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 私は元いた世界、日本からこの世界にやってきた。

 日本では大学生で、写真サークルに所属していた。父の影響で小さい頃からカメラが好きで、高校のころも部員数が少ない写真同好会に所属していた。私は純粋に写真が好きだったのだが、周りは必ずしも同じ思想を持ってはいなかった。

 大学の写真サークルは、いわばオタクのたまり場のような場所だった。私は風景を写真に収めることが好きだったのだが、他の人は違った。私は部員だからと言う理由で、よく被写体にされていた。それも、ただの被写体ではなく、コスプレをした被写体。もちろん、私が被写体になる代わりに、色々なことをしてもらった。周りの人も、私が機嫌をそこねてサークルを辞めないために必死だったのだろう。私だって、好きでやっていたわけではない。でも、端から見たら、オタサーの姫と思われていただろう。私だって、そう思う。特別可愛くもない私が、周りのモテない人からちやほやされていると。でも、私はカメラが好きで、写真が好きだという気持ちは変わらない。

 その気持ちを誰かに伝えることもなく、私は、気がつくとこの世界に迷い込んできていた。

 危険なモンスターもいる。それなのに、科学的な便利な道具はない。土地勘もない。家もない。お金もない。友達もいない。家族もいない。それどころか、日本人もいない。

 すぐに理解した。この世界は、私がいた日本とは違い、とても生きにくい世界だと。

 幸いだったのは、言語が理解できたこと。

 言葉は通じるし、文字は日本語ではないが、なぜか理解する事ができた。

 意志疎通ができると分かれば、まずはお金だ。家族も知り合いもいないとお金を借りることもできない。だから、まずは日雇いバイトでもいいからお金を稼ぐこと。

 ただ、どこから来たのかも分からないような私では、雇ってくれるようなお店はなかった。残るお店は体を売るようなお店だけ。生きるためでも、体を売るのは嫌だった。

 だから、必死に職を探し回っていると、私のような身元が分からないような人でもできる仕事があった。

 それが冒険者だ。

 冒険者はモンスターと戦い、その戦利品で生計を立てる職業。もちろん、体力がいる仕事だ。従って、男性の割合が多い。

 それでも、体を売るよりかはましだと思い、祈るような気持ちで冒険者組合で適正を調べてもらった。

 調べ方は簡単で、水晶に手を触れているだけ。そしたら、水晶に文字が浮かんできて冒険者としての能力が見れるというものだった。

 そして、私が浮き上がらせた文字が支援魔法。

 攻撃系の能力は低かったが、その分、支援魔法の能力が高いということで、組合の職員が騒がしくなった。おかげで、すごい冒険者がやってきたと組合にいた冒険者の注目の的となった。そうなると、あとは流れるように冒険者からパーティーに誘われ、そして、評判もよくなり、私は町一番の支援魔法の使い手として名を広めることになった。

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