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私たちのパーティーは、無事にダンジョンから脱出し、日が沈む前に町へと帰ってきた。
「それじゃあ、俺は魔石を換金しにいくから、3人は先に酒場に行っておいてくれ」
「了解! 早く金持って来いよ」
パーティーのリーダー的存在の大きな盾で敵の攻撃を防ぐタンク役の人が今日の収入を換金しに行ってくれた。
私たち残り3人は、言われたとおり、行きつけの酒場へと向かった。
ちなみに、私はお酒を飲めない。日本にいた頃はチューハイとかも飲んでいたのだが、この世界のお酒はビールかワインしかない。ビールは元から飲めないし、ワインは渋くて飲めない。けれど、断ったら印象が悪くなってパーティーに誘われなくなるかもしれない。まあ、日本でも同じようにサークルの飲み会に誘われていたので、苦にはならないからいいんだけど……問題はそこじゃない。
「お、今日もいつもの席空いてるな。誰かに座られる前に行こうぜ」
そう急かされ、三人で丸机を囲った。
「先に注文しておくけど、いつもの感じでいいよな?」
「僕は大丈夫です」
「私も同じく」
「分かった。すいません! 注文取りに来てくんない!」
いつも通り、何種類かの料理を大皿で注文していた。
私はそれほどお腹は空いていないが、ダンジョンでモンスターと戦っている人たちはカロリーを消費しているだろうから私よりもお腹が空くのだろう。
そうこうしているうちに、タンクの人が巾着袋を抱えて帰ってきた。
「おう! 注文はしておいたぜ。それより、今日の収入はどれほどよ」
「あぁ、今日もまずまずだな」
今から、今日の給料が配布される。
「とりあえず、この飯代を抜いて、こんな感じかな」
巾着袋から銀貨が数枚出された。その内の20枚が私に。そして、他の3人はそれぞれ10枚ずつが振り分けられた。
「ちぇっ。こんなもんか。もうちょっと稼ぐにはもっと深くに潜らないとな」
「僕もそろそろ新しい杖とか買いたいしな……」
問題とは、冒険者が貧乏なことだ。私の方が多く貰っているのは分かっている。支援魔法というものを重要視してくれて、その分贔屓してくれている。そんな私も生活はかなり厳しい。家がないので宿暮らしなのだが、一泊銀貨5枚。夕食は今日みたいに酒場で稼ぎから引かれるが、朝ご飯もある。そして、一番辛いのは昼ご飯。昼はダンジョン内なので、基本的に保存食を持って行く。ただ、これが高い。日本で例えると、カロリーメイトみたいなものだ。どうにか切り詰めたいのだが、出費はかさむばかりで、なかなか貯金はできず、今に至っている。
できれば、この酒場での打ち上げに出席しない代わりにその分のお金を貰いたいのだが、言い出すこともできず、私は宿に戻っていた。