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~夢から醒めたら~
「おきて。ねぇ、起きて」
か細い女の声がする。
無視して寝続けているとゴスッという音と共に頭に衝撃が走った。
「いってーー! 何すんだよ!!」
「はぁ? お母さんに言われたからわざわざ起こしに来てあげたのに可愛くなーい」
いや、せめてもう何回か声をかけるとかだなと反論しようとしたが、違和感。
あれ? リコちゃんさんがいる。あれ??
思わず目の前の人を凝視してしまう。
「あんた頭大丈夫?」
自分で殴っておいて何という言い草だろう。これだから姉は酷い。
………そうだ。姉だ、姉ちゃんだ!!
「ん? あんたこんなネックレスもってたっけ? この石なんだろ。結構大き目の結晶だね。なんかキレー。姉ちゃんに頂戴よ」
そう言うと姉ちゃんは薄茶色の石がついたネックレスをするっと奪っていく。
あっと思った時にはもう姉ちゃんの物になっていた。
リコちゃんさんに比べて全力でジャイアンだし若いってか子供だけど、顔立ちは同じだ。
誰が見てもリコちゃんさんは何年か経った姉ちゃんだと断言するだろう。俺は宣言してもいい。絶対そうだ。どう見てもそうだ。何で分かんなかったんだ! 何で忘れてたんだ!!
「リコー。そろそろ大学に行く時間よ。今日は外国の何とかって教授と話すんでしょー?」
おかんが台所から叫んでいる。
そういえば「お前のお姉さん清楚系美人で羨ましい。絶対紹介しろっ!」って言ってた友人に将来地味属性が付くと教えてやったほうがいいんだろうか?
「早く行けよ天災」
「は? 今なんか違う意味じゃなかった?」
「はいはい、天才天才。早く行けって」
姉ちゃんを手でシッシッと追い払う。
「ケイタ! 私もお父さんもお姉ちゃんも朝は食べないのにあんたのためだけにわざわざ作ったんだから! 遅刻も食べないも言ったら怒るからね! 早く食べなさい!!」
あんたのため”だけ”をめちゃくちゃ強調しておかんが言う。
リコちゃんさんが言ってた「それを私に返してね」ってこういう意味? なんか分捕られたけど。
今までぼんやりしていた頭が急にクリアになったような気分だ。
どうして今まで忘れていたんだろう。
ダイニングチェアに座って納豆を混ぜながら「俺は四人家族だよな」と自分に確認する。
「いってきまーす」
リコ姉の声が玄関あたりから遠ざかっていく。
いつもの日常、いつもの朝。
「天災の弟はツライなー」
「訳わかんないこと言ってないでさっさと食べなさい」
怒ってるおかんすら懐かしい気分だ。
多分、上手くいったんだと思う。
おかんは元気でおとんは空気だ。そして高校生な姉がいて弟の俺がいる。
やっと俺は夢から覚めた。やっと戻ってきた!!
~<トゥルーエンド>~
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おかんエンドではリコ姉さんは小さい頃に亡くなっています.
夢落ちエンドだとリコ姉さんは存在すら消滅していました.
あなたが根気よく読んでくださったおかげで,
リコ姉さんは無事に家族の元に戻る事ができました.
ありがとうございました.
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