このバナナヤバイな…
フレアです。
やあ!私はナナ!転生して一時間でボスモンスターと戦う羽目になってるナナだ!
幸いそのモンスターは、私の投げるバナナの皮を踏みつけ続け今はひたすらころんでいる。マヌケだな!
だが、私にもこれしかできない!簡単にいえば有効打ゼロだ!!
今私が把握している能力は、投げれば絶対に相手が踏みつけコケるバナナの皮!そして食えば傷が速効で癒えるバナナを生み出す能力だ!!他にも色々あるのかも知れんが、試している時間はない!!!
ついでに勇者と魔法使いを名乗る少女二人がいるが正直役に立たない!!!そして敵は滅茶苦茶強い!!!!さあて、どうするか…この状況!!
「キサマァ!!イイカゲンニ!!」
ズタァン!と砂を撒き散らしながらゴブリンキングはその場でひっくり返る。
端からみれば愉快なギャグ漫画、しかしその本質は命を懸けた戦いだ。私達はバナナで足止めしながらひたすら走り続けている!!
「誰かワープ魔法とか使えないのか!?」
「そんなの使えないです!!」
「私も!!」
「さっき大魔法使いとか言ってただろう!?」
「それは未来の話で!!!」
「じゃあ今はどんな魔法使えるんだ!?」
「敵に風邪を引かせる魔法なんてどうですか!?」
「陰湿!!!!!けど一応かけとけ!」
嫌がらせ程度でも無いよりはマシだろう。
「他には!!」
「鼻水が止まらなくなる魔法に、咳が止まらなくなる魔法、あと背中の手が届かない場所が痒くなる魔法なんかもあります!!」
「いらねえ!!!」
使い物にならねえ魔法しかねえ!!!!なんだコイツ!?何処が大魔法使いだ!!!ポンコツじゃねえか!!
自称大魔法使いに期待するのは諦め、もう一人の勇者と呼ばれる少女に声をかける。
「そっちの青髪の子は!?」
「私は勇者です!魔法なんかじゃなくて物理で戦いますよ!!」
えへんっとでも言うような様子で胸をはる青髪。
「じゃあ逃げてないで戦いたまえ!!」
「それは無理です!私生まれつきレベルが上がりにくい体質で強くなれないんです!!」
どんな体質だ!!!!
結局戦えないんじゃないか!!!
「君ら良く今まで旅できたな!?」
「いや!今日旅立ったばかりです!!」
「まさかの新米!!!!」
「っていうか戦えないならなんで来たときあんな堂々としてたんだよ!!」
「まさかあんな化け物がいるとは思わなくて…」
青髪の少女が申し訳なさそうに返す。
「そもそもなんでこんなところにあんなモンスターが…!!」
「分かりません!でも私達が相手に出来る敵ではないのは確かですね!」
不味い!不味いぞ!!ほんとに役に立たないぞコイツら!!どんどんゴブリンキングも迫ってきてるし!!!
途中途中、バナナの皮の力で転けてスピードが途切れるゴブリンキングではあるが、それでも圧倒的身体能力で徐々にナナ達に近づきつつある。
その表情はまさに鬼の表情…なのだが
「キサ…ゴホッ!!ゲホッ!!ズズズキサマラァ!!!」
「ちょっと面白いなこいつ」
「ゼェーゼェーマテェェェ!!!」
「ほんとしつこいな君!!風邪悪化するぞ!!」
「そうそう!帰った方がいいよ!」
前言撤回だ!風邪魔法意外と使えるぞ!!
「マテェェェエ!!」
くそ!マジでこのまま帰ってくれないかなぁ!!
ってそういえば…
「冷たッ!!」
「どうしたの!?」
「いや、そういえば私冷凍バナナも出せたなって」
「こんな時になんでそんな下らないことしてるの!?!?」
「いや待ってください!それって…!」
「あぁ!もしかしたら違う能力が」
「マテェェェ!!!」
どのみちこのまま何もしなかったら風邪引きゴブリンに切り裂かれて私達全員刺身だ!!試す価値はあるだろう!
「頼む!!!」
「ズズズマァァァテェェェゴッホ!!ゲホッ!!」
ぎゅっと冷凍バナナを握りしめる。
そして、私は全力で冷凍バナナをすぐそばに迫ってきていたゴブリンに向けて投擲した。
「マァァッ!!」
思いの外力を込めた一球ならぬ一本は凄まじい速度でゴブリンの顔面に激突。ゴブリンは鈍い声をあげる。
そしてゴブリンに当たった途端冷凍バナナは凄まじい冷気を放ちながら大爆発を起こした
辺り一面が冷たく白い霧に包まれる
「ナッ!!!!」
「は????」
「え????」
「ちょ!!!!」
これは…流石に予想外だ。ていうか何でバナナが爆発するんだ。おかしいだろ。
一瞬で真っ白になった目の前に呆然とするナナ。
そして、冷気が収まり視界が晴れる。
「…」
「え、」
「嘘…」
そこには、目の前にはゴブリンの氷像が完成していた。
「趣味わっるいな…」
まだ足元には冷たい冷気が広がっている
リノア レベル23 15歳 職業 魔法使い
容姿 赤髪のショート 身長は平均ほど
能力 陰湿な魔法の数々