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~倉庫~



 雑然とした、どう見ても放り込むだけ放り込んで、誰も整理していない倉庫をがさごそすること体感5時間。


 物が多すぎて全部を確認するのがまず大変。

 俺は、引越しのバイトは絶対できないなと心底思った。他人の荷物ってわけが分からん。


「その奥に棚が隠れてるはずだからそれも見てみて」


 リコちゃんさんから指示が飛ぶ。


 いや一応ね、リコちゃんさんもこっちに来ようとしたんだよ?

 でもさ、またパントマイムになっちゃって動きが遅いのなんの。中まで入っちゃえば違うかなと考えて、引っ張ろうとしたんだけど、扉との境界あたりでお互いの手と手がスカッとなんの。

 絶対触れるハズなのにスカッ。

 すっきりのスカッじゃないからね。後ろから肩叩こうとしたのに相手が走り出してスカッとなるあのスカッ。


 リコちゃんさん、目をひん剥いてたね。


 試しに一度戻ってリコちゃんさんが薄茶色の石を持って行こうとしたけどやっぱり同じ。

 どうやってもリコちゃんさんには部屋の移動が無理っぽい。

 ってことで、仕方がないのでリコちゃんさんはパイプオルガンみたいな大きな機械があるスタート地点に戻ってから扉のギリギリまで引き返して来てひたすら指示出し。


 俺は脇目も振らずに荷物を除けて戻して開けて戻して戻して開けて崩れて…みたいな。


 不思議と汗が出たり息が上がったりしなくて疲れもしないんだけど、滅入る。


『めいるー。へこむー。しょげるー。青菜しおしおー』

「………最後の何?」

『さあ? 俺もわかんない』

「何それ」


 ふっと吹き出しながら突っ込むをくれるリコちゃんさん。

 へらへら笑いながら青菜はお浸しだよなと連想していたら、急に腹が減って力がガクッと抜けた。


『腹減った?』


 なんだ? いきなり腹減り過ぎたのか?


 腹に手をあてると体が前に傾いだ。

 体勢が保てなくなって、片手と両膝がペタンと床につく。


『あれ? ちょっと動けないかも……』


 薄茶色の石を握り締めている手もグーのまま床につく。


 しばらくそうしていると少しだけ体を起こすことができるようになった。

 特に息が切れているような感じもない。ただただ腹だけが猛烈に減っていく。


 ふと、握り締めた手を開いて石を眺めた。

 手のひらの中には透明度の高い綺麗な石が在る。どこからどう見ても薄茶色の石である。


 目が離せなくてボーッと見ていると、段々、昔ばーちゃんが作ってくれた黄金飴に見えてきた。水と砂糖を煮詰めただけのいわゆるべっ甲飴だがばーちゃんは黄金飴と言い張っていた。

 懐かしいなと思っていたら余計に美味しそうに見えてきた。


 俺は、


◆薄茶色の石を食べる⇒目次から19へ

◆薄茶色の石を食べない⇒目次から18へ


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