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それから数時間ほど、この階層で狩りをして魔石を集めた。
「今日はかなりいい稼ぎになりそうだな」
「本当!? じゃあ、新しい杖買えるかな……」
「そこまでは稼げてないだろ。稼ぎたいならもっと奥じゃないのか? この階層も楽勝だし、もう少し奥にいっても……」
「ダメだ。狩りに時間をかけたからな。そろそろ、帰る時間じゃないのか? キラリ、時間はどうだ?」
「うん……もうすぐ帰らないと夜中になりそう」
帰りの時間も計算すると、さらに奥へとなると日付が変わってしまいそうだ。
「それなら仕方ないか……酒場が閉まったら一日の疲れが取れないからな……」
「奥にいくのはまた今度な。今日は帰ろう」
また今度。でも、今は不安はない。このパーティーならどんな強いモンスターだって倒せそうだ。
そんな安心が油断に繋がったのかもしれない。
「うわっ! モンスターだ! 岩の影に……。せ、戦闘態勢に!」
突然のモンスターの襲来。私たちの油断が注意力を鈍らせて岩影に潜むモンスターの気配に気づけなかった。でも、きっと大丈夫。
「焦らず、自分の役目を果たせ!」
リーダーの言うとおり、焦る必要はない。なぜなら、まだ私の支援魔法は残っているから。
狼型のモンスターに噛みつかれたリーダーのタンクは傷一つついていない。
「俺が倒す! 二人は下がってろ!」
すぐさま攻撃にかかる。私や魔法使いの少年は近距離では分が悪いので下がった。
予想外の攻撃だったが、十分、対処可能な事態だった。これだけなら……。
「な、なに!?」
急に地面が揺れた。
「じ、地震!? こんな地下で地震なんて……落石にも注意して!」
魔法使いの少年が注意を促すので、私も天井を気にした。まだ小さな石が落ちてくるだけだが、いつ天井が崩れてしまうのかも分からない。
「落石より、今はモンスターを倒す方が先だ! 支援を!」
そう言われても、私は支援魔法をすでにかけているし、魔法使いの少年もこれだけモンスターとの距離が近いと魔法攻撃も使えない。
どうしようかと動けないでいると、そんな臆病な姿にダンジョンが起こったのか、私の足下が崩れ落ちた。
「誰か!」
「キララさん!」
手を差し伸べてくれるが、届くことはなく、私は足場とともに落ちてしまった。