうせ夢だろう
…もったいない…こんな世界の方が楽しそうなのにな
悠「…って、火の海はおかしいだろ!なんで街が燃えてんだよ!?」
すぐに崖から降りて街に走る
5分ほど走っただろうか、遠くから人の声がする…
?「誰かぁ!…た…けて…!」
……?…
ここからでは微かにしか聞こえない…一瞬迷ったが走って近づいてみる
?「助けてよぉ!誰かっ…!?」
ドゴォォ!
見えるだけで人影が2つ…2人いるらしいな…さっきの声は女だったらしい…もう1人は男…みたいだな…それと今の爆音は…?
?「…諦めろ、お前に非はないが…俺に目をつけられたのが」
…お前の不運だ…
?「ヒィ…ッ!」
確かにそう聞こえた瞬間、男は手をかざした…
かざした手に炎が灯る…周囲の酸素を取り込みながらすぐに球形にでかくなっていく…!
悠「!!」
炎はさっきの女の方に飛んでいく…悠は、飛ぶか飛ばないかの刹那を見た時には体が動いていた…そして、すでに目の前にきている女を全力で押す…!
ドン!
?「キャァ!…えっ!?」
カッッ!!
ドォォォン!!
男の放った巨大な火の玉は、悠にあたって弾け飛ぶ…と、同時にさらに酸素を取り込んで一気に燃え上がる!
悠「ウッ…あぁぁぁあ!!」
悠は火に包まれたままもがき、叫ぶ
?「なんだ?あれは…!…まさか…人間か?…チッ、だとしたら少し厄介だ…一旦退くか」
男は珍しく感情を露わにしたようだが、なにか毒づくとその姿を消した…
悠「がぁぁっ!…ッ!…ゲホッ、ゲホッ!」
火はすでに消えかかっていた
ハッと何かに気付いたように悠に駆け寄る
?「ちょっ、ちょっとぉ!なんで?…なんで私なんかかばったの!?」
悠「え?…えっと…なんで…だっけ?」
?「いや…私が聞いてるんだけど…」
悠「……」
悠「あ、えっと…やっぱ女の子は助けないとって思って」
?「!?…ばっかじゃないの!?…そんな理由で…?」
そこで初めて女の方をちゃんと見た
女は外見だけなら14歳ぐらいに見える…顔は日本人に似ているが外国の血も少し混ざっているように見えたが、そんなことは関係ないくらいかわいかった
悠「(…まぁ守ってあげたくなる見た目ってかんじかな…体なんかかなり細いし…握ったら折れるだろうな…)」
髪は金髪でツインテールにしてあり、根元のデカいリボンが彼女のかわいさをより際立てていた
そこまで見てから言う
悠「よくみると…キミ…結構カワイイね」
悠「はは、カワイイ子なら…助けてよかった…かな」
?「!!」
?「うぇぁ!?…いやいや!そんなこと言ってる場合じゃなぃじゃん!」
?「はやく手当てしないと…死んじゃうよぉ!!」
悠「…そのことなんだけど…どうも手遅れっぽいよ?…ッ…ゲホッ、ゲホッ!」
悠「…ごめん…次が…最後の一言になりそ…」
?「またぁ…そんなこと言われたら縁起でもないって」
悠「…ガハッ!」
ビチャッ
苦しみながら血を吐く悠、状態はさっきより見るからに悪化していた…
?「血?えっ…?嘘でしょ…?だって!あんたさっきまで…ふざけたりして…ちょっとは…余裕ありそうだったじゃん!」
悠「キミ…名前は…?」
?「え?…わ、私は…リリィ…リリィ・アルゲージ……あなたは?」
悠「…武田…悠…あ、漢字は製薬会社のやつね…」
リ「…はっ…あはははは…製薬会社?なにそれ?わけわかんないこと言わないでよ」
悠「はは、意味わかんなかった?…んじゃいぃや……ね、リリィ?」
リ「あはははは……え?なに…?」
悠「…俺の分も…頑張って生きてね…」
リ「…え?…どうゆうこと…?」
バタッ
-悠が…完全に動かなくなった…-
リ「…そんな…」
リ「…やだよ!私をかばって勝手に死ぬなんて!…そんなの絶対許さないんだから…!」
悠「…ん?また…飛んでる…?」
悠「…こんどは…何処だ?…此処」
悠が目を覚ましたのは何もない空間だった
自分の身体も色も音も空気も背景も…時間さえ…そこには何もなかった…
…あるのは自我だけ、か…
-これが…“死”…なのか?-
なんか…思ってたのと違うな…
…ん?…なんか声が聞こえた気が…
お、あれは…
よく見ると一点だけ見える部分があった
そこにはリリィが映っていた
悠「リリィ?」
リ「これは…完全に…死んでるよね…」
頬に泣きはらしたあとが残っている…まだ諦めてなかったようだが…
リ「…やっぱ…あれしかないかな…」
酷く気乗りしなさそうに言うリリィ
悠「(なにしようとしてんだろ…死体なんかに…?)」
リ「…これやっちゃうと…もう…元の世界に戻れなくなるけど…いぃ?」
悠「うぉぉ!?」
ビクゥ!
悠「な、なんでこんなとこいんだよ?」
ハッ!
悠「自殺…じゃねぇよな…?」
リ「するか!…ってそうじゃなくて…どこから説明しようかな…あ、えっと、私には…なんか生まれた時から呪いがかかってたらしいの」
悠「うん…どんな呪い?」
リ「なんか生まれつき“不死身”…?らしくて」
悠「…不死身?」
リ「えっと…ある時大ケガしたときに気付いたんだけど…」
悠「うん…それで?」
リ「その時は近くに友達がいたの…で、ケガしたのも見てて慌てて助けに来てくれたんだけど…」
悠「…治ってたのか…大ケガが」
リ「そぉ、それから気味悪がられて…親にも追い出されたの…」
-そう言ったか弱い女の子は俯いて顔は見えないが…肩を震わせて…泣いていた-
悠「(身体がないのがもどかしいな…目の前に泣いてる女の子がいるのに…なにもしてやれない…)」
リ「あ、ごめん…グスッ…続きだったね…」
悠「…無理して話さなくていい…」
リ「うぅん…いぃの…悠には…聞いて欲しい」
悠「…わかった…でもその前に…元の世界に戻れなくなるってどうゆうことだ?…あのかんじだと…俺が生き返る方法がある様なはなし方だったけど…?」
リ「あ、その事なんだけど…まず第一に元の世界に戻れなくなるの」
悠「それは、聞いてたけど…なんでなんだ?」
リ「ん~、えっとね…まず私のいる世界と悠のいた世界は次元が異なるの」
悠「えぇ!?」
…今更だけど、夢じゃなかったんだな…
リ「どっちかっていうと今いるこの世界の方が夢に近いカンジ…なのかな」
リ「で、次に生き返らせる方法なんだけど…まぁ、理屈は簡単なの…私の力を分けるだけだから…あ!言い忘れてたけど生き返ったら命狙われるから…それはあとで話すね」
悠「(え?…命狙われんの?今もう死んでんのに…)」
リ「…その…生き返らせる手段なんだけどね?」
悠「うん」
リ「…“キス”…が一番簡単だし、確率も高いの…でも、私は…」
悠「い!?…キス!?で…私は…?」
リ「…キス…したことないの…」
悠「……マジで?」
リ「…今、絶対バカにしたよね…」
悠「…してない」
リ「してる!あぁー、だから言いたくなかったのにぃ!」
悠「だから、してないって!」
リ「なんで言い切れるのよ?」
ジト目で睨んでくる
悠「…俺も…したことねぇからな…」
リ「…ウソ」
悠「嘘じゃねぇって、ってか逆にリリィの方がカワイイし…やっぱしたことあるんだろぉな~とか思ったのに」
リ「あ、あたしだって悠は絶対したことあるよね…とか思ったわよ!…イケメンだし…優しいしね…」
凄い勢いで言い返されたが、照れているのか最後は消え入りそうな声で聞こえなかった
まぁ悠は毎晩の様に咲妃にされていたのだが、全部寝込みを襲っていたので本人は気付いていなかった…
悠「ごめん、最後だけ聞き逃した」
リ「…うっさい!」
悠「えぇっ!?」
リ「じゃあ…さっさとするわよ!」
悠「…俺の死体と…?」
リ「ヤな言い方しないでよ…どうせすぐ戻るんだから」
悠「…ごめん」
リ「やっ、別に悠が悪いわけじゃないから…元はあたしのせいだしね…」
リ「じゃ、いきます」
スーッ
大きく深呼吸する
わっ、悠の顔近いよぉ
でも…ちょっと嬉しいかな…ふふ…
その時、唇と唇が触れた
悠「う!?」
リ「ふぁ!」
悠&リ「(近ーい!!)」
-こうして俺は…
元の世界と“離別”を終えたらしい-
この話でやっとプロローグが終わったカンジですね
…なのにこの疲労感は何なんだろう(-.-;)