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19.嫌な予感

これでしばらくイチャイチャするのは終わりです…(^_^;)


観覧車が一周し、降りる順番がまわってきた


藍華はブツブツ言わなくなったが、機嫌が悪いままだ…


…難しいな




「藍華、次はなんでも付き合ってやるから機嫌直してくれよ…」




少し思案した結果、こう言ってみる


レパートリーがないからこんなことしか言えない




「…嘘ついたら怒るからね」



「なんかよくわかんないけど、俺のせいでもあるんだろ?それでマシになるんならどんどん使ってくれ」


「…わかった、じゃあ楽しみにしててね」




そんなことでも拗ねてるのは直ったみたいだった




そして気になるのがもう一つ




「…一つ聞いてもいいか?」



「なに?」




全然そんな場面でもないのにずっと笑顔のリリィ、普段からそんな感じだったっけ…?




「そんなに…よ、良かったのか?」



「えぇぇ~…そんなこと聞くの?」




今のリリィは、頭の中に一面お花畑が広がっているようだ


なにを言っても笑顔が隠しきれてない


これでかわいくなかったら殴ってたな…




「ふふっ、良かったよ…すっごく…」



「そ、そう…か…なら…良かった…のかな」




ああ、もう駄目だ…聞いてるこっちが恥ずかしくなる


まともにリリィの顔が見れん…




「次はどこいくんだ?言ったからには藍華についてくけど」



「んー…あ、そういえば咲妃ちゃんは誘わなくてよかったの?」


備考、藍華と咲妃は年がそれほど変わらないため、互いにちゃん付けだ




「いいんだよ…レノアにもたまには気を遣ってやらないと」



「そうだね…最近の扱いが荒いもの同士、上手くやりそうだし」



「…言ってやるな」



「悠くん!あれなんかどう?」




いつ来たかわからんが、ここは遊園地


指差したのはジェットコースターだ


まぁ王道だな









「あっはははは!ほらほら!悠くん!動いてるよ!速いねぇ!あは!あはははは!」



・・・


で、なんでこうなるんだ?


さっきから引くぐらい笑いっぱなしだ


両手を上下に振りながら足までバタバタして…


動き始めた時はふつうに喋ってたのに、最初の加速でキャーと悲鳴をあげて以来、何が可笑しいのかなにを見ても笑っている


…まさか藍華もこんな人だとは思わなかった




「ふぅー、楽しかった。ねぇ!悠くん!」



「ああ!あれは楽しかった!」




また笑い出すのか構えていたが、もう元に戻っているようだ


楽しそうにしているのを見ていると、こっちまで気分がよくなってきた


元々ジェットコースター大好きだし





「じゃあ次は…あれ!終わったらそっちの!あー、あっちの方がいいかな…それとその次はー…」



「っおいおい…そんな焦らなくても時間はあるんだから…」



「え?あっ…ごめん……わたしに付き合ってくれる、って言ってくれたのが嬉しくて…つい…」


「あぁ…いや、いいよ…別に嫌じゃないから」





そんなこんなであっという間に時間が過ぎた


着いたのは昼頃だったのに、今は日が落ち掛けている


その間、リリィを放っておいて拗ねてないか心配だった




「そろそろ戻ろう」



「…うーん…わかった…」




よっぽど楽しかったんだろう。落胆を隠さず、名残惜しそうに頷いた




「あれ?リリィは?」



「いない、ね…仕方ない。このまま2人でホテル戻ろっか…?」



ええい、それ以上俺を誘惑しないでくれ


もう慣れたけど遊んでいる間中、腕に抱きついたままなのもそうだ


てか、そのまま帰ってなにする気だ


……うん、聞かなかったことにしよう



それにしてもリリィはどこいったんだ?


一応、ここで待ち合わせしてたのに




「あ!あれじゃない?」



言われた方に振り向くと、人が多くてわかりにくい…が


確かに少し離れたところにリリィがいた




「2人とも来てたんだ、どれぐらい待ってたの?」



「今来たとこ。…なんかそっちはそっちで楽しかったみたいだな?」



「うん♪、いろいろお店見てきたんだけどかわいいね、っていっぱいサービスしてもらったから」


それで出かける前よりアクセサリーが増えてるのか


中には値段を聞きたくないような貴金属類まであった




「よかったねリリィ、後でわたしにも分けてよ」



「えー…その代わり今日の話聞かせてよ?」




珍しくお互い機嫌がいいようで、嫌味を言うこともなく素直に会話している




「そっか、よかったな」



「うん!今日は楽しかった~…じゃあ、そろそろ戻ろうよ」




ぐーっと伸びをすると、疲れた様子を見せた




「ちょうどそんな話をしてたとこだ、行こう」





俺の一言を締めに、それぞれ自分の部屋に戻った




「こんな日ぐらい…いいだろ!多分!…たまには酒でも飲んでみるかな」



完全に日が落ち、賑やかだった街も今は街灯が輝くばかり…1日の終わりに星でも眺めようと思い、それだけだと寂しいので、別で楽しみを用意することにした


ちょっと感傷に浸りたくて、趣向を変えてワインを飲んでみる





「…こういうのもいいもんだな…」




ワインを口に含み、なにをするでもなく星を眺める


それだけの事がこんなにいいなんて


…老けたか?



これは関係ないが、さっき気付いた、この部屋は防音仕様になっているらしい…


空調の音をのぞけば、限りなく無音だ


ホテルだけあって、そういう事になるのも想定されてるんだろうな…


考え過ぎか、藍華の部屋はノックした時に聞こえたみたいだし


ベッドが最大サイズで、そういうことをしやすそうなのも考え過ぎなんだろう…多分





リーン…リーン…




鈴のような音が響いた、予想だとインターホンのようなものだろう


ロフトを降り、ドアを開ける





「こんばんは。悠くん」



「藍華か、どうした?こんな時間に…言っとくけど夜這いなら遠慮するぞ」



「2人の時に話す機会がなかったから、寝てないなら聞いてもらおうと思って…」




あれ、無視された…




「ああ、ここに来るとき言ってた話か…聞いてほしいんなら聞くよ」



「ありがとう…なんか、一人でいると思い出して泣いちゃいそうだったから…」



「そっか…とにかく部屋の中で話そう」




ドアが閉まらないよう、体で押さえながら部屋に招き入れた




「失礼しまーす」



「どうぞ」





テーブルまで案内し、なにを飲むか聞いてみた




「飲み物はなんにする?」



「紅ワイン!…ある、かな?」




即答、ちょっとびっくりした


あったからだしたけど…




「…それじゃあ、話すね?」






…それから聞いた話に衝撃を受けた


今まで生きてきた世界、日本では聞けない話だ


途中からはかなり酔ったみたいで、他人事のように話していたが…


今、一緒に行動しているメンバーは、みんな悲しい過去を持っていた


咲妃はここに来てから、レノアも聞いたことはないが、そんな経験は豊富そうだ


それぞれに悲しい思いを背負って一緒にいるのだ、ということを改めて感じる…




「…やっぱ、みんなそんな過去があったんだな…」



「うん…人によって大小はあるけど、みんな平等につらい思いをしてるんだよ」




平等に、とは言っても比べものにならないぐらい人よりつらい経験をしてる…それでも…ここにいて笑っていられるのはすごいよ…


強いな…みんなは


藍華もリリィも咲妃も、わかんないけどレノアも…


裏切られて、実験台にされて、戦争を…大勢の人の死を見て…まだ自分を保っている、心が死んでない


俺なんか、どれも耐えられる気がしない


真っ直ぐ廃人だな…




「なんか…どんどん暗くなってくな…話題、変えようか」



「そうだね…せっかく悠くんと2人なんだから、もっと楽しい話したいな…あ、エッチな話でもいいよ?」



「…それは勘弁」




それから一時間ぐらいだろうか…取り留めのない、たわいない話をした


なんでもない会話だったが、それがなにより楽しい


…そう言えば、喋ってて気が付いた


暗い話をしている時、藍華の髪にうっすら…7:3ぐらいの比率で黒髪がまじっている…


あれは何だったんだ?


酔っていたから見間違えたんだろうか…




「今更だけど、今夜は星が綺麗だな…」


「ふふ…意外とロマンチストなの?」



「いや…そういうわけじゃないけど…綺麗な満月だなーと思って」






深く考えずに言ったのに、藍華は気になるところがあったようで…




「…あの日もこんな満月だったなー……でも、あの時と同じような…嫌な予感がする…」



不吉な言葉を残した



「…あまりよくない話だな」




そろそろ眠くなってきた…それを伝えようと、藍華に話し掛けたが反応がなかった




「先に寝たのか…床で寝たら風邪引くって」




藍華には悪いが、今晩だけ許してもらおう


抱きかかえてベッドまで連れて行った


ん?…初めて抱えた気がしないな…


藍華に布団を掛け、自分も布団に入ろうとする


…なにもしないから俺もベッドで寝かせてくれ…




「起きたら謝ろう…」


布団に入る前、ふと窓に目をやる


そこには街の光や、満月が映っていた





(あの時と同じような、嫌な予感がする…)



「嫌な予感…か、的中しなきゃいいんだが…」










その時、俺の甘い考えをぶち壊すかのように


銃声が鳴り響いた…




やっぱりありきたりになってしまう(泣)


また新しい展開考えないと(゜∀゜;)

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