プロローグ 「出会い」
はじめまして!作者の970です!
色々書類の整理をしてたらかなり前に書いてた小説っぽい物が出てきたので投稿しようかなと思いました。頑張って面白くしたいと思いますので、是非読んでいってください!
よろしくお願いいたします!!
やあ、こんにちわ。俺の名はマイケル。マイケル・レナルト軍曹。れっきとしたハウト連邦軍人大学の学生だ。一通りの訓練は受けていて、今時珍しい白兵戦と銃撃戦を合体したような型までも訓練を受けている。
ちょっと前までは宇宙船の中にいたけど、今は大自然の森の中を堪能中です。
全身全力で。
いやー、こんな見渡す限りの森なんて何年振りか。森の中のサバイバル実地訓練以来じゃね?まあ、あの時と違って何もしてないのに湿気のみで汗だくにならないのが良い。
今は周りに女子いないもんな。
「ハァハァハァ────!」
あー空気がうめぇ。
「グルルルルルル!」
いやほんと、湿気で蒸し暑いから軍服を自ら脱いで汗で透けるってラッキーって思わね?
中身は味気のない軽ボディーアーマーインナーだけどそこは想像力でカバーだ!
つか木でけぇな。何十メートルあるんだこれ?根っこも所々出ているから走りにくいったらありゃしねー。
「ガアアアアアア!」
ああウザイ。こいつで何匹目だ?そろそろ息も切れる、やっぱり無心で走っとけばよかった。
俺は一旦走るのをやめ、後ろから追ってくる狼もどきに護身用に持っていたクリス・ヴェクターサブマシンガンの照準を合わせ、引き金を────
カチ。
あ、ヤベ。女子の事考えていて残弾数忘れていた。狼もどきの爪先がベストに食い込んで俺の体が吹っ飛ぶ。
え?軍人学生のくせに初歩的なミスをするのは二流だって?
うん、分かる。俺も普段こんな事しないんだが想像してみてくれ。
何が何だか分からないうちに知らない場所に救命ポッドで不時着して外に出た瞬間全長2メートル弱位の狼もどきに襲われたんだぜ?
しかもうじゃうじゃとエンドレスに湧いて出てきやがる。これが十匹位までになると誰でも現実逃避したくなるんじゃね?
グシャ!
「グハッ?!」
あ、この浮遊感無重力に似ている。
つか、こんなに考えてお前は大丈夫かって?
Ha, ha, ha. ソンナワケナイジャナイカー。
だって俺の体、木に衝突して痛くて視界もぼやけてきて、狼もどきが目の前まで来て今にも襲い掛かりそうなんだぜ?
あ、これヤバイ奴や。
何で俺今回の飛行演習に志願したんだろ、おれ?
_________________________________________
時は西暦3600。俺ことマイケル・レナルトはハウト連邦の軍人大学の中をいつものように歩いていた時にそのチラシが入った。
“急募集中:新型艦超長距離飛行演習。拘束期間予定一週間。特殊部隊任期経験要。”
「“新型艦超長距離飛行演習”~?しかも一か月の拘束期間~?毎度思うけど上層部の奴らアホだな。つか特殊部隊任期経験要って……軍人大学じゃかなり限定するぞ。ん?」
チラシの文章の下の方にいつもの金と軍務履歴の報酬が……てかその上に特別報酬だと?!
“任務達成後特別報酬:軍務からの限定的自由権、一か月。”
軍務からの限定的自由権、六か月?!
……マジか?
周りを見てほかの学生がチラシに気付いたかどうか確認しながら俺はそれを依頼掲示板からもぎ取る。
依頼がさっき張られたばかりなのか、接着剤がまだ乾いてなくて綺麗に取れた。
俺はすぐさまチラシに書いていた軍港に向かうため都内ライトレールに乗り、依頼の受託手続きを済ませた。受付によると当日乗るはずだった乗組員が前日に戦死したから急遽報酬の良い依頼を出したらしい。
で、今艦内なんだが────
「すげぇ、ほぼ新品じゃねぇかこの船。」
文字通り新品同然の船の中を俺の荷物(と言っても私物はほとんど無い)の入ったバッグを自分にあてがわれた部屋に持っていく途中そうぼやいた。
「……なんか、俺浮いてね?この依頼ってもしかして訳アリ?」
いやいやいや、依頼は掲示板に貼られていたし、軍港に行く途中何度もスマホで正規の物だって確認取ったし、軍港も正規の物だし。ちゃんと特殊部隊任期経験あるし。
……うん、たぶんそれだ。“特殊部隊任期経験要”の依頼が普通、汚れ仕事の上に機密保持絶対状態になるからな。今回はラッキーという事で。
部屋に着いてドアを開けると────
「ま、ここは普通だな。」
普通の一人用乗務員室だな。旧世界風に言うとあの有名な“ビジネスホテル”
って言うのかな?
ほど狭い一室にベッド、机にロッカー。とりあえず軍服に着替えて、ロッカーの中にバッグを入れた。
「ん?」
着替えた後、通路を歩いていたら前方から何人かが歩いてきた。俺はすぐに気をつけの姿勢で立ち、待つ。
この軍服の肩の階級はこの船の船長と……上の奴らっぽいな。俺は通路の端で敬礼を保ち────
「……」
────その子と目が合った。へー、翠眼に肩より少し長めの金髪、整っている顔つきに小柄な身体つきの女の子。結構好みだな。胸は……
うん、小ぶりだけど中々にイイカタチだね!どれかの上層部の秘書か何かかな?ちゃんと顔を覚えて後で会いに行くか。
上層部っぽい奴らは俺に目もくれずただズカズカと歩き通す。船長はちゃんと歩きながらも敬礼を返した。女の子の方ははにかむような、何というか、曖昧な笑顔────?
「ッ?!」
一瞬体がゾクっとするような感覚が走った。何だ、今のは?
女の子が通り過ぎる。
目はもう合わせていない。
いや、合わせられない。
あたまのなかがぼーっとする。しかいがぼやける。あせがでる。きもちわるい。
やつらがとおのく。
「ッハァ!」
俺はいつの間にか息を止めていたみたいだ。呼吸を整い遠くなった奴らを見送る。
「何だったんだ、今のは?」
寒気を遠ざけるように二の腕を擦る。
少し出港した後で他の乗組員との顔合わせと知っている人がいるかどうか見に行ったら幸か不幸か知らない奴らばかりだった。彼らに話を聞いた所噂ではこの新型艦には今まで使えなかった超長距離飛行技術が搭載されているとかどうか。これで従来の光速飛行をさらに早くした“亜空間飛行”をテストする上にその“亜空間飛行”ってのを行った際に出来た“宇宙の穴”みたいなのを同時に固定するだとか。この“穴”の固定により他の船や通信も使用範囲が広くなるだとか。笑いながら“これで戦争は終結に近づいた”とか。
「へぇー。」
ただへぇーとしか言えない。一般兵士の俺に関係無いんだが。ただ「へぇー、光速飛行より早くなるのかー」という感想しか浮かばない。化学部門でもなかったし。それに“これで戦争は終結に近づいた”は皆子供の頃から聞き飽きた。
つか早よこの出港終われ。早く終わって、アパートに帰ってゴロゴロしたい。
ちなみにさっき通路で合った(というか通り過ぎた)翠眼金髪の子の事を聞いたら誰もその子がどこにいるのか知らなかった。
船が少し揺れて、艦内放送によると噂の“亜空間飛行”ってのに成功したらしく、体調不良を感じ始めた者や他の者の体調が優れない様だったらすぐに医療室に報告。
まあいつもの事だな。他の奴らもほぼ放送聞いていないし。
船がまた揺れて、ほかの乗組員が静かになる。ここにいる奴らは俺も含めて軍務の経験が長いからこういった事は────
「カクノリクミインハキュウメイポッドフキンニテタイキシテクダサイ。」
────船の機械知能の放送が聞こえた。てかこの声って確か機械知能の安い量産型じゃなかったけ?毎度の事とは言え、安く上がるとこ間違っていんな。
俺は軽く他の人に別れや武運を告げながら自分の荷物を回収して救命ポッドの方向に向かった。
さて、今回不時着する戦場は何処だろう?
…………
……
…さてと。
「周りの環境大気報告と現在地の確認照合。」
結局救命ポッドの着地の揺れが収まって俺は機械知能に向けながら軍服から戦闘用のラフな防御服に着替える。いきなり戦場に着陸したってことはないだろう。
まだこのポッドが無事だからな。だが油断は禁物、ポッドの中の銃器点検をとっとと済ませて出発だ。
「オツカレサマデシタ。ガイブノタイキハチッソ78%、サンソ21%ソノタ────」
────うし、当たりだ!宇宙服って窮屈だからなー。てか地球に近いな?最近テラフォーミングが終わった惑星か?なら辺境惑星辺りか?
「ゲンザイチハカクニンデキマセンデシタ。」
お、やっぱり辺境惑星辺り────ってちょっと待てやオラ。
「現在地の確認照合。」
「ショウゴウチュウ…………ゲンザイチハカクニンデキマセンデシタ。」
What?
「現在地照合不明詳細の軽報告。」
「エイセイナドノジンコウテキデンパガキャッチデキマセンデシタ。イチジョウホウシステムニナンラカノボウガイノカノウセイアリ。」
人工の電波が無い?おかしいな、そいつは初めて聞く。辺境惑星でも非軍事的衛星は設置されているぞ?
「…………出て行って見るしかないか。幸いにも静かだし、空気もある。」
俺は覚悟を決めて救命ポッドの外に行く扉の近くに行きバックパックを背負い開けた。
「なんじゃこりゃ。」
森。見渡す限り森。Forestだ。ジャングル一歩手前のMori。
それだけじゃなく、木は全長数十メートル位あるし根っこが盛り上がっている。こんなの地球の空気清浄機エリアの人工木でも見ないぞ────ん?
そんなことを考えている俺の頭上に風が通ったと思って上を向いた瞬間牙ぞろいの口が降って来た。
「げぇ?!」
俺は久しく使ってない本能バリバリ任せの回避行動で前に走ってバックパックが裂ける音が聞こえた。
「このッ!」
俺の持っているサブマシンガンが火を噴き俺を襲って来た狼もどきに命中する。
「ギャン!」
そのはずみで奴の口からバックパックの中身が噴出される。何故狼もどきと呼んでいるかっていうと他に言葉が思いつかんからだ。てか何処に二メートル弱の狼が存在するんだ?!デカすぎるだろ!45口径数十発食らっても平気って熊かよ?!
「グルルルルルル!」
上から聞こえたと思って見たら狼もどきどもが木の上から数匹飛び降りて来ていた。生態系どうなっていんだ?早く救命ポッドに避難────ってさっきの死にぞこないがきっちりブロックしてやがる!
依頼にホイホイつられた俺を殴りたい。
_________________________________________
とまあ、大まかな走馬灯的なフラッシュバックご苦労さん脳みそさん。今にも俺に迫ってくるギラギラの牙を────
「ふんぬ!」
ガキィン!
俺が持っている銃(弾無し)を垂直方向にして噛みつくのを食い止めようと全力で押し返そうとした際に金属がぶつかり合う音が響き渡った。
というか“ガキィン”って何だよ、“ガキィン”って。どんだけカルシュウム食っていんだよこいつ。
「ヌオオオオオオオオオオ!こなクソォォォォ!」
抗った、文字道理必死に。アドレナリンやら他に人が縮地に陥った時に分泌するアレ。
それでも迫りくる牙。
やっぱ死んだわコレと思った瞬間、棒みたいなのが狼もどきの頭から生えた。
棒というか矢かこれは?
狼もどきが絶命したのか体から力が抜かれて俺の下半身に圧し掛かり始める。オウフ。重いし獣臭ぇ!
足を使って狼もどきを横に押し倒し呼吸を整えながら周りを見る。かすんでいた視界が徐々にクリアになり、他に狼もどきが見えるかどうか確認するが姿が見えない。
俺は上を警戒し、見上げ────
彼女と目が合った。
訂正などがあれば教えて下さい!
楽しんで頂けたら、是非ブックマークや感想、評価等あると嬉しいです。
とても励みになります!