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~すべて回収~
「早く戻って!」
リコちゃんさんの声を聞いた俺は、慌てて近くのシャーレごと石を引っ掴みつつ机を乗り越えてネックレスを確保した。
「時間が!!」
そのまま開いている扉に飛び込もうとした瞬間、停電したみたいに真っ暗になった。
『は?』
何も見えない。扉もない。
後ろを振り返ると机も部屋も何もない只の黒だった。
自分がどこに立っているのか分からないと思った刹那、強烈な吐き気に襲われた。
何かに膝をついた痛みと、手から滑り落ちたシャーレの割れた音が響く。
『床、アるン…………』
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