12.洋館
こちらの都合で1話と2話、11話と12話を結合しました
ホントに勝手ですがご理解&ご協力お願いしますm(_ _)m
話も終わり、朝まで談笑しているとさすがに腹が減ってきた
咲「みんな、なにか食べない?」
悠「俺はちょうど食べたかったとこ」
リ「あたしもー、早く食べにいこ」
レ「昨日から何も食べてなくて…さすがになにか食べないと」
咲「じゃあ…リクエストある?」
リ「あたしパフェがいぃー!」
悠「朝からそんなもん食ってると太るぞ?」
リ「うるさい」
バキッ!
リリィの右ストレートを受け、呻くように自分の願いを伝える
悠「…唐揚げがいい…死ぬ前にせめて一口…」
リ「死ぬ前にって…そんな大袈裟な」
バタッ
咲「…リィちゃん、悠大丈夫なの?」
燃え尽きたよ…そりゃもう、真っ白に…
リ「え?あ、ごめぇん!そんなに効くと思わなくて…」
レ「私は咲妃さんの手作りなら何でも大丈夫です」
咲「リィちゃん…パフェは無理だから自分でお願いね、悠は唐揚げで、レノアさんはなにもいらないですよね?」
リ「えー?咲妃さん何でも作れそうなのに…」
レ「えぇっ!?…それはいくらなんでも倒れます!」
咲「パフェなんか作ったこともないの!それとレノアさん…なんでもいい、は作れませんよ?」
結局、レノアは俺の分とまとめて唐揚げ、渋るリリィが自分で適当に作ることに決まった
レノアが唐揚げを知らなかったことが意外だったが
悠「ふー、うまかった」
レ「ご馳走さま…唐揚げ?だったか…初めて食べたが美味しいものだな」
リ「…やっぱり咲妃さんに作ってもらいたかったなー」
咲「でも、リィちゃんのも美味しそうだったよ?」
迷った挙げ句、リリィが作ったのはチャーハンだった
咲妃が言うんなら美味いんだろうが、
リ「あたしのとじゃ…なんかレベルとか違うもん」
咲「ふふ、そう?」
レ「やっぱり咲妃さんの手料理は最高でしたよ」
悠「ちっさい頃からめちゃくちゃうまかったからな」
咲「…まぁ、悠がそう言ってくれるんなら作った甲斐があったわ」
そう言った咲妃は普段言われない人に言われたからか、かなり嬉しそうだ
そんな咲妃の様子を見てなにか感づいたたのか、レノアに呼び出された
レ「…どうやら咲妃さんはお前を見ているようだな」
悠「だろうな…」
レ「だろうな…ってあんな魅力的な女性に好かれて、さらにそれに気付いているのに何も思わないのか?」
悠「…そりゃ俺だって嬉しいけどな、実際もったいないんだよ。俺なんかよりよっぽどいいやつなんていくらでもいるのに」
レ「お前なら十分だろう?謙遜するな…彼女が可哀想だ」
悠「俺じゃ駄目なんだ…不安定で一貫してない、思われてるよりまともじゃないんだよ、俺は。」
ガンッ!
拳が見えたかと思うと、急に吹き飛ばされた
その勢いで石壁にぶち当たったが、そんなこと微塵も感じないほど自分の思考に浸っていた
レ「ふざけるな!わかってるんなら答えてやれ…そんなことであやふやにするな!…誰だって最初から安定なんてしてない」
悠「わかってる……でもな、知った風な口利くんじゃねぇよ!」
ドガッ!
今度は俺が殴り飛ばした
俺の力じゃ飛ばせなかったが…
悠「普通じゃないんだ…いつトぶかわからない。…そんなやつと咲妃を一緒にできるわけがないだろ」
レ「…ならいい、それなら私が奪うまでだ…こんな腑抜けに負けるはずもないがな」
悠「勝手にしろ…争う気もない」
思わぬ所で険悪になったが、みんなのいる方に戻るのは変わらない
……俺にはわからないんだ…人を愛するって感情なんかな
リ「なんかあったの?2人とも」
レ「なにもありませんよ。こんなやつとなど」
悠「なんもねぇよ」
戻ったまではいいが、明らかに2人の雰囲気が違う
それに連られてリリィまで気分を落とした
悠「ここから一番近い街は?」
リ「ここから…えっと、北の方に10キロぐらい行ったらあったと思うよ」
悠「ここの場所はもうバレてるだろ…こっちには"敵"もいるしな」
蔑むような目でレノアに視線を向けた
レ「こんな時までさっきのことを引きずらないでほしいな……それ以上言うならお前でも容赦しない…」
冗談で言ったんじゃなさそうだ、殺気が本物だ
悠「今日中にはここを出ようと思ってる、誰か言い返すやついるか?」
・・・
間を空けるが誰もなにも言わない
悠「じゃあ各自準備できたら行くか」
俺はカバンを肩にかけて終わり、あとは…
悠「よし…行くか、忘れ物ねーよな?」
リ「ない、と思う」
咲「大丈夫、さっき確認したから」
レ「問題ない」
やっと火の海を抜けた(出て行く頃には火が消えていたが)俺達は、街の周囲3キロに渡って広がる草原を歩いていた
俺達の進む方向にはまだ遠いが、森が見えている
悠「また森か…」
レ「…そういえば、この中に能力者はいるのか?」
悠「今は咲妃以外の全員だな…でもお前、任務の時に能力リストみたいな物渡されただろ?」
レ「…会話が欲しかったんだよ…」
悠「気まずくなったのは俺らが喧嘩したからだろ?…あの話はまた落ち着いてからな」
咲「2人でなにコソコソ喋ってんの?」
悠「…咲妃にとっても大事な話」
咲「私の…?なになに?教えてよ」
悠「悪いけど今はまだ無理かな…」
咲「なんで?今じゃ駄目なの?」
悠「…できるだけ近いうちに話すから」
咲「…絶対だよ?」
悠「…ああ、絶対な」
レ「そういえばお前、確か風使いだったな?」
悠「そうだけど…それがどうした?」
レ「飛べないのか?」
悠「…俺1人ならなんとか飛べるかもな」
レ「4人同時に飛ばすことは?」
悠「無理だな…楽しないで歩け」
森に入る頃には日が傾いていた
まだ小粒だが雨も降り始めていた
悠「雨か…こんな所に雨宿りできるとこなんてあるのか?」
リ「うぅ…最悪」
それから1時間ほど歩いたが、雨は激しさを増すばかりだった。雲のせいで視界も悪い
リ「こんな時に野宿なんて絶対やだぁ!」
こんな所で寝られるわけもないので、とりあえず進むだけ進むことにした
悠「………あ」
雷の音が聴こえ始め、豪雨が嵐になろうとしていたころ
かすかにだが灯りが見えた
悠「みんな、あれ家の灯りじゃないか?」
リ「ん~……?…あっ、ホントだ」
咲「灯りが見えたの?なら早く行きましょ」
ひとまず雨宿りぐらいさせてくれることを期待して全力で走った
これで今日の雨は大丈夫かな?と思っていた…そんなに現実甘くないということを思い知らされたが…
単純にもの凄く薄気味悪かった
家というよりもはや館、西洋的なホラーにかなり高い頻度ででてくる洋館…
第一印象は最悪だったが、他に泊まれるような所が見つかるとも思えなかったし、これ以上雨に打たれたくもなかったのでここに泊まることにした
家があれば泊めてくれるのか聞こうと考えていたが、どうやらその必要は無いようだ
なぜなら明らかに住んでいる形跡がなかったから。人の気配もしない、ところどころ腐って崩れている、おまけに判別出来ないような植物が巻きつき放題
・・・
悠「失礼しまーす」
ギィィィ…
…勝手に入ることにした
無駄にデカい扉を開けるとき、どこか覚えのあるかなり不気味な音が鳴ったのはもう気のせいだと思うことにした
これ以上入りにくくなればまた雨に濡れることになる
中はとにかく広かった、廊下を真っ直ぐ歩いて突き当たりのドアをあけると……これはリビングっていうのかな?がとにかく広かった
布団がなかったので全員で雑魚寝になったが、4人ならんで寝転んで大の字に寝てもまだまだ余裕がある
リ「…一緒に寝て?」
悠「また俺?」
リ「だって……こんな所でなんて怖くて眠れないんだもん」
それだけ聞けばありがちな話だが……全然怖がってる様子もない、それにその期待するような目は気のせいか?
俺だけか?そんな風に見えてんの
悠「…レノアとか咲妃とかいるだろ?」
言いながら2人の方を見てみた…
「!!」
もう寝てんのか!早いなオイ
てかレノア…お前行儀いいんだな!
リ「…ね?」
悠「・・・わかったよ」
その嵐で大体の時刻もわからないような日はこうして終わりを告げた