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 雷鳴のような叫び声と共に、何かが弾丸のように飛んできて巨人のモンスターを攻撃した。

「助けが……」

 誰かが助けに来てくれた。私のパーティーだろうか。それとも別のパーティーだろうか。助けてくれるのなら誰だっていい。

 助けを求めて、何かが飛んできた方向を見るが、そこには誰もいない。

「俺の道を塞ぎやがって! 断罪してやる!」

 声がするのはモンスターの方から。

 そこには、二本の刀を突き刺して巨人のモンスターにへばりついている男の姿があった。

 弾丸のように飛んできたものはてっきり攻撃魔法かなにかだと思っていたが、まさか人が飛んできたとは思わなかった。

「このデカ物が! これじゃ核に届かねえじゃねえか!」

 モンスターと戦闘しているというのに、ずっと声を荒げながら怒っている彼は、二本の刀を引き抜き、地面に着地した。

「あ、あの……」

「くそがぁ! めんどくせぇ体しやがって……。しょうがねえ。その肥え太った脂肪、すべてそぎ落としてやるよ!」

 そう言って、果敢に自分の何倍も大きいモンスターへと向かっていった。そこに私が話しかける隙はない。それどころか、私を気遣う様子すらなかった。もしかして、彼は私の存在に気づいていないのではないのかと思うほどだ。

「贅肉は罪だ! 断罪だぁぁぁぁぁぁ!」

 そう叫びながら、何度も何度もモンスターを切りつけていく。すごいのは、これを誰のサポートもなしに行っていることだ。巨人の遅い攻撃など見てからでも余裕で避けられるほどのスピード。何度も刀を振ることができる筋力。そして、こんな強敵にも恐れず立ち向かう精神力。そのどれもが私のパーティーにはないもの。明らかにレベルが違う。

 彼の絶え間ない攻撃で巨人の体は血塗れになっていき、動きもどんどん遅くなっていく。

「この俺に隙を見せるなど怠惰! 大罪は断罪だぁぁぁぁぁぁ!」

 巨人のモンスターをたった一人で切り倒してしまった。後に残ったのは、見たこともないような大きな魔石だけ。

「お前の命は断罪した」

 そう言って、落ちた魔石ほ拾った。

「あ、あの……」

「あぁ? 俺の邪魔をするつもりか? 断罪されたいのかぁ? あぁ?」

 助けてくれたと思ったら、今度は刃がボロボロになった刀を私の方に向けてきた。

 助けてくれたのは嬉しいんだけれど、もしかして、この人はやばい人なのだろうか。モンスターと戦っているときも終始叫んでいたし、断罪とか怖いこと言っていたし、それに、あの戦闘に飢えた感じもまるで狼みたいだ。目つきも鋭いし、歯も鋭い。髪も金色だし、それに耳も尻尾もついている。

 耳も尻尾も?

 そうか、この人は獣人、獣と人間のハーフなんだ。町でもよく見かける。でも、この人みたいに怖いというか喧嘩っ早い獣人は見たことない。

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