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11.騎士



「…護ってやってくれ、さっきのショックで気絶してるらしい」



そういってそっと地面に寝かせたのは、







リ「え!?…咲妃さん!」



どん!



悠「いてっ!」



駆け寄ったリリィに突き飛ばされた



リ「ほんとに?…ホントに咲妃さんだよね!?……よかったぁ」



おい、それは俺も言いたかったのに…




悠「…ホンっっトによかった。」



「それじゃあ、頼む」






バサッ…バサッ


ボフン




悠「……なんだあれ?」




ドラゴンが煙からぬけ、さらに高度を上げこちらを探しているようだ



見ると、姿が変わっている


二回りほど小さくなり、鱗の色が真紅から淡い紅になり、体も変わる以前と比べると無駄が無くなったように感じられる。




「ヴァァァァァ!」




雄叫びを上げ、弾丸のように一気に飛び出した



俺が確認出来たのはそこまでだった



ガァン!


ガラガラ……



ひゅんひゅんひゅん…



ボトッ





翼で建物もろとも粉々にするような攻撃だった



しかし、被害は少なく、弾かれたような音と名も知らない男が刀を振るっていたこと、根元から斬りとられた無残な翼が、男が翼を切り裂いた事実を語っている




グラッ…



ドォォォォ…ン




片翼をなくし、バランスを崩したドラゴンが堕ちた


やっと反応出来たのも同じタイミングだった





悠「っ…くらえ!」




堕ちて藻掻き苦しんでいる所に、直径30センチほどの圧縮弾を放つ




ボォン!




…?



当たったのに、当たった形跡がない


怯みもしない所をみると、本当に当たったのか疑いたくなるぐらいだ…





悠「…なんでだよ?…さっきまで効いてたのに」




「効いてないみたいだね…下がっててくれ」


悠「いや…まだ本気じゃ…」


「いいから下がっててくれ、組織にいたころはこれぐらいのドラゴンなら…仕事で10匹は狩ったことがある」




ダン!



「…ふっ!」





刀を持つ手に力を込め、左から右に向かって思いっきり振り抜いた




ザクッ!



…ボトッ





…すげぇ




信じられない速度で飛んだのは見えたが


飛んでから尻尾を切断したのは全く見えなかった



斬ったことがわかったのは主から離れ、落ちている尻尾を見てからだ





悠「10匹!?…確かに嘘じゃなさそうだ、ならまずは咲妃を安全な所まで運ばないと」


リ「…どっち手伝ったらいぃ?」



悠「あっちを手伝ってくれ、無理なら退がっていい」



リ「わかった」




ゴォォォ!



「…うぁっ!」




漆黒の男が炎に包まれた




悠「おい!大丈夫か!?」








タッ



事もあろうに"炎に包まれたまま"軽やかに着地した


…見てわかるほどの外傷もなく





まぁ、鎧付けてるから見えないのは当然なんだけどな






「ふん…こんなもの避けるまでもない」



悠「いや、うぁっ…とか言ってたよな…?」


「うるさい!…さっさと行け!」



悠「わかったわかった、言われなくても行くって」





…癇に障ったらしい


思ったよりキザでうっといやつのようだ




「何か言ったか?…気が散るから喋らないでくれ」



悠「…何も言ってねぇし」



なんで口に出して言ってないのに聞こえてんだよ


考えも出来ねぇだろ


っていっても、もう行くから関係ないんだけどな






バァン!


……ヂヂヂ…ヂヂッ




「?…あの子か」






リ「なにこれ?効いてないの!?」



「援護はいいんだ!1人でも倒せる!…それより君も咲妃さんの方を手伝ってくれ!」



リ「え?…でも」



「いいから!コイツと戦うのは慣れてる!」



リ「1人に出来ないでしょ!?あたしも手伝うの!」



「今からやる技は……人に見せられないものだ、君なら知ってるだろう?…リリィ」




リ「……あぁ、もう!わかったわよ!…けどホントに大丈夫だよね…?」






彼の言葉を信じ、そう言い残して走り去った




タッタッタッタッ…






「…やっと行ったか、これは……人に見せられたものではないからな」




その男は1人呟くと、手の甲だけ鉄でできているグローブのようなものを外した






「…BLOODofSOURD【憎むべき血の力】」



…詠唱すると手の甲に薔薇から血が滴っているような模様が浮かび上がった



その薔薇は、少しずつ青白い光を放ち始めた






「……すまない」








ドバァァァァァ!!




「ギァァァァ!」





だれに向かって謝ったのかはわからないが、そのあとに鳴り響いた轟音と共にドラゴンが姿を消した


切り落とされた翼と尻尾を残して…










-とある民家-



悠「終わった……みたいだな…」

耳をすまし状況を窺うが、なにも聞こえてこない…



戦いが終わったのか判断するために咲妃を残し、再び戦場に戻った…が



悠「お前……それは?」



そこで悠が見たものは



翼、尻尾、いなくなったドラゴンに深い蒼い眼をしたさっきの男だった



戦いでキズを負ったのか?


苦しそうに呻いている


悠「!?…大丈夫か?」




「私に近寄るな!!」










-そう叫んだその男には体に見合わないほどの翼が生えていた-






悠「お前…その翼は?」




男の背にはさっきのドラゴンの翼に酷似してた翼が生えている


色は違ったが、姿形は全く同じ…


見間違えようはずもなかった




「……咲妃さんには黙っててくれ…こんなものが生えてたら…嫌われるだろう?」


悠「…お前、人間じゃなかったのか?…それにドラゴンはどうなったんだ?」



「いや…元は人間だよ、ドラゴンは倒した。これがその代価だ」


そう言って翼を指す



「……少し話す時間はあるか?」



悠「時間はあるけど…その前に名前を教えてくれ。今のままだとお前としか呼びようがない」



「…そういえばまだ名乗ってなかったな…私はレノア、レノア・アシュフォード」



悠「レノア、だな…俺は…」



レ「既に知ってる、悠…だったな、武田 悠」



!!?



悠「なんで俺の名を…?…それに咲妃のことも知ってたんだ、そのことも話してくれんだよな?」



レ「ああ…だが話す前に場所を移そう」



それから落ち着いて話せる場所…ここから一番近い民家に入った


咲妃はまだ目を覚ましていなかった…疲れが溜まってたんだろうか?


その咲妃を隣の部屋に寝かし、リリィを呼んで2人で話を聞くことにした





レ「話す前に言っておきたいことがある。あの翼のことだが…私の血には…さっき倒したあのドラゴンと同種の血が流れている…もっとも、強さは段違いだけどね」




それから聞いた話を要約していくと、レノアはBLOODofSOURDという特殊な血を宿しているらしい



さらにスワローに所属し、水の力と剣の腕で幹部を務めるほどの実力者…これには驚いたが、さらに驚いたのが組織を抜けた理由だった



まず俺達が飛んだのは時空…なんとかって魔法でこの世界にはない魔法だったらしく、それに目をつけたのがスワロー内部の研究者達だ。


スワローは創立時、特に優秀な研究者を集めている


その成果には全世界から圧倒的支持を得ており、新しい研究を妨げるものもなく


この世界に飛んだ…つまり俺達のような向こうの世界の人間は全世界公認の指名手配犯になっている


…それも研究対象として


もちろん幹部のレノアにも手配犯のリストに目を通す機会があった


実際、捕獲するよう任務も受けていたようだ



この地区だと…悠、咲妃、藍華、元から研究対象だったリリィ…








悠「任務でここに来たら戦闘中で、助けたのが咲妃で、それで…一目惚れしたって?」



レ「…悪いか?私は知らなかったんだ、あんな綺麗で魅力的な女性がいるなんて…」



悠「それで辞めたわけか」


レ「そうだ……確かに組織にいた時は誇りもあって名声も心地よかった…だがそれ以上に咲妃さんが大好きなんだ!正直今は咲妃さんが俺の全てだ!!」




悠「お前、言ってて恥ずかしくない?」



レ「なにがだ?人が人を好きになるのは当然だ」



悠「それはそうだろうけど…まぁ、先に続きを話してくれ」




さっきので事情は殆ど話したようだ


今度は、自分が組織を辞めたことは伝わっていない…従って辞めたことになっていないこと、出来れば一緒に行動したいこと、スワロー研究施設内でリリィを見かけたこと、自分も研究対象でその時にドラゴンの細胞を移植されたことなど色々説明された、


その説明は長く、話し終えた頃には夜が明けていた



レノアが一緒に行動すると自ら申し出たのはありがたかった


幹部クラスの強さはリリィに聞いていたし、実際に見たのもあったからな


あの強さでも実力の序列で上から五番目というのは驚きを越えて不安がよぎった


今回のように、いずれ幹部クラスが来るのは明白だったからだ










ガチャ



咲「おはよー……って…どなた?」



レ「私はレノア・アシュフォードと申します。咲妃さんは寝起きも美しいですね」


咲「はぁ…そうですか?」




いまいち事情が飲み込めていない咲妃に、意図的にかいつまんで説明した




咲「へぇー、じゃあ…よろしくね?レノアさん」



咲妃は軽い気持ちで握手を求めたわけだが、それをどう解釈したのか


レノアは守ってください。的な意味でとらえてしまった…






レ「はい!これからはあなただけの騎士になります!」



咲「…??…えっと、ありがとう…ございます?」



こうして奇妙な(色々と)勘違い野郎レノア・アシュフォードが行動を共にすることになった










研究施設内でリリィを見たという謎を残して…




このあとがき読んでる人に聞きたいです


感想は貴重な意見を頂きましたんで作者としては結構満足してますが…


序盤~後半(今書いてるあたり)

でどのあたりが一番面白いですか?(^-^)



勿論、読み飛ばして忘れても大丈夫ですが

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