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「今日はもう少し潜ってみるかな?」
「キララがいれば余裕だろ」
「みんなレベル以上の力が出せているし、少し強い敵が出てきても問題ないしね」
三人ともやる気だが、私は反対だった。
「あの……時間的に、もう昼だから、そろそろ引き返した方がいいんじゃ……。それに、今日もいつも通りの数は倒せたと思うし、稼ぎも十分じゃないかな……?」
「そうか……もう時間か……洞窟の中だと時間感覚が狂うからな……」
「えぇ。まだまだ狩り足りないんだけどなぁ」
「我が儘はダメですよ。今回はキララさんが正しいですよ」
みんなも同意してくれた。でも、私の本意はそこではない。私が洞窟の奥へ行きたくなかったのは、時間や十分な稼ぎだけではない。純粋に怖いのだ。私は仲間を強化する支援魔法を使いパーティー全体を強くすることができるのだが、逆に言うと、私は仲間がいなければ無力なんだ。私にできることは支援魔法だけで、魔法攻撃も物理攻撃も私にはできない。だから、私はどんな冒険者よりも仲間に依存している。冒険者として臆病なのは分かっているが、命を天秤に掛けるような危険なことはしたくない。
「多数決で3対1。仕方ねぇか。帰り道のモンスターを蹴散らしながら帰るとするか」
一応、全員の賛成で私たちのパーティーは、進んできたダンジョンを引き返していった。