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俺と僕と私と儂  作者: キュウ・ナナレー
第一章 テラとガイア、銃と魔法
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第13話 「……何で?」

 物珍しくキョロキョロするケイコと共に久しぶりのマイホームに着いた。


「うーん、次は勿体ぶらずに金出してお手伝い型Docka(人口人形)を買うか?」


 埃の溜まり始めている家の中でそんな事を考えながら喚起の為に窓を開ける。


Docka(人口人形)は買えるのですか?」


「ピンからキリまであるが、まあ平凡な性能のDocka(人口人形)は買いやすい値段だな」


「そう…ですか」


 ケイコが()()()()()をしながら俺の家の中を見る。


 別に珍しくも何も無いそこら中にある量産型プレハブ住宅なんだが。


「夕餉はお食べになりますか?」


「あ、ああ」


「あそこに台所らしき場所があるのですが、キッチンでしょうか? 使ってよろしいですか?」


 そう言えば“キッチン”も付いてたなこの家。


 ずっとレプリケーター食事だったから長い間放置してたけど。


「ああ、良いけど長い間使ってないから気を付けてな? あとあそこにあるのが冷蔵庫だが…非常食の類しかなかったような気がする」


「ではそこは私の腕の見せ所ですね」


「食事レプリケーターがあるんだから別に────」


「大丈夫ですよ、私がやりたいからやっているだけなのでお気を遣わずに」


 そういいながらケイコは髪の毛をポニーテール風に変え、エプロンを付けた。

 ガイアから持ってきたのかな? 少なくとも俺のじゃない。

 ……なんかこれ、いいな。 胸の奥がフワフワする。

 そう思いながら彼女を見ていると────


 ピンポーン。


 ────途端にインターコムが鳴った。


 誰だ? 宅配便は……ないな、近頃何も注文してないし。

 セールズ……はありかも。

 帰還したての兵士に売りに来るハイエナ共め。

 想像しただけでも嫌だな~。


「今のは呼び鈴ですか?」


「誰か来たみたいだな」


 ピンポーン。ピンポーン。


 またインターコムが鳴る。


「多分セールズかなんかだろ」


「“せーるず”?」


「迷惑な商人って言ったら通じるか?」


「…?」


 やっぱ通じないか。 俺はインターコムのスクリーンを見ると玄関のカメラが何かに塞がれているのか真っ黒だった。


「ちょっと見てくる、すぐに終わると思うから」


 そう言い玄関に向かい始めると────


 ピポピポピポピポピポピポピポピポピポピポピポピポピポ────


 インターコムが引っ切り無しになり始めた。

 じっみーに俺イライラしてきたぞ。

 よし、ここは扉を開けると同時に威嚇して────


「誰だおんどr────!!!」


 パーン!


「生還おめでとうマイケル~!」


 クラッカーから放たれた音に俺の叫びは遮られ、飛び出た紙などが俺の頭に乗っかる。


「……」


 突然の出来事に俺は沈黙を……

 ではなく目の前にいる“ヤツ”を見て黙り込む。


「って、なーにシケタ顔してんのよ? 折角だから生還したあんたも祝ってあげてるんじゃない」


「……」


 この翠瞳の栗毛の髪の毛。


「ちょ、ちょっと大丈夫?」


 この胸部装甲────


「ちょっとどこ見てんのよアホ!」


「へぶっ?!」


 この鳩尾ど真ん中ストレートのキレ。


 間違いないが()()()()()


 何とか()()()()()()()()()、彼女を見る。


「な、何? 何とか言ったらどう? そんなに見られると────」


「ラケール、なのか?」


「そうだけど?」


 本当に()()()なのか?


「死んだ筈じゃ────ゴフッ?!」


「勝手に殺すなやボケェー!」


 俺が本当のラケールかどうか確認するため近づくと見事なハイキックを食らわされた。

 これで間違いない。

 数年前に未帰還者だった筈の()()()だ。


 俺が倒れそうになり、壁に寄り掛かると後ろから声がした。


「マイケルさん、大丈夫ですか?! さっき“じゅうせい”とやらがしたのですが!」


 後ろを見ると弓と短剣を装備したエプロン姿のケイコが立っていた。


「「……」」


 沈黙状態が過ぎると────


「「貴方は誰ですか?/アンタ誰?」」


 ケイコとラケールがほぼ同時に声を出し、また沈黙状態になると思ったが先にこの膠着状態を破ったのは────


「ああ、アンタお手伝い用Docka(人口人形)ね。 ふ~ん、こんなのがいいんだ」


 ラケールがケイコに近づくと────


「それ以上の接近はやめてください。何故マイケルさんに危害を加えたのですか?」


「へ~? 高級Docka(人口人形)ねアンタ? でも────」


「ちょ、スト~ップ! 二人共やめい!」


 事態が悪化する前に俺は二人の間に入る。


「説明するから! いろいろと話したことはあるがラケール、まずは上がってくれ! ケイコ、こいつは俺の知り合いだから剣を下げてくれ!」


「そう? じゃ、お邪魔するわよ」


「……マイケルさんがそう言うのなら」


 ……

 …


 俺がケイコと会い、世話になった履歴を掻い摘んで話し終わる頃にはケイコが入れてくれたお茶(ガイア産)と茶菓子(非常食に入っていた甘味)がほぼ無くなった。




 魔法とかは省いた、こいつに知られるとメンドクサク成る予感がビンビンする。


「────という事なんだ」


「ふむふむ、それで? 何でマイケルの家にいるの?」


「いやだってこっち(テラ)に着いた途端“ハイじゃあサヨナラ~”はダメだろ?」


「……な~んか怪しい」


 ラケールがジト目で俺達二人を見る。


「な、何がだ?」


「だって彼女、ケイコさんだっけ?」


「はい、初めまして……えっと────」


「ああ、ゴメンゴメン! まず最初に名乗った方がよかったわね。 私はラケール。 ラケール・イヴァノヴァ。 階級は曹長でマイケルと同じでハウト連邦軍人大学(ぐんじんだいがく)の学生よ」


「ありがとうございます。 私はケイコと言います。 先ほどマイケルさんが説明していたガイア出身です。 後、怪しいと言うのは何がですか?」


「“マイケル()()”ね……まず最初に。 マイケルが運良く不時着して貴方に出会ってそこから一緒に地球(テラ)に来た?」


「ハイ」


「それってまるっきりアニメか何かの前書きみたいじゃない!」


「いや、それが本当なんだなこれが────」


「────これならまだマイケルが“他所で誑かした現地妻を連れ帰った”の方が説得力あるわよ!」


「“げんちずま”?」


 ウオイ?!


「おいちょっとオラ、お前が俺の事どういう風に見てるかよーく分かったがそれは無いだろ?!」


「だ、だってアンタが帰還したって聞いたからダッシュでここに来て見たら知らない女がエプロン姿で家の中から出てきたのよ?!」


「それを言うならお前の方こそどうだ! 何年か前に“未帰還者”報告を見た俺のヤケ飲み代返せ!」


「知らないわよそんなの! 私だって好きで昏睡状態になった訳じゃないわよ!」


 俺達が言い合ってる傍でケイコがキョトンとしている顔から“納得”の笑顔に変わる。


「成程、お二人は信頼し合う中なのですね」


「ハ、ハア~?!」


 うわ、ヤバイ。 ラケールの奴顔が、と言うか耳まで赤くなりやがってる。

 完全に激おこモードだ。


「ちょっと待ってくれケイコ。ラケールとはいわゆる“腐れ縁”って奴で────」


「そ、そうよ! 確かに共に戦う兵士として────!」


 と言い返してる俺達二人に対して相変わらず無言のニコニッコ顔をしてるケイコ。

 だから違うんだってケイコ。

 ここは話題を逸らすに限る。


「で? さっきの“昏睡状態”が何だって?」


 話題を変えた俺に対してラケ-ルは独り言をブツブツと何か言い続けていた。


「大体“ピンクブロンド”って何よ、どこかのアニメで出る“歌姫”とかじゃあるまいし……やっぱりマイケルはおっとり系が好きなの?」


 ブツブツブツブツと言ってるラケール、これはマズイな。


「お~い。もしも~し、ラケール?」


「ハッ?! な、何? えーと、昏睡状態の事ね。 ヘレナ叔母さん曰く搭乗していたモビルソルジャーのコックピットブロック機能が上手く働いていたのは良いけど長く冬眠状態だったのが危なかったらしくてほぼ昏睡状態だったのが2,3年前位。 で、一週間前まではリハビリとか検査とか色んなものが終わって今日に至るっていう訳」


「……だってお前の状態、まだ“未帰還者”って────」


「ああ、それね。 何か叔母さんが色々手配してしばらくは軍務に戻らなく良い様にしたって言ってたからそれかな?」


「……」


 ……色々と出来事が起きてちょっと頭が痛い。 俺は────


「……まあ、いいか」


 ────深く考えずにありのままに出来事を受ける事にした、


 とりあえずラケールが生きていたのは素直に嬉しいし、同性の奴がいればケイコも聞きやすい事とかあるだろ。 多分。

 アイツ(ラケール)でも一応性別は“女”だし。


「なんか言った?!」


「いんや、別に?」


 こわ! こいつの直感野生動物並みにこっわ!

 何とかポーカーフェイス(無表情)で通す俺に対してケイコがラケールと話し始める。


「それで、ラケールさんは────」


「“さん”付け無しで良いわよ。そう言う堅苦しいのは嫌い」


「はあ……ではラケールはマイケルさんと同じで兵士をやっていると?」


「まーねー。 と言っても今はある意味休業中な訳だけど。 だから私チョー暇になるのよねー。 誰か私みたいに暇な人いないかなー」


「そこで俺を見るのはお前の勝手だがな。 だが生憎と俺はケイコに恩返しする予定でな、スケジュールは詰まっている」


「な、なあー?! 聞いてないわよそんなの?!」


「聞かれなかったからな」


「ぐぬ」


「ならば一緒にいるのはどうでしょうか? マイケルさんもちょうど“ぐんむからのげんていてきじゆうけん”をもらったことですし。」


「え?/はえ?」


 ケイコの突然なオファーに俺とラケールが間の抜けた声を出す。


「この機会に旧知のお二人の仲を取り戻しつつ私に“恩返し”を両方するには良いのでは?」


「い、一緒に……」


 おいラケール、そこでなぜ黙り込む?

 その前に────


「────そうは言うが、ラケールにも準備とか────」


「────あ、それは大丈夫よ。もともと泊まる予定でキャリーケース持ってきたし」


「……何で?」


「アンタねぇ……こんなに夜遅くにか弱い女の子一人を帰らすつもり?」


「……“()()()()()”ー? ぶわっはっはっはっは! 素手で軍用猟犬をねじ伏せるヤツが────?!」


 テーブルの下で俺の足が蹴られる。

 痛って―なオイ?!


「大丈夫ですかマイケルさん? 顔色が────」


 ラケールの目がギロッと俺を睨む。


「だ、大丈夫だ、ちょっと腹が痛くなっただけだ。は、腹が減ってな」


「あ、そう言えば夕餉の準備中でした!」


「“夕餉”って、時代劇以外で初めて聞いたわ。リアルで」


「“じだいげき”?」


「まあ、いいわ……マジで中世の人ね」


「?」


 しっかし、これからどうする俺?

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