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~無手~
「早く戻って!」
リコちゃんさんの声を聞いて俺は何も持たずに扉へダッシュした。
『痛っ!』
「えっ?」
扉は開いているのに何かにぶつかった。
リコちゃんさんのいる部屋に戻れない。
何だこれと思っていると照明が消えた。
『うおっ』
「どうしたの!? ねぇ大丈夫??」
リコちゃんさんの声が真っ暗闇の中から聞こえる。
こちらの部屋もあちらの部屋も暗くて見えない。
「……タ! ケ…………」
リコちゃんさんの声が遠くなる。
そのままスーっと意識が遠のいた。
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